商業主義クロニクル

自分らしさか…。
「どうしたの? 深刻そうな顔して」
う~ん、仕事が思うように進まなくてな。
「あぁエロキャッチね」
そうそう。

苦手では、ないんだよ。でもさ…。
「?」
当初はムキになって「自分らしさ」みたいなのを追求しようとしてたのに、気付くと優等生な文章を書こうとしてるんだよな。

「それはいけない事なの?」
いけなくは無い。赤字が入らないって事は進行がスムーズになるから、余計な時間が省けるからね。
「じゃあ、それでいいんじゃ?」

うん、でも上司が好きなフレーズを盛り込んで、当たり障りの無い文章を書いてるのは辛いな。
「そんなものかなぁ?」

いや。結局、自意識の問題だけどね。
「ふむ」
いやさ、俺が頑張る意味なんてあるのかな? とかさ。

「『自分のやってる事に意味が見出せない』って事ね」
まぁ、そんな感じかな。

「前の会社ではどうだったの?」
ん?
「『自分らしく』あれた?」
どうだろ?
「でも9年間続けたって事は、やり甲斐や面白さを感じてたって事だよね」
そうだな。でも「表現する」って事は…。
「同じだよ。営業って顧客が仕事を出すような環境をクリエイトしてるんだと思うな」
なるほど…。

「やっつけ仕事がイヤなら、衝突してでも自分の道を通せばいいじゃない」
時間が無駄になるし、結局エンドユーザーは求めていないんじゃないかな?
「だったら『職業エロキャッチ書き』に徹すればいいじゃない」
ふむぅ。

「キタナカは考え過ぎ! 無理をしてたら余計につまらなくなるよ」
そうだな…。

「なぁんてさ、エラそうにしてるけど、私だって悟ってる訳じゃないよ。毎日、試行錯誤してるんだよ?」
え! そうなん?
「あ~。今、失礼な事を言われたぁ!」
あ、ゴメン。
「ん~ん。キタナカが煮詰まって視野が狭くなるのは、今始まった話じゃないからね」
いや、その通りだ。

「でもね」
ん。
「こうやって心配してくれる美人な幼馴染がいるんだから。キタナカも捨てたもんじゃないって事だよ」
そうだな…。
「ちょっとちょっとぉ! そこは『誰が美人やね~ん!』って言ってくれないと。調子狂うじゃない……」
いや。お前、結構イケてるって。俺の相手なんかしなきゃモテるだろうに。
「あのねぇ…」

「私は、『キタナカだから』一緒にいるんだよ! それくらいも分からないの?」

――幸せは歩いて来ない、だから頭で作るのさー♪

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