【3/5更新】私の雑想に影響を与えた名曲たち(そして私の雑感)

当初は「歌詞を聞け!」という私のエゴから、「『調べてから聴く』くらいの心意気がある人に聴いて欲しい」と思い、「リンクは貼りません」と公言していました。
でも、「意固地になりすぎるのも如何なものか?」と思い直し、リンクを貼るようにリニューアルしました。
「私が気に入っている音源(ライブ音源か、CD音源か。又、セルフカバーの場合は、当時の音源)」を探したので、意外に手間が掛かってるんですよ?
もちろん。私自身は全曲CDを持っていますが、アップロードするのはルール違反でしょうからね。
まあ。
実際のところは、「歌詞を掲載している『うたまっぷ』などのサイトでも、URLじゃなくてプレビュー表示されることが分かった」からですけどね……。
本当に「note」は「痒い所に手が届く」設計ですね。
ここにして良かった、と本当に思っています。
――本当に「クリエイターを目指す」方々には、申し訳ない話ですが……。

【注意事項】
「『音楽』が好きで、歌詞は二の次」という方には、オススメしません。
私における名曲の判断基準は、音楽性より歌詞がほとんどです。
だから、日本語の曲しかありません。
一曲だけ聴いてみて「つまらない」と思ったら、次の曲は聴かなくても構いません。
ただし。
聴く時は、歌詞を画面に表示させながら「歌詞」を聞いてくださいね。
「歌詞のリンク」「音源へのリンク」「私が好きな理由」「雑想」という順にしている理由こそが、それなんですから。
なんだったら歌は聴かなくてもいいから、歌詞だけでも読んで欲しいと思っています。
私が「どうして、こんな俺用の歌詞を思いつくんだろう……」と思い感服した名曲ぞろいです。
思い出したら逐次追加していくので、たまーに覗いてみると私の原点を知ることができると思います。

■大槻ケンヂ「人として軸がぶれている」

歌詞は、コチラ。

元々、筋肉少女帯が大好きでした。「空手バカボン」時代からのファン。
世間では「コミックバンドの色物枠」として認知されていることでしょう。
ですが。実際は「筋肉少女帯」のすべての曲は、「世界観」を持っている「物語」なのです。
大槻ケンヂ氏は、「音楽」という表現手段を選んだ詩人なのです。
「サボテンとバントライン」などは、頭の中で映像化できるレベルの世界観を描き出しています。
限りなくピュアでペシミスティックで皮肉屋な大槻ケンヂ氏の核(コア)。
それを馬鹿々々しく笑い飛ばす胆力。
恐らく、この記事の中で「筋肉少女帯」は何曲も出てくると思います。
※「アーティスト自体」が好きな時は、このように感想の前に書きます。その場合、そのアーティストの曲が全部好きだけど、敢えて一曲をチョイスしたと思ってください。気に入ったら、他の曲も聴いてみてください

で、雑感。
自分は特別な存在だと信じる(そして、それを人生の「よすが」とする)

どうやら自分は普通の存在らしい、と気付く

それでも、自分と周りの価値観の違いに驚く

どうやら、俺は社会不適応者らしい
という、オーケンの基本メソッドが詰まった曲です。
最初に聴いた時は、本当に泣きました。
私にとって、「人生の応援歌」の筆頭です。
「ナンバーワンじゃなくたって、君はオンリーワン」みたいな綺麗ごとは、結構なんです。
「自信」なんてものは存在しない! というのが、私の結論なんです。
私は流石に慣れたけれど、ダメな人はダメなんだろうと思う。
「俺(私)は特別なんだ!」と意固地になるか、「俺(私)はダメ人間なんだ」と閉じこもるかの二択。
片や。
世の中には「根拠のない自信」を持ってる(ように見える)方々がいます。
私は、そういう方々を眩しく思い、羨んでやまないのです。
けれども、オーケンは嘯(うそぶ)いてみせます。
「俺は人生の軸がブレてるけど、ブレまくって震えてるのを分からないようにしてやるぜ!」と。
そして。
最後に「私がいるよ、気付いて」という女性コーラスの、優しさと救済。
是非。
私は、この曲を日本の「自信を持てない」人たち全員に聴いてもらいたいと思っています。

■ヤプーズ(戸川純)「好き好き大好き」&「パンク蛹化の女」

歌詞は、コチラ。

※「パンク蛹化の女」については、敢えてノーマルバージョンも収録されている音源を貼りました。私自身は「パンクバージョン」の「CD音源」が好きですが、ここは比較できる音源を選択しました。


