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SPLYZA Team を使っての試合考察~(明治安田生命J1リーグ 第31節 清水エスパルスvs湘南ベルマーレの前半だよ)

こんにちは。hirota(@hipokotms)といいます。

twitterでフォローさせてもらっているfukuhara (@fmanmajk)さんの呼びかけをきっかけに「SPLYZA Team」に参加させてもらっています。

まずSPLYZA Teamとは何ぞや?ですよね。

ざっくり言うと試合を見ながら自分の気になる場面にポチポチとマーク(タグ)を付けていくとそれを項目ごとに集計してくれる分析ツールです。ちなみにサムネイルの画像が実際に僕がタグ付けしていた画面です。

詳しくは、”SPLYZA Teamの公式ページ”やfukuharaさんの記事”SPLYZA Teamsを使ってみよう-基本操作 編-”をご参考に。

今回はこのSPLYZA Teamを使ってエスパルスの試合のタグ付けをやらせてもらいました。取り上げた試合は、11月2日に行われた清水エスパルスvs湘南ベルマーレです。それにより集計されたデータを用いてこの試合の考察を行ってみます。

まず試合から時間が経っているので内容の振り返り。

湘南は過密スケジュールをこなしたとは思えないほどの豊富な運動量を披露した。安易なハイボールに頼らず、着実にパスをつなぎ、岡本、高山の両ウイングバックは足を止めることなく上下動を繰り返す。両サイドが起点となって好機を作り、さらにセットプレーから決定機を創出。交代で入った選手たちもこの流れに乗り、終盤にはペナルティエリア内へ持ち込む場面を増やした。だが、攻守に渡って走り続けることで主導権を掌握しながらも、得点には至らず。タイトルホルダーとして凱旋したBMWスタジアムで白星を飾れなかった

(Football LABの寸評より)

めんどいのでFootball LABの寸評よりお借りしました。スタメン等、気になる方はリンクでご確認を(人任せですみません、土下座)。超過密日程の湘南に対して清水はコンディションばっちり。余裕しゃくしゃくのはずが、プレスはかからない、ボールはすぐ奪われるわの散々な内容。結局、試合は引き分けに終わったものの、終始一方的な湘南ペースでした。なぜこのような内容になったのか。早速、SPLYZA Teamを用いることで探ってみることにしましょう。

以下データを上げての説明になりますが、長い上に僕の文章の下手くそさにわけがわからなくなってくると思います。その時はザックリと表を見て太字のところだけ読んでくだされば結構です。

なんとなくで感じてくれればいいです。

【局面と切り換えの分析】

湘南の方が上手くボールを残した状態で奪えており、カウンターの機会を数多く作り出していた。

清水を自チームとして見ているので、清水ボールの時を「攻撃」局面、湘南ボールになった時を「守備」局面としています。

結果は清水の攻撃局面が63回、守備局面が69回。その内、インプレー(Aボール or Hボール)での局面終了というのが相手にカウンターの機会を与えた時です。清水がインプレーで奪われたのは73.02%(左図)、湘南は62.32%(右図)でした。

【奪った後のスタイル】

清水はほぼ速攻湘南は半分強が遅攻

ボールを奪った後の攻撃の傾向です。清水は7割弱が速攻。奪ったらダイレクトなボールの前進です。湘南は半分以上が遅攻。カウンター機会を多く作り出していた湘南。しかし、そこからカウンターではなくじっくり保持してボールを前進する選択をしていたようです。

【奪取後攻撃の成功率】

清水が奪ってチャンスに繋げていたのは3割弱、湘南は奪ったら4割強をチャンスに結び付けていた。

奪ってからの攻撃の成功率はどうだったでしょうか。インプレーで奪ってからアタッキングエリアまで攻め込めた時はNICE、シュートを撃てた時はGREAT、それに至らない時はMISSとしました。

清水がアタッキングエリアまで侵入できたのは28.2%。湘南は44.19%です。

【攻撃のルート】

清水は中央レーンを使った攻撃が50%。湘南は左アウトサイドからの崩しが47.62%。

どのレーンを使って攻撃したかです。ここは僕の勝手な解釈で2列目を突破した時のレーンをタグ付けしました。明確な定義ではない上に観測もアバウトなので参考程度のデータです。

清水は中央レーンを使った攻撃が50%。さらに2トップにへの縦パスに対して「ポストプレー」というタグを付けてみたら前半だけでポストプレー(本来の意味とは違うのですが)が16回ありました。清水は奪ったらまずドウグラス、北川の2トップにパスを入れ中央を直線的に攻撃していたのがわかります。

湘南は左アウトサイドからの崩しが47.62%。ボールを大きく左右に動かしながらも守備ブロックを崩すのは左サイドが中心になっていたようです。

清水視点で考えると、これまでも指摘されていた右の守備のチェーン(金子、立田の守備連携)の弱さをこの試合も徹底的に突かれていたということになります。対3バックやポジショナルな攻撃で守備をはがしてくる相手への弱さは相変わらずですね。

