見出し画像

あちこちの海図に潜む魚たち

ヤンデル氏

僕の首の角度、なんだろうって考えてます。読書型の首の角度。『映像研には手を出すな!』のアニメのエンディングで三人が歩いてるじゃないですか。あの浅草氏の首の角度、あれ良いですね。金森氏も微妙な角度を持ってる(背が高いから?)。水崎氏はさすがバランスが良い気がする。彼女らは何型なんだろう。そんなこと考えながら日曜の夜を過ごしてます。

2020年も良いアニメや漫画、たくさんの本たちに出会えそうです。遅くなりましたけれど、あけましておめでとうございます(1月ももう過ぎてゆきそうですけれど)。昨年はほんとにお世話になりました。その2019年の終わりまでにお会いできたのは、特に本屋で(僕にとっては職場でもあるんですけれど)、本を買ってるヤンデル氏にお会いできたのはほんとに良かったです。楽しんでおられる雰囲気が滲み出てて(いや、もっと強いですね)…溢れ出る高揚感の放射に目を刺されるようでした。ほんとに氏は本が大好きなんだなあと、楽しさが伝染してとてもうれしくなりました。ご飯を美味しそうに食べるひとに、女のかたが好印象を持つみたいな神話があるじゃないですか。アレです(違うかもしれません)。

本の読みかた、ハイパーとディープ、おもしろいです。というかヤンデル氏のハイパーな読みかた。概ね多読で広い知識を持ってるかたはハイパーな気がします。大きな投網でバーっと豪快にさまざまな知を取り込むイメージ。で、いろんな魚がとれるんです。狙ってた魚も初めてみる魚もこんなとこにいるはずもない魚も。イカやタコや、アシカやラッコの類まで。海は繋がってるから。発見の地図は楽しいだろうなあ。ばさーっと広げられたのを眺めてみたいです。僕はもともと一冊の本を読み始めると、読了するまで次にいけない。その本が気に入ったら、その著者の本を全部読むまで、また次にいけない。ずっと竿一本で釣り糸を垂れてるイメージ。あるいは浅瀬で見つけた一匹の蟹を、岩の隙間に入ってもずーっと見ている感じ。蟹に関してはとろうともしてない。いろいろ広げていくのは、最近やっと少しづつです。
地図の断片でも、いくつか持てたらいいなあと思っています。
(漁と釣りって、比べると時間の流れかたも違いますね)
『新記号論:脳とメディアが出会うとき』読んでみようかな(東浩紀さんの本は少しだけ読んだことがあって、小説『クォンタム・ファミリーズ』が面白かった記憶があります)。

そして令和最初の年末年始、やっと『フラジャイル』に浸らせていただきまして。布施さん、最高ですね。読んだ漫画のキャラクター大賞があれば1位かも。多田先生とのやりとりが素晴らしいです。中熊先生のいう「孫」感覚がとてもわかります。最優秀新人賞と500円玉をあげたい。あと13巻の、岸先生と間瀬さんが立ち飲み屋で会うシーン、165ページの最後の2コマは鳥肌が立ちました。めちゃくちゃカッコいい。あのシンプルさで、あそこまでの迫力、というか圧力まで感じるの、衝撃でした。ほんと贅沢な年末年始を過ごさせていただきました。お陰さまで。あーもうしびれます。

ところでいま、こないだtoi booksさんで買った『世界を、こんなふうに見てごらん』日髙敏隆(集英社文庫)を読んでるんですけれど、めちゃくちゃ素敵なんです。自然科学系の本って、いままでほとんど読んできてこなかったんですけれど、あ、でも、この本は自然科学書じゃない、というかジャンルで区分できないんですけれど。これ、体裁は文庫なので、ウチ含めて普通の本屋では、集英社文庫の著者別「ひ」の棚に置かれてるわけです。単行本も、日髙敏隆さんの本は「自然科学書」のコーナーに置かれてるわけです。これってつまりtoi booksさんでなければ、僕はこの本に出会うことはなかったということなんです。ああ。最初僕はいま読んでる本を読みながら、面白いな、ヤンデル氏も好きそうだな、ってだけ書こうとしてたのに、すごく文が一人歩きして、本の出会いから本屋の棚とはいったい…なんてことまで考えはじめてます。打ちのめされてるんです。toi booksさんの棚は「不思議に触れる」とか「旅のはじまり」「夢の中へ」っていう棚割りなんです。もう、ほんと、しびれるんです。そういう棚のなかで、ひっそりと本たちがこっちを見てるんです。
思いもしなかったところで初めて見る本に会う。その場所を作られているという神々しさ。僕が、いまいるところで、その一部でも作れるとすればそれは「フェア」なんですけれど…。(だから「かも書店」をやってるとき、すごく楽しかったんですけれど)。ヤンデル氏もおっしゃってましたけれど「フェア」(棚でも本屋ごとでも)というかたちのことは、もっと深掘りしなくては、と思っています。あ。で、今回、目があったのが『世界を、こんなふうに見てごらん』なんですけれど、ヤンデル氏はこういうの(文体も含めて)好きなんじゃないかなあと、読みながらところどころで思ってるので、ぜひ。(もしかしたらもう読んでおられるかも、と少し思いました)
最後、ちょっと、いま読んでる本をおすすめしたくなったことだけを書くつもりが、文が流されてしまいました。
もうすぐ2月が来てしまいそうなので、今回はここらで。
どうぞ2020年もよろしくお願いします。さらにお忙しくなられそうですけれど、何かの折にまたゆっくりお話しできたらなあと思っています。あ。3月に、かの書房さんのイベント行きます。

追伸。西野マドカさんにもお会いしてみたいです。ショーペンハウエル『読書について』、僕たぶん読んでるんですけれど内容覚えてないんです。実家にあるはずだけれど、あらためて買って読んでみようかなと。

(2020.01.29 前田 → ヤンデル氏)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?