戸川純さんも大好きでした。私が描く記事タイトルの原点は、彼女が個人名義で発表された「諦念プシガンガ」からの影響だと気付きました。
それくらい、私の中で浸透しきって心酔しているボーカリストです。
戸川純さんは、世間では「エキセントリックで電波系な女性歌手」という認識だと思いますが、物凄く繊細にして等身大な女性の弱さを、攻撃性やエロスで笑いに昇華しています。
代表曲としては個人名義で発表された「玉姫様」が挙がると思いますが、彼女自身がラジオのインタビューで「この曲のテーマは『生理』です!」と公言しておりますので、男であるところの私が語るのは憚られます。
椎名林檎さんに似ていると思われる筋もあるでしょうが、戸川純さんの方が私は好きです。
※私は、アーティストを「こちらが元祖」みたいな論調は嫌いです。椎名林檎さんのCDも当然、持っています
椎名林檎さんは「声を楽器」として考えられている方なので、アーティスティックではありますが歌詞の感性が私には若すぎるのです。
関連ワードとしては、「ヤプーズ」や「ゲルニカ」も戸川純さんがボーカルです。
入門としては「ヤプーズ」名義の曲が一番、入りやすいと思います。

で、雑感。
私は「パンク蛹化の女」の方が好きですが、自分が昔はパンク小僧だったのが理由だと思いますので、ポップな「好き好き大好き」と併記しました。
この二曲の共通のテーマは、「失恋と執着」です。
ま、彼女が歌う曲のモチーフとしてはメインなので、「諦念プシガンガ」も同じです。
ちなみに、「パンク蛹化の女」の原曲はパッヘルベルの「カノン」です。
綺麗な曲とパンクのギャップが、先述した女性の弱さと攻撃性と相まって強烈なイメージを与えてくれます。
「好き好き大好き」についても、今で言う「ヤンデレ」の元祖とでもいえる曲です。
曲の主人公が、決して「恋愛ヒエラルキー上位じゃない」と分かってしまう辺り、戸川純さんの真骨頂と言えるでしょう。
彼女の歌う「絶望」は、美しく笑いの中に溶け込んでいきます。
「男と女は別の生き物」と言われていますが、この曲を聴いていると自分の「女々しさ」すら愛おしく思えるようになりました。
※「女々しさ」という言葉は、男性に対してのみ使われる侮蔑の言葉だと私は認識しています
是非。
男女問わず、聴いていただきたい名曲なのです。

■BUMP OF CHICKEN「ラフ・メイカー」

歌詞は、コチラ。

※元音源が見つかったのは、この動画だけでした。明らかに公式じゃないですね。他は別の人が歌っているので、徹底した削除を行なったのでしょう。この動画もリンク切れするかも知れません
【0306追記:削除されたので、リンクを消しました】

「BUMP OF CHICKEN」も大好きです。バンド名の和訳が「臆病者の一撃」という時点で、私が嫌いな訳がない。
代表曲は「天体観測」でしょうか? それともアニメ「ワンピース」でタイアップした「sailing day」? 世の趨勢には疎く、自分が好きなアーティストは買い続けるスタイルなもので……。
作詞&ボーカルの藤原基央氏は、大槻ケンヂ氏と同じ詩人です。
違いは、大槻ケンヂ氏は「絶望」や「悲しみ」を赤裸々に描くスタイル。
藤原基央氏は、「弱者の苦しみを優しく包んでいく」スタイル。
個人的には大槻ケンヂ氏の方が好きですが、声質としては藤原基央氏の方が綺麗ですし、なにより「優しい」。

で、雑感。
落ち込んで泣き暮らす青年と、訪れた笑顔の配達人「ラフ・メイカー」。
「帰ってくれ!」と叫ぶ青年。
「笑ってもらえなければ帰れない」と困るラフ・メイカー。
聴けば分かると思うのですが、この二人は同一人物と私は解釈しています。
悲しいことばかりの世の中だけど、笑えるような人生を歩みたい。
そのジレンマが、二人の掛け合いの中で混ざり合ってくる。
ラフ・メイカーも困り果てて泣きそうになるのは、喜怒哀楽は別個のものではなく全てがリンクしたモノであるという証左。
やがて二人は――という歌(物語)です。
当時。私が日記を書いている理由を、綺麗な歌で教えられたような気分になりました。
馬鹿をやって不安な自分を鼓舞したい、キタナカヒロユに刺さりました。
自分を応援してあげたい。
是非。
そんな、ちょっぴり落ち込みがちな方に聴いて欲しい名曲です。

■CHiCO with HoneyWorks「乙女どもよ。」

歌詞は、コチラ。

本家本元と、私好きなアニメのOP動画を併記しました。先に入ったアニメのOP曲の方が世界観に合ってると思うのは、「刷り込み現象」でしょうか?

