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(清水サポ向け)ゾーンディフェンスって何ぞや?の話

 こんにちは。hirotaです。

 ロティーナさんがエスパルスの監督に就任して以来、「ゾーンディフェンス」という言葉を聞く機会が多いかと思います。

 とはいえゾーンディフェンスは、特に目新しいものではありません。すでにご存知の方が多いだろうと思います。

 しかし当たり前がゆえに意外と理解があいまいなことも多いような気がしています。

 そこで久々に僕の友人くん(清水サポではない人)に登場いただき、ゾーンディフェンスについてお話をしてみたいと思います。

 それでは以下、しばしお付き合いください。

(その1.ゾーンディフェンスは場所を守る守備ではないよ)

:まずこれはエスパルスサポに向けての話だ。そこで君にはしばしエスパルスサポになってもらいたいと思う。

友人:なんちゅう勧誘だ。オレンジ着て、ロコロコするのはまじで勘弁願いたい。

:やっぱダメか。ではそれは無しにしてあげよう。さて質問だ。ゾーンディフェンスって何だと思う?

友人:あれだろ。人じゃなくスペースを守るんだ。自分が守るスペースに相手がきたらマーク、マーカーが移動したら味方に受け渡す。

:間違いだ。しかもお手本のような間違いだ。本当にお前は話の流れがわかっているな。

友人:馬鹿にしてるだろ。俺、めちゃ損な役回りさせられてないか。

:そのためにお前がいるからな。お前が言ってるのは例えばこんなやつだろ?

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これは単にゾーンを見ているディフェンスであってゾーンディフェンスではない。

友人:じゃあ、ゾーンディフェンスって何なのよ。

:それを次の章で説明する。

(その2.ゾーンディフェンスの考え方)

:ゾーンディフェンスとはまずボールの位置が基準、次に味方の位置が基準になる守り方だ。

友人:わかるような、わからんような。

:確かによくわからんな。もう少し言い方を変えよう。ゾーンディフェンスとはボールの位置から発生する相手の攻撃の可能性を味方同士の連携で次々と消していく守り方だ。そのために、まずボールの位置が基準、次に味方の位置を基準にした位置取りが必要となる。

友人:より一層わからなくなったぞ。

:だよね(笑)。では具体例を挙げよう。下の図を見てくれ。簡素化するため、中盤の選手の動きだけ見よう。

友人:おう。

:相手がボールを持っている。そこに竹内選手が正面からプレスにいくとしよう。竹内選手は正面からプレスしているので相手は前にボールを出せない。ここまではわかる?

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友人:当然だ。正面にパスしたら竹内選手に取られるからな。

:つまり竹内選手はこれで相手から正面へ攻撃する可能性を消したと言える。次に相手A選手がボールを前進させるためにはどんな可能性が考えられる?

友人:ドリブルでぶっこ抜く。もしくは斜め前へならパスを出せるかな。

:完璧だ。えらい。竹内選手が正面のパスコースを潰しても、まだ相手A選手は斜め前にパスを出す可能性を持っている。下の図の赤いラインだな。またA選手が強引ならドリブルを仕掛けてくるかもしれない。

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友人:となると?

:そこでとなりの河井選手、中山選手はパスのライン、つまり赤いラインを消すポジションを取る。図にするとこうだ。

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友人:これで正面にも斜めのコースにもパスをだせないな。

:そういうこと。そして斜め後ろのポジションを取ることで竹内選手がドリブルで抜かれた時にも次の選手が対応しやすくなる。

友人:おう、確かに。

:これで正面、斜めへ攻撃される可能性を消した。じゃあ次に相手はどうするか。

友人:河井選手と西澤選手の間が開いている。そこを通すパスだな。

:すごいぞ。その通り。で、どうするかというと、やっぱりその間を消すために西澤選手がスライドして河井選手の横にポジションを取る。これでそこの可能性も消した。その結果、下の図のようなポジション取りが完成する。

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友人:わかった。ボールホルダーにプレスしても1人じゃ相手の攻撃を全部塞げない。だからその人が塞げてないところを見ながら次の選手が順々に塞いでいくんだな。

:そう。今、"その人が塞げないところを見ながら"と言ったろ。つまりそれが味方の位置が基準になるって意味だ。

友人:よし。わかったぞ。

:これを11人でやると例えばこんな位置取りになる。

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ゾーンディフェンスの考え方は概ねこんな感じだ。動き方とか細かく言えば色々あるがまずはこの考え方が重要だ。

(その3.ゾーンディフェンスは主導権を握る守備だよ)

:ゾーンディフェンスの動きを説明したが、大切なのは動き方や形ではない。ボールのある所からどんな攻撃が発生するか、それを味方の限定の仕方を見ながら次々と消していくという考え方だ。

友人:形だけ作ってもダメってわけね。

:そう。説明したのはあくまで基本的な動きだけど、ボールホルダーから発生する可能性によっては違った動きになる場合もある。

友人:発生する可能性とは?例えば?

:例えばだと、相手A選手が正確なサイドチェンジを蹴れる選手だったとする。そしてサイドにめちゃ凄いドリブルをする選手(相手D)がいたとする。その時は西澤選手が相手D選手について鈴木唯人選手が降りて間のコースを消す。これも考え方としてはありだ。相手D選手にボールが渡った方がより危険な可能性だからな。

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友人:さっきと陣形は違うけどボールホルダーの可能性から考えるところは一緒なわけだ。

:そうだ。大事なのはあくまでボールのある場所からどんな攻撃の可能性があるかを考える。こちらはその可能性をプレスなどによって限定する。この限定が大切だ。正面を切れば相手は前に進めないし、こちらが右側を切れば相手は左にしか進めない。つまり限定の仕方によって相手の攻撃方向をこちらが決めることができるんだ。時には切らずにわざと進ませることもありだ。これを11人、チーム全員で意図を持って行えば、相手の攻撃自体をこちらが支配できる。そしてその結果こちらの望む試合展開に持ち込める。これがローティナの考える”試合を支配する”ということに繋がる。

友人:最後は詰め込んで早口で言い切ったな。わかるようなわからんようなだけど、まあいいだろ。

:思ったより長くなった。つきあってくれて感謝する。

友人:まあいいよ。お礼はこっちのホームでの勝点3でいいから。

:それは俺にはコントロールできない。

友人:そりゃ、そうだ(笑)

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参考文献

4-4-2 ゾーンディフェンス セオリー編(footballhack著)

サッカー守備戦術の教科書(松田浩、鈴木康浩著)

世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析(宮崎隆司著)


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