結構平気になるものよ、恋人なんていなくても

【プロロヲグ】
「とうに失いし感覚を呼び覚ます 言の葉に打ちひしがれ
愚かしき振る舞いは 狂気を防ぐ智慧と知り
喧騒の中に身を投じて考えて 答は出ず
徒に惰眠を貪り 時間が過ぎてくれるのをただ待つ」

厭世の歌を聴いて、その気になって。
気ままに男に抱かれて。
そんな自分を「クール」だなんて、思ってたりしてた時期もあったけど。
「『男に身を任せる』とかそういう表現って、男性本意で嫌いなのよね」なんて言ってみたりさ。
男に甘えるの「だけ」は上手な、友だちを蔑んでみたり。
結婚を「堕落」と思ってみたり。
そんなことを考えながら、買ったマンションの一室で一人で過ごす。
つまらない。

「目が覚めるような恋愛がしたい」なんて考えてた時期だって、そりゃああったけどさ。
でも、傷ついて。
傷つけて。
それを繰り返して。
結局残るのは、虚栄の恋愛像と妥協とカラッポの夢。
「運命の出会い」なんてものは、ない。
もっと、自然でナチュラルな感情だ。
気付くとそこにある、みたいな。
それに気付いたのは、全て終わった後。

気分が悪いから、薬を飲もう。

何もせずとも、腹は減る。
何もせずとも、髪は伸びる。
三段論法で言えば、飯を食うのは髪が伸びるからかしらん?
違うか。
……そもそも、三段論法の定義が違う。

薬が、よく効いてきた。
仕事のことも、しなければいけない部屋の掃除の事も。
実家から来る見合いの話も それを断る言い訳も。
もう、どうでもよくなってきた。
できれば、目覚めなければいいのに。
とにかく寝よう。

そんでも、やがて月曜日はやってきて。
「さぁ今日も頑張るぞ」なんて、心にもない事を一人ごちて。
「こんなのも捨てたもんじゃないかも?」なんて自分に言い聞かせて
そんで、その気になったフリをするんだ。

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もしも俺が女に生まれてきていたら。
そして、同じ年齢(注:当時32歳)で。
そして、同じく独身だったら。
きっと。こんな感じのことを考えてるんだろうな、というシミュレート。

そんな架空のアンニュイな自分に、ちょっとだけ萌えたのは秘密です(ナルシスト)。
完全にメンヘラなところも、フィールソーグー☆

――普段のアンニュイな雰囲気からは想像もつかない乱れっぷりで、殿方をソの気にさせる淫女ですよ、俺ぁきっと。

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