毛色の違う、アーティストからではなく歌から入った曲も紹介します。
アニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」の、オープニングテーマ曲。
歌詞内容はアニメの内容とリンクしているので、思い入れが深まった部分があることは否めないです。

で、雑感。
テーマとしては、「女子高生のリアル恋愛」といったところでしょうか?
いきなりですが、閑話休題。
男性は、とかく女性を神聖化しがちだ。
なんとなく「女の子は、エッチなことは考えない」と信じたがっている。
特に思春期の男子は、そう思い込みがちで自己嫌悪に陥ったりもする。
だが、実際は女性の方が成長が早い。
第二次性徴も早いので、「子供を産めるようになる」時期も早い。
男子の「女子の神聖化」は、ひょっとしたら無意識下で女性に向かう性欲に対する抑制装置なのかも知れないと思う。
とにかく、大人になるのは女子の方が早いのである。
ややもすれば、大人になっても男性の方が子供っぽい。
世の奥様方が「子供が一人多くなったような感じ」と表現するのも頷ける。
その中でも多感であると言われている、女子高生の「少女漫画の少し先」。
直截的に言えば、「結婚できる年齢の女子」が女子高生だ。
オープニング曲として起用されたアニメの作中で、五人の女子が「死ぬまでにしたいこと」を語らうシーンがある。
美少女が、しれっと「私は、セックスがしたいです」と言ってのける。
他の四人は愕然とするが、至極真っ当な意見だと思う。
そんな。
女子高生たちの「前に進む固い決意」を歌ったのが、この曲である。
本のページを年齢に喩えてみせるような言葉遊びも、耳に心地よい。
綺麗ごとだけじゃ、恋愛なんか成立しない。
自分の感情を、定義付けすらできない。
これは、「愛」なのか「恋」なのか? 先に進まなければ、答えは絶対に見つからない。
自分を奮い立たせて前に進むのだ、という決意の歌。
歌詞全編を本になぞらえ、「痛みを知ってゆけ、栞(しおり)はいらない」と歌いきる。
実に痛快で、それでいて哀切な歌詞だ。
もちろん、私は女子高生になったことはない。
そして。
女性におかれても、「女子高は動物園だよ、わはは」と仰る方もいる。
それを加味しても、本というモチーフと恋愛を見事に調和させた歌だ。
是非。
男女問わずに「一歩だけ進む勇気が欲しい」人に聞いて欲しい名曲である。
【余談】
曲が気に入って、かつアニメに抵抗が無い方は、併せて視聴することをお勧めする。
「どちらが先なのか」とか野暮な詮索はしないが、実に内容がシンクロしているので、逆に曲のイメージアニメとして秀逸である。

■JAGATARA「つながった世界」「そらそれ」

歌詞は、コチラ。
※「うたまっぷ」に無かった……。

リアルタイム世代ではないが、八十年代に過激なライブパフォーマンスで有名だった「JAGATARA」。
ヴォーカルがナイフを自分の額に刺しながら血塗れでライブをしたり、生きたニワトリの首を食いちぎったり、本職のSM女王様に鞭でシバかれながら歌ったりしたのが雑誌で紹介されたりしていた。
さらに、テレビの生放送中に他のバンドメンバーが乱入して乱闘騒ぎを起こしたため、世間では「狂ったパンクバンド」と認識されていたと思う。
作詞・作曲(全曲ではないが)・ヴォーカルの江戸アケミ氏は精神疾患を患い、一九九〇年に自宅浴室にて変死した。
その際に追悼リリースされたベストアルバム「西暦2000年分の反省」を購入して、大好きになった。
音楽性としては、一般的に「Kill the Nation!」という風情の「音楽のジャンルとしてのパンク」ではなくファンクロックで、非常にレベルが高い。
ホーンセッション(後期)やコーラスも素晴らしく、音源で聞いただけだと「格好良いバンド」という感想を抱くだろう。
歌詞も決して暴力的ではなく、(時期にもよるが)優しく繊細な江戸アケミ氏の人物像がうかがわれるものだ。
長い物語調の曲が多く、世界観がしっかりしている。
代表曲は「タンゴ」。
ライブ音源よりCD音源の方が優しく歌っているので、お試しで「youtube」などで聴く場合はCD音源の視聴をお勧めする。

