サラリーマン哀歌
こういう話が、身近で実際にあった。
ヲタク向け漫画を描いている、友人の叔父さんが地方議員だった。
「甥が漫画家」だってんで、選挙チラシのイラストを依頼されたそうだ。
お題は、「お問い合わせはこちらに」という、女性が受話器を持ってるイラストでした。
彼の中では「思いっきりニュートラルに電話を受けている女の子」を描いたつもりがリテイク(描き直し)。
リテイク。
リテイク…。
リテイク……。
「うぅ、バック(収入)なしで、なんでこんな苦労せなかんねん?」
その悩みを聞いた俺は、「著作権フリーのイラスト集をトレースしちまえよ」と助言した。
えと。
一発で通ったとか…。
本人は至って解せない風だったが、そんなもんだ。
世の中って奴は。
世の中の求めるモノと自分が提供できるモノのギャップに悩むことがある。
それは。
会社が求める「俺像」であり、女の子が求める「俺像」でもあり、自分が求める「俺像」でもある。
誰しもが心に空白を持っていて、その空白を求める。
その「最大公約数」を導き出し、提供するのがビジネスだ。
分かっている。
それ(則ちニーズ)を気にしなければ、普通の会社なら当然潰れるだろう。
R18業界である当社だって、当然そうだ。
ま。
「絶対に一人しか買わない(逆に言えば一人は絶対に買う)モノを1千万円で売る」のもビジネスではあるが、そこに言及するとキリがないので割愛。
つまり何が言いたいのかと言えば、だ。
「なんで、俺が描くキャラは会社でのウケが悪いんだよぅっ!」とか、そういうことに他ならない訳です。
心の中の仮面の男が囁く。
「だからさ…。そういうものなんだって」
しかも、自分的に納得のいかないシナリオを、作画担当に絵とアドリブでキッチリとカバーされて(俺的な)次第点まで押し上げられた日にゃ。
また負けた気分。
もう。
何がなにやら。
しくしく。
悔しいけど、ありがとう…。
そんな気持ち。
――そして、いつも俺の意を汲んで(趣味が似てるだけ、という話も…)、最良のアウトプットをしてくれているハリーさんにも、この場を借りてお礼申し上げます。
タメになるコトは書けていませんが、サポートいただけたら励みになります。よろしくお願い申し上げます。