国文タンの憂鬱(二校)

「えっとさ」
なんだ、国文タン。
「私とキタナカって、どんな関係だっけ?」
あぁ、幼馴染。
「違うでしょ!?」
えっとぉ。あ…アレ?
「でしょ? 深く考えずに、後付けで設定を足してるから」
なるほど「ココで自分の立ち位置を確認しておきたい」と。殊勝な心がけ!
「こくこく」

さて。そう言えば俺たちって、なんで知り合ったんだっけ?
「私がそれを聞いてるんじゃない!」
曲がり角でゴッツンコした気になるアイツは転校生?
「それ違う」(キッパリと)
吊り橋の両端から歩いてきた2人。
「それも違う」
ノリツッコミくらいできないと一人前にはなれないよ? 父さん悲しいな。
「娘になった覚えもないってば! んもう。私は真剣なんだよ!」

あー悪り悪り、じゃあ真面目に…。サラリーマンと女子大生の接点…。
「接点は!?」
合コンとかじゃねーの?やっぱ!?
「合コンは行くの?」
うんにゃ、営業マン辞めてからは縁遠いなあ。
「ダメじゃん!」
行ったら行ったで、激しくスパークしてヒかれまくり。
「ダメダメじゃん!」

あ! 思いついた!!
「なになに?」
旧日記時代の読者。
「あ、意外と、まともなこと思いついてる」
だろだろ!
「で?」
うーんと…、出会いは今から三年程前だ。
「うわ!スゲー具体的!!」

国文タンも大学入学したての頃だから、ネット環境は整ってたろ?
初めての大学、という環境での夏休み。
取り立てて親しい友人もいない。
バイトとかも、一回生だとイマイチ腰が引ける。
退屈な夏休み。
その時期に俺の旧日記を偶然、見つけてしまう訳だよ。
日記が気に入った国文タン、俺にメールでアクセス。
メールのやり取りが一年程度。
翌年が初対面で、スキンヘッドな俺にビビる。
その頃、俺は無職で国文タンは二回生。結構、頻繁に会えていたハズ。
そして二十歳の誕生日――俺が飲みに誘って…。
その晩、国文タン撃沈。
現在に至る。
――って感じでどうだ?

「おー! 意外と齟齬がない設定になってる!」
だろ?
「でも、ちょっと待った!」
ん?
「『撃沈』ってなに?」(若干、赤くなりながら)
ビール、コップ一杯でダウン。
「ほっ」
バーカ、俺みたいな大人が貴様のような小娘に手を出すと思うてか!?
「むう。逆に、そう言われるとムカつく!」
あぁ怒りなさい怒りなさい。それが貴様の子供っぷりの証左だ。

「ムカ!」
相変わらず可愛い奴だね、おまいは。
「あ! キタナカが『女になった夢を観た』時は同棲してるぽかった!!」
あれは夢の話だから。多少の齟齬はあるさ、そりゃあ。
「あぅ」

っつーか。
「へ?」
国文タンは、俺と「そういう関係」でありたかったのかな? ん?
「ややや、そそんなコトないけど…」(顔の前で手をブンブンしながら)
いいんだぜ、俺は。(国文タンのアゴを「くい」と持ち上げながら)
「キ…キタナカ……」(目を瞑りながら)

なーんて、な。(ホールドアップして)
「ほぇ?」(目をパチクリさせながら)
そーゆーとこが、まだ子供だってんだよ。
「もー!知らないんだから!!」

追記:
このヤキモキ感が明日への活力です。

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