で、雑感。
「つながった世界」は、過去・現在・未来は繋がっているものであり、懐かしんだり未来に絶望したって、意味はないというテーマ。
「もし君が過去を羨んでみても、その時はその時で大変だったろう? もし君が未来を絶望して悲しみに暮れても、その時はその時でどうにかなるもんだよ。だから! 『今が最高』だと言えるようになろうよ」という内容。
実に明快な三段論法で、現状肯定をしてみせる。
単なる「現状肯定主義」に留まらず、「優しい過去」と「逞しく生きていく未来」も全部ひっくるめて認めていこう、という江戸アケミ氏の優しさが伝わってくる。
「そらそれ」は、掃除屋さんの歌。
掃除屋は考える。
街を歩く人たちは、人のアラ探しをしたり自慢話に夢中な奴ばっかりだ。
よくもまあ、毎日々々飽きもせず他人と自分を比べてて疲れないもんだね。
でもまあ、おいらには関係ないや。
おいらの仕事は、街掃除だ。
虚飾だらけのこの街を、おいらがピッカピカにしてやるさ。
金にも縛られなければ、しがらみにも縛られない。
こんな楽しい仕事は、他にないね! という歌。
相当にシニカルでパンキッシュな歌詞だが、軽快な曲調とホーンセッションを加えた音楽の厚みで、真っ直ぐ健全に捉えさせてくれる。
ラジオ番組のジングルで、この曲のイントロが使われていた。
楽曲としての完成度が高い証明であろう。
世界もぶっ飛ぶほどの大掃除「ヘイ! やったぜ!」
この二曲の共通点。それは、「貧富の差や後悔や先行きの不安で、人生の貴重な時間を浪費するなんてバカらしい。今を、ありのままに受け入れていこうじゃないか!」というシンプルでポジティブなメッセージ。
「もうがまんできない」という曲でも、「お前の考え一つで、どうにでもなるさ」と歌っている。
大金持ちの家に生まれて二十歳で事故死するのと、貧乏だけど周りに恵まれて天寿を全うするのは、どちらが幸せなのか? 考えてみて欲しい。
「禍福は糾える縄の如し」の先に、「人生、楽しんだもの勝ち」という軽薄な真理を捉えた歌だと思う。
是非。
「自分が他人と比べられて相対評価される現代社会に疲れた」方々に聞いて欲しい名曲である。

■amazarashi「無題」

歌詞は、コチラ。

私と音楽の趣味が近い友人のハリーさんに、「コレ、絶対に喜多仲が好きだよ!」と啓蒙され、聞いてハマった「amazarashi」。
作詞・作曲・ヴォーカルの秋田ひろむ氏は、やはり詩人である。
今までに書いてきた詩人たちの中では、極めて直接的に「現実」をベースにした痛々しい世界を、オブラートに包まずに歌っている。
世界は残酷で、悲しくて、空しくて、平和なんて所詮まやかしで。
そういった「何もできない自分の女々しさ」や「悔恨」を。
ある時は「自分の内面への攻撃性」で、ある時は「自虐や衝動」で打ち消していく――。
そう「マイナス×マイナス=プラス」というイメージだ。
閑話休題。
私は「ネガティブ思考のパンク」が好きだ。
私の持論ではあるが、「ネガティブ思考のパンク」の源流は「フォークソング」にあると考えている。
amazarashiは間違いなく、この系譜を辿っていると思う。
ナイーブ過ぎる楽曲を発表するアーティストなので、毒にも薬にもなってしまう危険性も孕んでいる。
行動的だけどストレスを溜め込みやすいハリーさんは、極限までストレスが溜まると「ワンルーム叙事詩」を聞くそうだ。
自分の部屋に火をつけて、自分が大切にしていたガラクタ(宝物)も思い出も全部、燃やし尽くせ。それでも僕は「人生」って奴には負ける訳にはいかない! という虚無感と、「それ」との決別の歌だ。
私には「自己への攻撃性」がリアル過ぎて、元気がない時には逆に落ち込んでしまいそうで怖い。
だが、それは私が極端に女々しくてナイーヴな人間だからだと思う。

で、雑感。
amazarashi楽曲の中では自己への攻撃性がない、「無題」を選んだ。
極端にナイーヴな方は、「無題」から聞いた方が良いと思う。
売れない青年画家と、付き合っている彼女。
一枚も絵が売れない日々が続いても、彼女だけは青年の絵を褒めてくれた。
ある日。
一枚の絵が売れたのをきっかけにして。
彼は一躍、時の人となった。
描けば描くだけ売れて、感謝をされれば気分も悪くない。
そして、ついに最高傑作「人間のキレイも汚いも、すべて描いた作品」が完成した。
彼女も「素敵な絵」だと絶賛してくれた。
しかし、世間からは酷評されるばかり。
そんな「穢れた人間の本質」なんて見たくない。
綺麗な絵だけしか我々は見たくないし認めない、と。
そして。
終(つい)には、彼は画家として失墜してしまう。
また。
同じ部屋で、一枚も売れない絵を描き続ける青年。
違うのは、「彼女がいない」ところだけ……。
そんなある日。
彼の絵が、久しぶりに一枚売れた。
買った人からのメッセージは――。
という、純粋で綺麗な物語だ。
みうらじゅん氏の漫画「アイデン&ティティ」と通底するテーマだ。
「同じことを続けているのに、周りの勝手な評価で振り回される理不尽」に対して、怒るでもなく「ただ、風景だけが変わっていく」と飄々と言ってのける青年。
そして――。
最後には、とびっきり素敵な救済が青年に与えられる。
是非。
「世の中の理不尽に対して、怒りが収まらない」諸賢に聞いていただきたい名曲である。
そう、「変わっていくのは、いつも風景」だけなのだから――。

