前提リバース(Re:BIRTH)

ぎしみしと頭の中が軋みを上げ、悔恨や痛苦の感情が自分を支配する。
そんなときに思い出すのは。今まで、そして今現在。
自分を支えてくれている人たちのこと。

「テンパってるねぇチミィ。先生、そういう鬱屈した若者はキライじゃないよ? うん」
うわ! 貴女は「男女問わず生徒に人気のある、黒髪サラサラストレートロングに白衣がよく似合う、いつも気だるげにタバコを咥えていながらも実は合気道で段位を持っていて、夜に暴漢に襲われたときに手加減を忘れて病院送りにしたという伝説を持つ」化学の美人先生!
「あいかーらず、説明的だねチミは」
いやーホラ。ユーザーフレンドリーというかバリアフリーというか…。
「バリアフリーは関係なかろ?」
あ、そうですね。あははー。

「で、どうした? 青年」
はい、実は…。
「ちょい待ち。コーヒー淹れるから」
って、アルコールランプにフラスコ!?
「別に問題なかろ?」
しかも、飲むのはビーカーっスか!?
「お湯の沸かしすぎの心配もないのだよ」
なるほど…。って、そういう問題じゃな~い!!
「ふむー。『唯物論的思考に囚われやすい性格』と。白い器で味噌汁を飲めないタイプ?」
う…。
「アラ、図星みたいね」

先生…。
「ん?」
マジメに悩みなんて聞く気ないでしょ?
「あ、バレた?」
バレバレです!

「だって。悩みなんて他人(ひと)に話そうと思えた時点で半分は解決してるようなもんでしょ?」
ふむぅ。
「それに、話してしまえば『キミは間違えていないよ』って答えしか期待しないのが人間ってモノじゃない?」
そ…その通りですね。
「だったら『どうした?』と聞かれて『実は…』と答えた時点で、私の役目は終わった訳だよ」
うわー。スゲー丸めこまれてるような気がする。でも、間違ってないような気がしなくもない。
「『丸めこむ』とは失礼な。ま、コーヒー飲め」
あ、ども。

女に生まれていたら、こーゆー「男的な物腰の美人教師」になりたかった。
え、化学? もうサッパリだったけど。
やっぱホラ! 白衣は知性の象徴だしさ。

もう、我ながらどうしたものやら…。

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