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マリノス戦でロティーナは何をしようとしていたのかの整理

マリノス戦のレビューを一応書いたのですが、自分的にいまいちピンボケだったのでもう一度整理。自分の確認用。

まず失点の可能性を減らすことを考えるロティーナ。彼は失点を減らすのはある程度コントロール可能だと思っているのでしょう。それは過去のインタビューからも伺われます。試合を可能な限り自分達でコントールする。それがロティーナのサッカーの捉え方だと思われます。

そこで今回もマリノスが得点するための手段を消そうとするはずです。それは一体何か。私は相手の3トップ、前田、オナイウ、エウベルが前向きにスピードに乗って、スペースを得てゴールに迫るのを防ぐことだと推測します。中盤構成力とか色々あるけど、結局最後DFラインをブレイクしてゴールを目指すのはそこではないかと。

つまり3トップにスペースを与えない、スピードに乗らせない、前を向かせないこと。これが目的です(推測)。

これを4局面、いずれでも行えるよう戦略を練ります。4局面とは

・守備の局面

・守備から攻撃への切り替え局面(ポジトラ)

・攻撃の局面

・攻撃から守備への切り替え局面(ネガトラ)

サッカーはターン制ではなく両者の攻守がふいに入れ変わるスポーツ。なので突然局面が変わっても3トップを抑える仕組みを作っておかなければならなりません。さらにそれを得点をとるための仕組みに繋げる必要もあります。やっぱり得点を獲らなきゃ勝てないので。

では実際にどのようにして3トップが前向きにゴールに入っていくのをコントロールし防ごうとしたかを考えていきます。

~まず守備の局面から

前から行って裏に長いボールを入れられたら3トップのスピードと馬力が発揮されてしまう。なので低く構えて彼らにスペースを与えない。
スピードアップさせないためにはあえて後ろから短いパスを繋いで攻めさせる(遅攻への誘導)。→CBには強くプレスしない。
パスを繋がせるのはブロック外。中は消して窮屈に。3トップが引いて後ろ向きで受けようとしてくれれば良し。
ブロック低め、スペースを消せばマリノスはスペースを作ろうと流動的に動いてブロック内に進入してくる。それを受け止めるためDFラインに5枚確保。

~ポジトラ

なるべく早く相手陣内に入りたい。自陣で持って奪われたらショートカウンターを浴びるから。ショートカウンターを食らうとマリノスの3トップの馬力が生きる。こちらの陣形を崩さないよう前だけで攻撃を完結させたい。
相手はこちらの陣地に多く進入している。奪った瞬間マリノスの守備者は少ない。(だからこそ守備の局面で相手をなるべくこちらの陣地に侵入させている)
直線的に相手ゴールに向かうには2人は欲しい。しかも推進力のある選手。→カルリーニョスとサンタナの2トップ起用(そして交代は唯人と中山)。

~攻撃の局面

自陣で持ちたくないのはポジトラ同様。
自陣ゴールから遠ざける(マリノス3トップからボールを遠ざける)ように相手のサイド奥にボールを入れる。
蹴った先にティーラトンと片山のミスマッチで収めところを作っておく。だから右の中盤に片山を起用。
同時に片山の近くにエウシーニョを配置。サイドを崩して中央の2トップへ。

~ネガトラ

ダイレクトに右サイド奥の片山に入れるので失うのも右サイド奥。つまりマリノス攻撃は必ずマリノス陣内から始まることになる。
エスパルスは自陣から長いボールを入れているので奪われても自陣に人が残っている。
マリノスは攻撃は自陣から、しかも前を見てもエスパルスDFが残っているので3トップがフリーでない。→カウンターを受けづらい。
結果、マリノスにポゼッションを選択させる。マリノスの陣内から攻撃が始まったらあまりプレスに行かずにエスパルスは自陣にブロックを作る。相手にゆっくり持たせて...以下、守備局面へループ。

以上。このようにどの局面でも守備の目的を遂行できるよう循環させ、さらにそれが点を獲るための仕組みにも繋がっている状態を作り出す。これがこの試合、というかどの試合でもロティーナが狙っていることではないかと考えます。

様々な要素がカオス的に入り交じり、しかもそれが複雑に繋がっているのがサッカーの特徴です。その複雑なものをどうコントロールしようとしているのか。それを探るのがロティーナサッカーを見る1つの大きな楽しみだと感じています。

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