【音楽を図版で分析する】Ⅰm7のバリエーション

前回ⅠM7のハーモニーを紹介しましたので、今回は同じようにⅠm7のハーモニーを紹介します。
基本的な考え方はⅠM7と同じですが、使う音階が異なりますね。僕はⅠm7の場合、ドリアンスケールの音を使っています。1/2/m3/4/5/6/7です。

【二音】

軽いコンピングにしたい場合、二音だけという選択をしています。低音部で使っても広がり感のある1/7をよく使っています。

1/m3（ルートに短3度のみを加えた基本的なサウンドと言えます。）
1/5
1/6
1/7（ルートに7度を加えていて、音の拡がり感がありよく使っています。）
3/5
m3/6（基本的なコードサウンドです。音程がトライトーンになっています。）
m3/7（基本的なコードサウンドです。）
5/m3（短6度音程にになる展開形です。）
5/7
5/9
9/m3（コード音とナチュラルテンションを含んだ短2度音程となります。個性的な音だと考えてよく使っています）

【三音】

左手のみで押さえられる、ピアノソロ演奏で実践的な音の組み合わせです。ルートを含んでコードサウンド、コードサウンド+9thという形をよく使っています。

1/m3/5
1/m3/6（基本的なコードサウンドです。トライトーンを含んでいます。）
1/m3/7（基本的なコードサウンドです。）
1/11/7（4th Buildの形になります）
1/5/6
1/5/7
1/5/9（完全五度を重ねた、ルート感の強いサウンドです。ただしコードサウンドは含まれません。）

m3/5/7
m3/5/9
m3/6/9（ナチュラルテンションを含んだ基本的なコードサウンドです。トライトーンを含みます。）
m3/7/9（ナチュラルテンションを含んだ基本的なコードサウンドです。）

5/7/9
5/7/m3（基本的コードサウンドと短六度を含む、使いやすいハーモニーです。）
5/9/11

7/m3/5（コードサウンドと長六度音程を含む、使いやすいハーモニーです。）
7/m3/11
7/9/11

13/9/11（マイナーコードのテンション音のみによるトライアドです。基本マイナーコードの三和音の全音上と考えれば、簡単に把握できます。通常11をトップノートにして使っています。）

【四音】

4音になると、片手で弾くか両手で弾くかで考え方が異なります。片手で弾く場合はクローズドハーモニー、両手の場合オープンハーモニーでの演奏になります。

片手で弾く場合の弾き方

1/m3/5/7
m3/5/7/1
5/7/1/m3（長二度音程を中に挟んでいるので、きれいに響きます。）
7/1/m3/5

m3/5/7/9（9thをトップノートに置いた、よく使うハーモニーです。）
5/7/9/m3
7/9/m3/5（9thとm3の短二度音程を中に挟んだきれいに響くハーモニーです。）
9/m3/5/7

両手で弾く場合の弾き方

ルートを低音部において、中音部に3音を使うハーモニーです。

1 , m3/6/9（ナチュラルテンションを含んだ基本的なコードサウンドです。右手にトライトーンを含んでいます。）
1 , m3/7/9（ナチュラルテンションを含んだ基本的なコードサウンドです。）
1 , m3/5/7
1 , 5/7/m3（コードサウンドと短6度音程を含む、使いやすいハーモニーです。）
1 , 5/7/9
1 , 6/9/11
1 , 7/9/11
1 , 7/m3/5（基本的なコードサウンドと短6度音程を含む、使いやすいハーモニーです。）
1 , 7/9/5
1 , 7/9/m3

三度を低音部に置く場合、その上に乗るのはルート、あるいは6度、7度のコードトーンがふさわしいと考えています。

m3/1 , 5/7
m3/6，9/5
m3/7 , 9/5

五度を低音部に置く場合、その上に一度を置くことが多いです。これはDrop 2のサウンドになりますね。
5/1 , m3/6
5/1 , m3/7（典型的なDrop 2のサウンドです。）
5/1 , 6/m3
5/1 , 7/m3
5 , m3/6/9（右手にトライトーンを含んでいます。）
5 , m3/7/9（右手はよく使うコードノート+ナチュラルテンションの形です）
5 , m3/5/7
5 , 9/11/13
5 , 9/11/7

【五音】

五音のハーモニーでは、基本的に左手でルート系の音、右手でコードサウンドと使うハーモニーが自然です。左手で三度音を使う時には、ルートを右手に回したりしてます。

1/5 , m3/6/9（右手にトライトーンを含んでいま　す。）
1/5 , m3/7/9（よく使う、右手にコードサウンド+ナチュラルテンションとした形です。）
1/5 , 6/7/m3
1/5 , 7/m3/6
1/5 , 6/9/11
1/5 , 7/9/11

1/m3/7 , 9/5（右手にルートサウンドとコードサウンド、左手にナチュラルテンションと五度という、安定したハーモニーです。）
1/m3/7 , 9/11
1/m3/7 , 9/13

1/7 , m3/6/9（これは7/m3/6/9で、トライトーンを含んだ四音の4th Buildになっています。）
1/7 , 6/9/5

【六音】

六音の場合、左右三音ずつという組み合わせを考えています。

1/m3/7，6/9/5（右手でルートとコードノート、左手でそれ以外の音を使った4th Buildとなっています。）
1/5/7，m3/6/9（低音部に一度と五度、中音部に七度と三度、高音部に13thと9thという組み合わせになります。）
1/5/9，m3/7/9（9thのテンションノートをニ音使う、気に入っているハーモニーです。）
1/5/9，m3/7/11
1/11/7，m3/6/9

【七音】

七音の場合、六音に加えて右手にオクターブの重複音を使うことが多いです。

1/m3/7，9/5/6/9（右手では4th Buildの展開形を使っています。)
1/5/7，6/9/m3/6（右手では4th Buildの展開形を使っています。）
1/5/9，7/m3/11/7（右手では4th Buildの展開形を使っています。)

【まとめ】

このように、マイナー7thコードの場合でも、メジャー7thコードと同じような音の組み合わせを考えることができます。3度、7度、11度の音がそれぞれ半音下がっているために、Dorian Modeを考えることを理解しておけば、対応できます。

特徴としては、テンションノートに9thを使った場合、m3と短二度音程となること、7度とルート音の関係は逆に長2度音程となることですね。
3度と6度の間がトライトーンとなることも、特徴的です。この音は、Ⅱ-Ⅴで使う場合にはⅤでのトライトーンと同じになってしまうので、使わないようにしています。主にマイナーキーでの、トニックとして使えると理解しています。サブドミナントとしてはm3/7の音程を使うのが適切です。