優しく傷ついていく夜のために

深夜の電話。
非通知設定。
あぁ、またか。

もしもし、キタナカです。
「…ぁ」
よう、A子。久しぶりだな。
「…キタナカ?」
なんだ?

「怖いよ…。人が怖いし、そういう風に自分から人を遠ざけようとする私が怖いんだよ」
うん。
「みんなキライだ! 私は一人でいいよ、その方が気楽だもの」
そっか…。
「きっと、私には人を好きになる資格なんてないんだよ!」
あぁ…、また好きな人ができたのか? よかったじゃんか。
「よくないよ! どうせ、また傷つけて傷つけられるんだよ!?」
分かってるんじゃんか。「人を好きになる」ってことはソレの繰り返しだ。
「じゃあ好きになんか、なりたくないよ?」
う~ん。一概に「それ」をオススメする訳にはいかないなぁ。(苦笑い)

「私はキタナカがいればいい! 電話でしか話さないけど、それでいい!」
…。
「どうしたの? キタナカ!?」
いつか言おうと思ってたんだけどさ。
「うん?」
俺に電話してくるの、もうやめろ。
「ヒドイよキタナカ! どうしてそんなこと言うの? キタナカだって『A子と話すと楽しい』って言ってくれたじゃない!?」
うん。
「じゃあなんで!?」
もう…いいんだよA子、君は苦しまなくても。
「え…?」

いいかい? 『お前は俺自身』なんだよ。
弱ったお前を利用して、自分自身を慰めたって一歩も進めないんだ。
俺だって、そんなことはずっと分かってはいたんだ。

今までありがとう。
俺の話し相手になってくれて。
ずっと辛かったろ?
お前に、ずっと損な役回りをさせてきたものな。
でも、もういいんだ。
さぁ。
俺の中で、ゆっくりとお眠り。

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