【奪取エリア】

清水はほぼ自陣寄りでの奪取、湘南は半分以上をミドルゾーンで奪っている

守備で奪ったエリア。清水は湘南に攻め込まれていたので必然的に奪取する位置が自陣寄りになります。

湘南は6割以上をミドルゾーンから前で奪取していました。ただ、ダイレクトに2トップにボールを入れていた清水は中盤での繋ぎをカットされるということは無かったのではないかと推測されます。どういう状態で奪っていたのでしょうか。

【湘南各選手の奪取数】

ミドルゾーンで清水の2トップと湘南のディフェンダーのバトルが発生していた。

湘南の各選手がボールを奪取した回数です。清水側から見れば誰に奪われているか。左のDF大野選手の奪取数が最も多く12回。上位3人が3バックの選手。3人で7割を占めています。湘南はミドルゾーンで奪ってはいるものの奪っているのは中盤の選手ではなくディフェンスの選手だということになります。

先に湘南はミドルゾーンでボールを奪っていたという結果が出ました。さらに清水は2トップ狙いの攻撃が多かったというデータも出ています。

これらと合わせて考えると、清水の2トップ(主にドウグラス)はミドルゾーンに降りてポストプレー。そこに湘南のCBが前に出て行って競り合い奪取していたという構図が見えてきます。

前半の考察

システムや戦術は違いますが、プレッシングからの機動力を生かしたショートカウンターという共通した特徴のある両チーム。

しかし前半の湘南はボールを奪っても即座にカウンターに移行せず、スペースが無ければじっくりボールを動かして確実に前進させるという攻撃でした。

DAZNの配信ではクロスを弾かれてカウンターを受けるのを警戒しているという曹監督のコメントが紹介されていました。クロスのみならず長いボールを弾かれてのカウンターを避けるために、ボールを繋いでの地上戦に持ち込んでいたことがデータから読み取れます。シャドウのポジションに小川、山口とオンザボールで持ち味を発揮できる選手を起用したのはそういう意図があったのでしょう。

一方、清水の攻撃パターンはドウグラスのポストプレーから北川との2トップの関係性で中央を攻め切る形でした。湘南は清水の攻撃の主なルート(と言うかほとんど)の2トップを3バックが強く監視することで清水の攻撃を遮断していたようです。

ホームで湘南と対戦した時も、湘南がボールを保持して攻める展開でした。しかし清水はクリスランのポストからのごり押しで結果的には4-1で勝利。この時クリスランは湘南のダブルボランチの周辺でポストをしていて、4点中3点がそのエリアがきっかけでゴールが生まれています(1点目のPKの前のコーナーもボランチ周りで竹内が奪ったのが起点)。

前回の対戦との違いは、湘南がダブルボランチの周辺エリアをセンターバックを上げることで意識的にガードしていたというところです。戦略的デュエルがこのエリアで発生していてそこで湘南が優勢に立ったという見方が出来ます。

自分達でゲームをコントロールして清水が持ち込みたい展開を潰す、唯一デュエルが避けられないエリアはしっかりと対策を施すという湘南の戦略通りに進んだ前半でした。

これで前半の分析は終わりです。当初は前半だけを分析して満足する予定でした。しかし、SPLYZA Teamを使った分析があまりにも楽しくてノリノリになり、さらに「後半は一体どうなっていたんだ、知りたい...」という欲望に押され、しれっと後半の動画もアップロードしてタグ付けを開始する僕でした...。

(ということで後半に続く...はず)

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以下、各項目の定義です。本来ここを明確にするのは必須なのですが、まずSPLYZA Teamを試してみようと行き当たりばったりで始めてしまったので正直アバウトな部分もあります。データとしては信頼性がないので傾向をつかむイメージ程度にお考えください。

《局面》清水がボールを保持した時を攻撃、湘南に保持が移った時を守備としました。単純なクリアも攻撃に繋がる可能性があるので攻撃局面としてカウントしています。ただ相手の足に当たっただけ、弾かれたが同じ場所で即座に拾った場合など場所や展開がほぼ変わらない時は同一局面としています。

《速攻、遅攻》ボールを奪ってダイレクトに前方に進めようとする攻撃を速攻としました。最終的に長いボールを使っても、その前に後方でゆっくりボールを動かしたり、何度も攻撃のやり直しを含む場合は遅攻としています。主観も交じってしまうのでパス数だったり、攻撃時間などで分けた方が明確だったような気もします。

《ポジトラ評価》ピッチの相手より3分の1、アタッキングエリアまで運べた時をNICEとしています。ロングボール一発でもアタッキングエリアでコントロールできていればNICEです。クリアも明確に蹴る意思があった場合はポジトラにカウントしていますが、弾いただけのように攻撃の意図が無い場合はポジトラ評価にカウントしていません。

《レーン》同一攻撃局面でもボールを左右に動かして攻撃しているのでどこを攻撃レーンとするか悩みました。結局2列目を突破した時に使ったレーンとしました。左後方から右前方に斜めにレーンを越えていく場合や、中央にくさびをいれて左にはたいてえぐった場合は中央レーンでいいのかなど、定義としてはあいまいです。傾向を探る参考程度に。アバウトだけど柔軟に自分なりの解釈で傾向を調べられるのもSPLYZA Teamの利点かと(言い訳)。



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