■chelmico「Easy Breezy」

歌詞は、コチラ。

公式と、アニメOPの映像を列記。このアニメーションは、BDになったら絶対に買う! と、ここに宣言する。

新しい音楽を追いかけなくなって久しい私。
新しい音楽を知るメディアは、アニメーションの主題歌ばかり。
閑話休題。
二〇二〇年二月現在、放映中のアニメで気に入っている曲は「ソマリと森の神様」の主題歌である森山直太朗「ありがとうはこっちの言葉」だ。
しかし、この曲はタイアップではなく、「作品」から書き下ろされた曲。
だから、私は「楽曲」としても好きではあるが、それは取りも直さず「ソマリと森の神様」が好きであるということ。
実際に、放映前に「ソマリと森の神様」のPVを視聴しただけで泣きそうになってしまった。

優しい世界の中で、絶対にハッピーエンドがない物語。
PVを観ながら、「どう終わらせるのが一番、美しいか?」と何種類もプロットを練ってしまった。
ストーリーテリング好きな自分の、悪い癖だ。
別の機会に(最終話を観終わったら)、アニメ評を書きたいかな? というアニメ。
この記事の趣旨から外れているが、「アニメ」のPV第二弾を観た後に「オープニング曲」を観て(聞いて)みて欲しい。森山直太朗氏(と一緒に活動しており、作詞をしている御徒町凧氏)の感受性の豊かさに脱帽すること請け合いだ。

【4/12追記】
OP曲も消えていました。フルの曲じゃないし、公式だと思っていたのですが……。うーん、聞けなくなって残念です。

相当、脱線してしまったが――。
私は専ら、「私の趣味を知り尽くしている」友人たちから勧められている音楽を聴いている。
その中でも、ハリーさんは私の趣味を「私よりも知っている」人だ。
そして、勧められたのがchelmico「Easy Breezy」だった――。

で、雑感。
前置きとリンクしているが、正直なところ私は勧められてビックリした。
私が気に入っている漫画「映像研には手を出すな!」がアニメ化して、オープニング曲をyoutubeでリピート再生していたからだ。
その曲こそが、chelmico「Easy Breezy」だったからだ。
曲が速く歌詞も聞き取り辛かったが、耳に心地よいし「からかった奴らは、どっか行っちゃった」とか「ここでは誰もが王様なのね」とか「どうせやるなら、面倒くさくなろうぜ」等、歌詞もロックっぽくて作品の世界観に合っているから聴いていた。
「歌詞を読め! 歌詞を!」とハリーさんに怒られて、歌詞を読んだ。
クリエイティビティに溢れた人に向けたロックな歌詞で、頭を「ガツン!」と殴られたような気がした。
因みに。私は文字を打って金をもらっていたが、「クリエイターではない」と自認している。
「すべての物語は焼き直しであり、違うモチーフに置き換えることが出来る」と標榜しているからである。
そんな私をして。
「神が下りてくる」系のクリエイターの気分を追体験できる歌詞だった。
歌詞を読みながら、何十回も聴いた。
頭に歌詞が浸透したら、名曲になった。
是非。
私と違い「クリエイターを自認する(又、そして目指している)」方々が、自分を奮い立たせたい時に聴いて欲しい名曲である。

■電気グルーヴ「March」「N.O.」

歌詞は、コチラ。

※ようやく「MARCH」の音源を見つけましたが、違うバージョンでした。
そして「N.O.」は、最初に聞いた音源です。この頃は、「無能の人 (LESS THAN ZERO) 」というタイトルだったはずなのですが……

