12万文字の「表記のゆれ」で眩暈がする

「「お疲れ様(ッス)~」」(この鉤括弧表記は、どうなんだろう?)
ああ、三人ともありがとう。でも、区切りのいい所まで書いただけだぜ。
「結構、時間がかかったッスね?」
うん。「世界を変える」ってことの恐ろしさを書き始めたら、手が止まらなくなってさ。気付いたら「陰鬱(いんうつ)」な会話に流れていったんだ。

「それは。正常な反応だと、私めは思いますわ」
だな。でも、俺的にはコメディを目指しているわけだ。読んでいる人まで、不安にさせちゃイケナイんだよ。結局。4,000文字以上まで書いてから、きづいた。
「そうですね。店長は、何かに夢中になると、わたしが声を掛けてもきづいてくれないんで、けっこう大変ですもんねえ」

「で。どうしたッスか?」
リカバリできそうなところまで戻ったら、1,500文字になってた。
「それはまた、なんというか――」
でも。コレに関しては、後悔していない。いくら「成功する」と分かっていても、読んでくださる人たちの心に「しこり」を残したくなかったんだ。

「実際に書いてみて、どうだったんですか?」
いやあ。ノドカに関しては、最初に「暴走モード」を書いておいたほうが良かったかな? って思ったよ。グラフィックはハデ目だけど、性格が地味だからなノドカは……。
「ガーン! 地味なんですか? わたしって……」
いや、思いもよらなかった。もっと俺に絡んでくると思ったけど、ミライのほうが最初に話しかけてくる確率が高いからな。
「カコは! カコはどうッスか?」
カコは個性が強すぎて、出てくるとうるさくなるから下がってもらってる。
「しゅん……ッス」
「じゃあ! 私めの出番が多いんですの?」
「そう! って言いたいところだけど、今回は『出題編』だからなあ」

『だね。あたしが一番、しゃべってるね』
うお、ヒジリ! でも。まだチュートリアル直後だから、俺も知りたいことだらけだからなあ。大体【ハッピー難易度】ってなんだよ?
『まだ教えるときじゃないから、教えたげないよーん』
まったく! 最初っから「絶対不可避」の悲劇(ひげき)を押しつけてきやがって……。
『でも、難易度は“星一つ”だよ?』
それな! フツーに街が消えるレベルの悲劇じゃねーか? どこが「星一つ」だよ!
『う~ん、あたしも思いつきの部分があるからさ。テヘペロ☆』
思いつき! これから、どんどんハードルが上がってくじゃねーか!

というわけで、続きを書きはじめたんだよね。
コレが、実につらい。
実は、この文を書いているのもつらい。
これは。「自分へのご褒美」にはならないなあ。
どこが違うか、わかりますか?

そう! むずかしい単語は、漢字にしていないんです。
使っているテキストはココまで極端じゃないし普通に読めるんですけど、「屋敷(やしき)」とか「面倒(めんどう)」とかにルビが振ってあると不安になる。
そのくせ、「吟遊詩人」とかはルビなしだったりもする。
「宙吊(ちゅうづ)り」とかは、誤読の可能性もあるかな? と思うけど、屋敷は分かるでしょ? 面倒くさいなあ。

実際に今、テキストを二〇ページほど読んでみたが、少なくとも「ない」「わけ」「わかる」等々は、すべて漢字が開かれている(すべて私は漢字にしてしまいがちな表記を選んだ)。
つまり。
すべて組み合わせると「わけがわからない」という表記になる。
※個人的には、頑張っても「わけが分からない」までだ。普通に書くと「訳が分からない」になる(「やくがわからない」と誤読する?)――
これが、「読み手の目線になる」ということなのだろう。
秀丸さんの「Ctrl+R」で置換を行なえばいいのだろうが、どれだけのサーチを行なえばいいかすら、わからない

家人にそれを話すと、その人が書いた同人誌を見せてくれた。
当たり前の話だが、「普通の大衆小説」くらいの文章だ。
※いや、それって凄いんですよ?
家人に送られてきた(差し障りない)メッセージとかも見せてもらった。
普通に、頭がいい人の文章だ。

これが……プロか!
「当たり前でしょ? 彼(女)が何年、第一線で書いてると思ってるの?」と家人。

打ちのめされた。いや、今も打ちのめされている。
「リンゴを下さい」と「リンゴを食べてください」の違いくらいは知っていた。でも、一般的にはすべて「ください」と開くべきだそうだ。
先述した「ない」についても同様に「珈琲が、無い!」とは使うが「分から無い」とは使わないよね。本当は、すべて開くべきなようだ。
頭がパンクしそうだ。
開くと読点が増えて「(自分が)気持ち悪い」場合は、今まで漢字にしてしまっていた表現も多い。
それが「表記のゆれ」という奴なんだろう。

これは、まいった。
とりあえず、「出来」を「でき」に全置換しよう。
「無い」を「ない」に、置換しよう。
いや。
とりあえず(コレも「取り敢えず」と使ってしまう……)、気にしないのが吉だろうか?
まだ俺は完全覚醒には、ほど遠いので、12万文字までは書いて完結させたい。
元々、文章に偏執的なコダワリを人間は、プロにはなれないのだろうか?

――本っ当につらい。(筋肉少女帯「サンフランシスコ」)

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