残り半分は、厳しさで出来ています

「キタナカ?」
あ、ゴメン。ぼーっとしてた。何?
「辛そうだけど、大丈夫?」
少しだけ、頭痛がな。
「風邪?」
いや、偏頭痛っぽい。
「大丈夫なのっ?」
あぁ。便秘と偏頭痛は、女性の病気だと思ってたんだがなぁ。
「ストレス? 今の仕事ってば、やたら残業が多いみたいだし…。熱は本当にないの?」
コツン。(額を合わせる)
だぁっ、俺は子供かっつの! 小学校以来だぞ、「額をコツン」なんてされたの。
「ふふ。ヒロユは子供じゃない。ってゆーか、真っ赤だよ! やっぱり熱があるんじゃないの?」
いや、これは違ってだなぁ。
「あれー? ひょっとして……、照れてるとか?」
うっさいなあ。俺は世慣れてるけど、「俺的ツボ行為」には弱いんだよ! ほっとけ!
「はいはい。それだけ元気があれば、大丈夫そうだね」
ふんとにもう! 俺に対しては、「不意の胸キュン行為」は銃殺刑ぞ!
「あれ~?胸キュンしちゃったのぉ? いい歳してぇ」
「胸キュンに年齢なし!」と、ソクラテスも言ってたではないか?
「ソクラ…誰?」
あー、俺が悪かった。俺が今、作った。さーて、そろそろ会社に行かないとだ。
「あのさ」

「無理はしないでね? これだけは覚えておいて。世界中の人がキタナカを非難しても、私だけはキタナカの味方だからさ……」

…。
そんな事を言ってくれる人の居る筈もなく。
通勤電車で読むべき本も見つからずに、こうやってつらつらと妄想している俺ってどうよ?

――頭痛は少しおさまりました(「妄想」の薬効は抜群です)。

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