学生時代に、パンクロッカー(ドラム)の友人に「もう聞かないから、やるよ」と渡されたのが、電気グルーヴの「662 BPM BY DG」。
元々。私が「ナゴムレコード」好きだったから、勧めてくれたのだろう。
そのアルバムに、「N.O.」の原曲である「無能の人 (LESS THAN ZERO) 」が収録されていて、一発でヤられました。
当時。
テクノという「音楽シーン」では、「YMO」の劣化版が跋扈していた。
だが、電気グルーヴは違った。
「スラッシュテクノ」というカテゴリだが、ジャンルなんて私は知らない。
CM曲のサンプル音源を主に構成された曲(明石家さんま氏の声も含まれていたりする)。
「昔の放送コードに引っ掛からなかった『どいつもこいつもキチガイだ』という台詞」のサンプル音源をヴォーカルにして、歌わせた曲。
※私がリアルタイム世代じゃない「巨人の星」の再放送で、「父親を貶された」飛雄馬が「うるさい! 父ちゃんは日本一の(ピー)だい!」というシーンがある。実際は「日雇い人夫」という台詞だったらしい。私は「言葉狩り」を憎んでいるので、腹立たしかった
それらを「すべての音はカッパらえ! だけど停電だけが恐ろしい」と歌ってのける、清々しいまでのクズっぷり(誉め言葉)。
当時。電気グルーヴを聴いて、「新しいテクノ」の時代を確信しました。
実際は、ジャングルテクノやラガテクノが流行って、トランスに移行していきましたけどね……。
このアルバムの曲も、メジャーデビューしてからセルフカバーされている。
しかし、「放送禁止用語」や「過激な表現」は修正されている。
youtubeで「662 BPM BY DG」を聴きながら、「電気ビリビリ 歌詞」で検索して歌詞を読みながら聴くと、笑いが止まらなくなること請け合い。
「死姦マニア(厳密に言えば『死体マニア』)」が「下着マニア」に直されてたりしますからね。
まあ「死姦」は流石に、無理ですよねえ。
原曲の方が全然、自由奔放で遊び心に満ちている。
不快に感じている暇もない面白さ。
あ、忘れていました。
電気グルーヴの代表曲は、「Shangri-La(シャングリラ)」だと思います。
当時の一般認識は、「突然、現れて一気にメジャー化したギャク調テクノ」じゃないかと思う(「スチャダラパー」と同じカテゴリ。後にコラボしたから間違いない)。
メジャーに転身して「正統派テクノ」になっても聴き続けていたから、石野卓球氏の音楽性は只物ではなかったんだなあ、と感心しきり。

で、雑感。
「March」は、「寂しい別れ」を「切ない笑顔」で乗り切ろうぜ! という曲です。
※最初。「N.O.」の方が好きなので先に書いていましたが、「March」の方が「救い」がある曲なので、順番を替えました
散々。「面白い」という認識を植え付けてしまいましたが、このような切ない曲の方が、他曲とのギャップで心に染み入ります。
曲に物語性がないので、説明しようとすると「歌詞そのもの」になってしまうところが困りものです。
ワンフレーズだけ挙げると、ラストの歌詞でしょうか?
「なんだって、いいじゃないか。どんな人だって、百年後は死んじゃうんだよ。最後まで変わらない「やるせない気持ち」を、バカ面で誤魔化してお別れしようぜ(でも。少し、切ないね)」という曲です。
父が鬼籍に入った際に、暗い部屋で膝を抱えて蹲(うずくま)りながらエンドレスリピートで聴いていた曲です。

「N.O.」は寂しくて可笑しくて切ない曲です。
フリーターの男。
通うべき学校はない。
家庭も持ってない。
カーテンもなければ、花を入れる花瓶すら持っていない。
俺は「ないない尽くし」だ。
話す言葉はポジティブだけれど、心の中はネガティブ塗れ。
窓から外を見てみれば、バカな奴らがはしゃぎ回ってる。
それを横目に、そっと舌打ちをしてみせる自分――。
なんと切ない、自己肯定ソングだろう。
是非。
「虚無感と戦いながら、人生を笑い飛ばしたい」方々がニヒリズムに浸りたい時に聞いてもらいたい名曲なのです。
――蛇足。
突然だが、私が「戯れ言」マガジン内で書いている文章は、電気グルーヴへのリスペクトである。
当時は、「露悪趣味全開」で「言葉狩り上等(当時使っていたサイトは『淫語』を弾く設計だったので、『チムコ』と書かざるを得なかった)」で、みっともなくて、モテない馬鹿々々しい自分を笑い飛ばしていました。
そして。書いている「中の人」である、私「喜多仲ひろゆ」の心根とマッチして、聴いていると泣けてくる曲が「N.O.」だったのです。

■筋肉少女帯「生きてあげようかな」

元音源はyoutubeには、ありませんでした。「ニコニコ動画」はコメントが流れて気が散るので、音楽を聴くあたっては、あまり好きではないんですけどね……。

初めて、アーティストがダブりましたね。
他のアーティストに関しても色々ストックはあるのですが、その時の気分で一番「聞いて欲しいかな?」と思う曲を書いていきます。
定期更新にしたいのですが、他の記事を書いていると忘れてしまいがちになってしまいます。
申し訳ございません。

