長崎戦2失点目の気になるところ

3月10日に行われたVファーレン長崎との試合は1-4という大敗でした。この試合での2失点目が気になったので注目してみます。
なぜかというとこの失点は偶発的なものでなく「こういうプレーをすると失点しやすいね」という割とあり得るパターンだったからです。  

それはどういうことなのか。振り返ってみましょう。

場面は失点の少し前、29:32。乾選手がボールを受けてターンをした時です。

この時、後ろでビルドアップに関わる選手が4人(蓮川、高橋、宮本、中村各選手)、乾選手の周りには味方がいなくて、前に北川選手とカルリーニョス選手となっています。

このようにエスパルスのビルドアップは、

・後ろにやや人数が多い。
・前の選手と距離が離れている。
・そしてその間を(主に)乾選手が繋ぎ役になる。

という特徴を持っています。

ここから乾選手は一気にスピードを上げて中央へドリブル。

この時、北川選手がボールを受けに下がってきましたが、やっぱり乾選手の周りには人がいないのがわかります。これはすでに非常に厳しい状態です。

ボールホルダーの乾選手の周りに味方がいないこと、また一気にスピードアップしたため後ろの選手が付いてこれず、前と後ろの距離がより開いているからです。図の赤いエリアは長崎がボールを奪ったら自由に使えるスペースと見ることもできます。

これはエスパルスが「攻撃をしている」と見ればチャンスですが、ボールを失って「攻撃から守備に切り替わる」ことを考えるとカウンターを浴びやすい危険な状態です。

そして、最後にロストした時の状況がこちら。

中央に突っ込むようにゴールへの最短距離を進むので、相手の守備ブロックはそのまま密集。この狭いエリアを3人のコンビネーションで突破するのは非常に難易度が高いです。難易度が高いということはボールをロストする可能性が高いということです。

ロストの可能性が高い攻撃方法を前提としているので、その後の状況がより重要です。しかし、これだとどうしてもフリーの相手選手が生まれてしまいます。
なぜかというと、一気に前の選手だけスピードアップして突っ込むため後ろの選手が付いていけないからです。

そして当然、相手の前線の選手も後ろに戻り切れていませんが、それは攻守が入れ替わると、前残りしている前線がそのままカウンター要員になることを意味します。

さらに中央でボールを失うということは、中央を使った最短距離での被カウンターに繋がります。

以上が、2失点目が起きた状況に関する僕なりの説明です。

ここまでを踏まえて僕が一番気になったのは、この状況がエスパルスが得意とする攻撃から起きているということです。
つまりこれは偶発的に起きたわけでなく、これまでも頻繁に起きていたし、これからも起こりうる状況です。

これを「攻守の切り替えが遅い(そもそも切り替えを想定した攻撃をしていない)」、「球際が緩い(球際に行ける状態になってない)」とだけ認識していたらおそらく似た状態での失点はまた起こります。

そうはいっても僕がどうこう言っても何かが変わるなどとは思っていません。そしてこれが本当かもわかりません。僕にできるのはただチームがどうプレーするのか、ピッチで行われているプレーをただ真摯に見つめることだけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?