「母さん」三題

【第一幕】「母さん。ハードボイルドに振舞えばモテるって聞いたんだ」

お母さ…あ!
「なぁに?キタナカ君?」
「あ~! キタナカの奴、先生のことを『お母さん』って呼んでやんの!」
ちっ違っ!
「や~いキタナカのマザコン! キタナカ菌が付くとマザコンになるぞ~。ギャハハ!」

…。
はっ!(<寝汗びっしょりで飛び起きながら)
また同じ夢か…。
一回。
そう、たった一回だ。
「先生のことを『お母さん』と間違って呼んだ」だけじゃないか?
一体…いつになったら、この呪縛から俺を解放してくれるってんだ…。

…なぁジェシカ。(胸にぶら下げた、ロケットの写真を見ながら)
俺は、きっとお前の敵(かたき)を取ってみせるぜ?

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【第二幕】「母さん。『オネダリ』という言葉に性的な何かを感じるんだ」

「ねぇねぇ!お母さん、買ってよ~!!」
「もうヒロユ! この間、誕生日プレゼント買ってあげたばかりでしょ?」
「でもでもでも! ケンちゃんだって、買ってもらったんだよ?」
「ケンちゃんちはケンちゃんち! うちはうち!」
「ちぇ~。お母さんのケチンボ!」

問:さて、ヒロユキ君(二十九歳。ニート)が買って欲しかったモノは?
答:メス奴隷

というクイズを思いついたのだけれど。
公序良俗に反するので、ナシということでお願いします。

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【第三幕】「母さん。正直なところ、『最後の一行が書きたかった』だけなんだ」

――僕はキタナカ。
勉強は並、スポーツは苦手、帰宅部。
そう、ごく普通な「クラスで目立たない存在」って奴。
でも…。
クラス委員長の猪股さんが好きなんだ。
僕なんかと釣り合いが取れてないのは分かってるけどね…。

放課後の委員会が終わった後。
彼女は一度、教室に戻ってくる。
その時がチャンスだ!
今日こそ、僕の思いを遂げてやるんだ!!

「あら? キタナカ君、こんな時間にどうしたの!?」
…長を、待ってたんだ。
「え、なに? 声が小さくて聞こえないよ」(<顔を寄せながら)
「え? きゃッ!」
…れで………んは、ボクのものだ。
「何言って……。え? 私に何したの? あれれ、脚が動かない!」

はははっ! やった、やったぞ!
「き…キタナカ君!?」(怯えた表情)
今、打ったのはね。身体が正直になる注射さ!
「え? キタナカ君…ウソでしょ!」
脚以外に変化はない?(脚を撫で回しながら)

「やッ!」
お? ちゃんと効いてきたみたいだね…。
「あ…熱い?」(手で、スカートの上から下半身を押さえながら)
もっと効けば、全身が敏感になってくるハズだよ。ククク。
「やめてッ! 今なら私、誰にも…先生にも言わないから!」
ふっ。(紅潮した首筋に息を吹きかける)
「きゃうンッ!!」(身体を「ビクン」と震わせる)

ほーら。もう委員長、全身が性感帯になってきちゃってる…。
「お…お願い。堪忍して」
ダメだよ委員長…。
コレからがお楽しみなんだからさ。(鞄から、いかがわしいグッズを出す)

【三十分後】

「あっはぁぁぁ! わたひ、初めれなのにイっちゃってるぅぅ!」
委員長! 最高だよ、委員長の身体!
「ひぎぃぃ! そんなに強くしたら壊れちゃうぅらっらめぇぇッ!!」
あはは! 清純な委員長が、こんな淫乱だったとは意外だな!
「もっろぉ、もっろくらはい~!」(視点の定まらない表情)

…。
「――というのが、父さんと母さんの馴れ初めなんだ。その時に、できた子供がお前だ」。

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