で、雑感。
この曲は。
彼のエッセイによると、大槻ケンヂ氏と親しい女性が自殺未遂をして、見舞いに行った時期に作った曲だそうです。
ロックロックしてない優しい曲調で、大槻ケンヂ氏も語りかけてくるように歌ってくるので、心に負担がかからない曲です。
私は、好き過ぎてフルコーラス口ずさむことが出来るようになるまで聴きました。
――つまらない理由で、ふと「自殺しよう」と思い立った少女。
大のお気に入りの小説に、カミソリを挟んで街に出かけた。
「そうだ。次に飛行機を見たら死のう」
死ぬのは怖くないし、きっかけなんて「つまらない」方がいい。
良いアイディアだ。
青空の下、少女は空を見上げ続ける。
「思ったより、飛行機って飛んでいないものなんだな」
やがて、空は青から夕焼けへと移り変わっていく――。
少女の頭の中で、次々とイメージが浮かんでは消えていく。
――電池の切れた時計
――子供が成長して、捨てられていく縫いぐるみたち
――まだ使えるのに、買い替えられ捨てられていく電気製品
――私が、どんなに願っても、願いを叶えてくれない神様
――子供の頃には大切な「宝物」だったガラクタたち
それは、とても悲しいことだと少女には思えた。
それなら「代わりに、私が生きてあげようかな?」と思えた。
考え事をしている内に、陽はとうに暮れて月も出ようという時間だ。
「そうだ。月が出たら帰ろう」
少女はバッグに小説をしまい、家路に向かっていった。
――少女の後ろで……。飛行機が音もなく「少女に気付かれないようにしているかのように」静かに横切っていった。
スイマセン!
あまりに好き過ぎて、曲のオチまで書いてしまいました。
歌詞に無い内容まで書いています。
それは。取りも直さず、私の中で「美しい短編映画」みたいに映像が再生されているからです。
作られた背景まで知っていると、より鮮明なイメージが浮かぶ。
是非。
人生に倦んでいたり、軽く「死んでもいいかな?」と思っちゃった日に聴いて欲しい名曲なのです。
※「死にたい」と、少しでも思った事が無い人間なんて居ない、ですよね?

■ムーンライダーズ「9月の海はクラゲの海」

歌詞は、コチラ。

もう「ムーンライダーズ」なんて、知っている若い方は居ないんじゃないですかね? 
活動期間が長く、メンバーの名前を見ると大物揃いのバンドです。
まあ。「ムーンライダーズ」をwikiで見て、メンバーのリンクに飛べば「どれだけ多岐に亘(わた)った活動をしている人たち」か分かると思います。
※ギターの白井良明氏やキーボードの岡田徹氏は、あらゆる所で作曲や奏者をやっててビックリしたことが何度もあります
一般的な認識としては、「知らないけど、この曲は聞いたことがある!」という感じではないでしょうか?
実を言えば私も、生粋のファンではありません。
何故か学生時代の後輩にファンが多く、何枚か聴かせてもらった程度。
「MANIA MANIERA」と「DON'T TRUST OVER THIRTY」だったかな? 
でも。先述の通り、楽曲は素晴らしいです。
「MANIA MANIERA」は、前衛的な曲が多くて聴く人を選ぶと思います。
ですから「DON'T TRUST OVER THIRTY」から気に入ってる曲を紹介します。
因みに同アルバムには、作詞が蛭子能収氏の曲も収録されていたりします。
代表曲は、アルバム名に準じた曲名の「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」でしょうか?
あまりに長期に渡って活動しているし、CMタイアップなども多いので、正直なところ私は分かりません。
楽曲としては素晴らしいですが、「三〇歳以上の奴を、信じるな」という曲名からも分かる通り、若者の方には響かない曲(詩)かも知れませんね。

で、雑感。
最近のアイドルユニットもカバーしているようですが、まずはオリジナル曲を聞いてください。
ゆったりとした曲調で、歌詞も聞き取り易いです。
歌詞を検索された方は、「あれ? この歌詞、今までのオススメと違うな」と思われるかも知れません。
「Everything is nothing.」という歌詞が頻出してますからね。
そう。
最初に「日本語の曲しか勧めない」と書いた私の判断ミスです。
――と言いたいところですが、「Everything is nothing.」は、コーラス的な位置付けですので、セーフということでお願いしたいと思います。
歌詞は、「ふぅわり」と波に漂いながら、「君」のことを考えている「僕」というイメージです。
「硝子みたいに透明で、フィルムみたいに泳いでる」というクラゲの比喩表現は、綺麗だなぁと感心しました。
ゆったりと綺麗な旋律に乗せた「Everything is nothing.」という中学生でも理解できる歌詞も、「儚さ」や「虚無感」を感じさせて好きです。
私は。無私の時に、つい無意識で口ずさんだりしていますので、楽曲がいいのかなあ? とも思います。
私にしては、珍しい選曲です。
アイドルユニットのカバーは「こんなん違う!」って言ったら、家人に「それは、単なる懐古趣味なだけだよ」と言われました。
少しだけ落ち込んで、多分に納得しました。
是非。
「今日は疲れたなぁ」と思った日の寝る前に、聴いて欲しい名曲です。

