かなしきDelusion

痛いのって結構好き
「私は生きているんだ」って実感できるから

刃物で傷つくのが好き
傷口の脈動がイヤでも自分の生命を感じさせてくれるから
偏頭痛がこめかみの辺りにズキンズキンってくるみたいに
極限まで走った後に、耳鳴りと一緒に聞こえる鼓動みたいに
傷口は、押さえる手に伝える
私の脈動を
私の脳内に溢れるアドレナリン
その時が私の至福の時

だからってSMとかっていう「安心」を内在した痛みは好きじゃない
縛られたりローソクを垂らしたり
とてもではないが私には耐えられない
その痛みや熱さは「かりそめのもの」に過ぎないから

私にも夢がある
人を愛したい
傷つけて傷つく事でしか安寧を得る事が出来なかった私だから
人を愛してみたいと思うのです

そして
その愛する人に傷つけられたい
溢れる涙を拭おうともせずに私に暴虐の限りを尽くす貴方
その蔑みと憐れみの視線に身を焦がしながらなすがままにされる私
そこは純粋な愛のみが介在する世界

貴方の手が私の喉元にかかり
私が承諾の意を込めて貴方の目を見つめながら頷いた時に
私は本来あるべき自分を見つけて
やっと
涙を誰のためにでもなく流す事が出来ると思うのです

そう思うのです