ゲーム脳の果てに

「ねぇヒロユ」
なんだよ?
「最近、妄想頻度が下がってきてない?」
まぁ俺もさ、大人になって「現実に目覚めないとな」とか思い始めた訳よ。

「バカバカバカッ! キタナカさんの意気地なしっっ!」
あれ? 俺の呼び方変わってる。そんなに「バカバカ」言うことないだろ?
「昔のキタナカさんは違ったわ!『ダメ人間』だったけど輝いてたもん!」
そ…そうなのか?
「私…今のキタナカさんは嫌いだな……」
そんなっ!

「その通りですわっ!」
うわ! キャラが変わった?
「ずっとココに居ましたわっ! 文章って、こういうとこ不便ですわね?」
金髪ドレスの鼻っ柱が強いお姫様系…そんなキャラっていたっけか?
「そそそんなことはどうでもよろしいのではなくって?」
よろしかないだろう。感情移入度ってのが、やっぱあっからさ。
「わたくしだって、ずっとキタナカのことを陰から…って何を言わせるんですの!?」(真っ赤)
う~ん、展開がサッパリ読めないのだが…。
「とにかく!『タナカ-妄想=ゼロ』という計算式が成り立っている以上、今のあなたは『ゼロ』なのですわっ!!」
成り立ってたのか? そんな計算式!?
「マサチューセッツ工科大学のシュワツベルト博士が発見した数式ですわ」
うわ~、ウソっぽ。

「ウソではありませんよっ!」
うをっ!またキャラ変更かよ!?
「先生ね。夢を語ってる君が好きだったな…」
いや。「メイドさん一杯、おっぱい、E気持ち~♪」とかの夢だったけどね。
「口ごたえするつもり? 先生、許しませんよ!?」
あぁん、ごめんなさい。
「ふふふ、先生ね。素直な子って好きよ☆」
エヘヘ☆ ありがとうございます。

「甘やかしたらアカンでぇ!」
関西弁ちゃんまで!?
「そや。キタナカは堕落したんや! ウチらを捨てて現実世界に戻りよったんや!」
そんなこと言われたって…。
「言い訳は好かん!『三次元はイヤだ…裏切るんだ…』って部屋の隅でブルブル震えてたキタナカが、みんな好きなんや!!」
そ…そうだったのか。いや、それはそれでヤだなぁ。

「そうだよキタナカさん…。けほっけほっ」
君は旧日記で頑張ってくれてた、病弱ちゃん。
「キタナカさんと一緒に。もう一度…あの高原を……散歩したかったな」
ベッドの上で、そんなことを遠い目で言わないでくれよぅ。
「うぅん、でもいいよ。キタナカさんは私なんか忘れちゃったんでしょ?」
そんなことない! そんなことないから元気出してくれよっ病弱ちゃん!!

「ようやく、自分の立ち位置に戻ってきたようだね」(壁にもたれながら)
あ…貴女はお姉さまメイドしゃん?
「久しぶりだねキタナカ。何とか生きてるみたいじゃないか。…ハァハァ」
肩で息を切らして…どうしたんですか?
「このバカ! 引越先を知らせずに消えたからビックリしたじゃないか!」
あ、そか。俺…引っ越したのに…。
「ったくもう!心配したんだからぁ!」(涙目で)
ご…ゴメン。
「ん~ん。まぁ、結局逢えたんだからさ。いいってことよ」(目を真っ赤にして、無理やり笑顔を作りながら)
ありがと。

「で?私のことは…もう、どうでもいいってことですよね?」(笑みを浮かべながら額には「怒り」マーク)
はっ!国文タン?
「ま、私はキタナカさんにとって『ポッと出』のキャラですからね」
ンなことないよ! 最近忙しくってさ、色々な意味で。
「それでも思い出すのは最後、と」
そうじゃないって。そう! 「トリ」って奴だよ。
「ほんとに?」
本当、本当だってばさ。
「じゃ、許す!」(目をつぶって「エヘン!」と胸を張ったポーズで)
おいおい、偉そうだな。
「私が偉いんじゃなくって、キタナカが悪いっ!!」
ご説ごもっともです、はい…。(うなだれながら)

「じゃ~ん! 真打ち登場!!」
幼馴染ちゃん?
「キタナカがコッチの世界に来れなかった理由、みんな知ってるんだよ?」
え?
「依頼されたゲームを作るのにあたって、自分の中のインサイド能力(※)を最大限にソッチに使っていたんだよね?」
※現実と仮想をゴッチャにしてしまう恐ろしい能力のコトだ!よいこのみんなは真似しちゃダメだゾ☆
な…なんでソレを!?
「何年キタナカと付き合ってると思ってるのよ?」(ため息をつきながら、後ろに回りこみ)
あ…あぁ、そうだな。
「だからさ」(目をつぶって、頭を「きゅっ」って抱え込みながら)
ん。
「みんな、キタナカが戻ってくるのを一日千秋の想いで待ってたんだよ?」
あぁ、…さんきゅなっ。
「ん~ん。おかえり☆」


――ダメ人間の世界へ。

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