■人間椅子「りんごの泪」

歌詞は、コチラ。

元音源は、全曲が入っている音源でした。説明文の中に各曲の始まる時間が書いてありますので、それで聞いてくださいね。

「人間椅子」は、今でも精力的に活動しているんですね。
いつの間にか、スリーピースバンドになっててビックリしました。
※自分が古過ぎるということに、敢えて目を瞑った発言です
むしろ。歌詞を探している時に、私が聞いていた初期作品の歌詞が掲載されておらず難儀しました。
※初期作品は過激な歌詞が多いので、ナイーヴな方にはお勧めできません。「心の火事」を筆頭として、「遺言状放送」とか「爆弾行進曲」とかも大好きでしたが、かなりハードな歌詞なので……
「心の火事」は、平気かな?
ライナーノーツも載っていてユーザビリティに優れている、フルアルバムの動画リンクを貼りました。当時の音源だったし……。
ナイーヴな方は、説明文から「りんごの泪」に直接跳んでください
「人間椅子」は、バンド名からも分かるように江戸川乱歩の世界をロックしています。
初期二人のメンバーが青森県出身なので、寺山修司に通じる「哀切感のある世界観」が好きでした。
※私の個人的なイメージです。青森県に愛着を持たれている方々には、申し訳ないと思っております
音楽性は、「プログレ成分も入った、70年代のハードロック」という感じ。
上記にリンクにある、イカ天レーベルのアルバム「人間失格」と、メジャーデビュー後のアルバム「桜の森の満開の下」しか持っていませんでした。
当時の私は、陰気で鬱々とした青年期を過ごしておりました。
暗い部屋の中、体育座りでヘッドフォンを使って聴いていた記憶があります。実に寂しい青春時代ですね。
このバンドは(当時は)かなりパンキッシュだったので、オススメするか迷いましたが、「自分の原点」には違いありませんので紹介します。

で、雑感。
「りんごの泪」は、「ドナドナ」の林檎バージョンです。だから、切なくて悲しい。
以上。
では、少し説明が足りませんね。
「ドナドナ」の牛たちと違い、「りんご」たちは人間の身勝手さを恨みます。その流す血の泪で、りんごは赤くなる。
「弱い者の精一杯の抵抗」というメッセージだと思います。
是非。
「苦しさに煩悶しつつも、その力をアウトプットできる余力がある」人たちに聴いてもらいたい名曲です。

■ユニコーン「スターな男」「働く男」

ユニコーンは、インディーズ時代から聴いていたんですけど、どちらかと言うと楽曲が好きなんですよね。まあPUFFY(パフィー)も好きなんで、そういうことなんでしょう。
それでも「服部」とか「大迷惑」とか、歌詞も含めて好きでした。
今では、年齢的に「服部」側になってしまいましたけどね。
代表曲は、私の中では「大迷惑」なんですけど正直なところ分かりません。
キャッチーでメロディアスなので、色々タイアップとかしてそうですから。

で、雑感。
当時のユニコーンは、「若手サラリーマンの哀愁」みたいな曲が多かったんですよね。
愛妻と幸せに暮らしていた男性が、夢に見たマイホームを手に入れた途端に長期出張の辞令が出る「大迷惑」とか。
余裕をブチかましているヒゲ社長に、気になっていたボインな女の子を取られちゃう「ヒゲとボイン」。
「働く男」も、その内の一曲です。
この曲は、「ユニコーン」らしい楽曲の中で、歌詞が好きな曲です。
あまり救いが無い曲の中で、若手サラリーマンの哀愁を「ギリギリのラインで踏みとどまれてる」感が切なくて好きです。
「歌詞で選ぶ」ならば、私は「スターな男」が大好きです。
スターダムに伸し上がった「大スター」な男。
軽快なロックで「貸切りジェットで、ツアーは続く」と、煌(きら)びやかな、ショウビズの世界で今日も歌い続けます。
突然、囁くように「大スター」は呟き始めます。
「これは誰にも言えないんだけどさ。俺が愛してる女は、地味な娘なんだ」と。
大スターと、地味な娘のカップル。そして、何より大スターの方が「地味な彼女にベタ惚れしている」のが、ひしひしと伝わってきます。
私は、「大スター」側に感情移入して、胸が「キュンッ」ってなります。
ユニコーンにしては珍しい、真っ直ぐな恋愛曲だと思います。
是非。
若くて仕事が忙しい、恋愛中の男性に聴いて欲しい名曲なのです。

今日は、ここまで。





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