カットボールのTips(自分用)

自分がストレート以外に使う主な変化球はカットボールである

このボール、ストレートでもなくスライダーでもない微妙な感覚要求する球種のため

日によってものすごく自在に投げられるときもあれば
ずっとしっくりこないような日もある

そんな調子の波をできるだけ小さくするために
自分の引き出しとして使えるTipsを言語化してまとめておくことにする

あまり図などなく、文字だけの説明では伝わらない部分もあるかもしれない
最低限自分にわかるように書いているのでご了承いただければと思う

また、引き出しや仮説が増えるたびにこの記事は編集していくことになるだろう

※ちなみに私は右投げなので、これからは右投げ目線を前提とした語り口になります

カットボールは最強球種の一つである

そもそもなぜ自分がカットボールを多投しているのかというと

経験上打たれにくいからというのもあるが
性質から見ても最強球種の一つだから、というところが大きい
※もう一つの最強球種はフォーク・スプリット系なのだが、自分はコントロール良く投げられないので、今後の課題としておく

質の高いカットボールが最強球種な理由は3つある


狙うのが難しいから

ストレートに近いカットボールの場合
投げた瞬間はストレートとカットボールの違いが分かりにくい

なので事前に「カットボールを狙おう」と思っても
「来た!カットボールだ!」と判断できるタイミングがかなり手前側になるので

軌道が推測しやすいカーブなどと比べて
うまくミートできる確率が露骨に上がるわけじゃない
=球種の読みが当たったときの打者の恩恵が小さい

という特性がある
(これは筆者のフィーリング)

高さによって軌道が変わるから

カットボールの多くはジャイロ成分を中心とした回転軸になっている

ジャイロ回転のボールは、高めと低めで変化の仕方が異なる

なぜなら、ジャイロ回転のボールが鉛直方向に速度を持っているとマグヌス力が発生して変化量が増えるためで

リリースポイントから水平に近い軌道で飛ぶ球と
初めから低め方向に発射される球ではそのマグヌス力のはたらく大きさが変わることになる

当然低めに投げた方が横変化は大きくなるし
単純に落ちているようにも見える(実際はただの重力での落下)ので空振りを取るのに有効なのだが

高めも高めで、予想より変化せずにバッターがボールの下を振ってしまうことがよくある
※特に右バッターは外角ほどヘッドが低くなるので、外角に真横に変化する球を投げられればボールの下をバットがくぐる、という現象は起こりやすくなる

速いカットボールは希少だから

ただ変化量の小さいスライダーや、スピードの乗らないカットボールは除外して考えると
そもそも速いカットボールを打席で打つ練習をしたことのある人が少ないんじゃないかと思う

特に、左打者のインコース&ベルト~高めに食い込んでくる軌道は
相当意図的にやろうとしない限り、打つ練習をすることはないだろう

結局、打率の高くなるボールは
野球人生の中で見たり打ったりした経験が多い軌道のボールである
そういう意味でもカットボールは、投げられるだけでお得なボールだと言える

自分が投げたいカットボール

イメージとしては縦方向に回転効率100%ストレートと
回転効率0%のジャイロボールの中間の回転で
写真はジャイロ方向に30%回転軸をずらしたもの

なすのすあげさんの変化球シミュレータで作成

大体こんな回転軸をイメージしていて
リベラのように、高めに投げたら浮いて低めに投げるとスライダーのように曲がり落ちる軌道を狙っている

うまく投げられないときのTips

一応2023年にラプソードで測定したときには、狙い通りの回転になってはいたのだが
射出する方向や球速の都合なのか、日によって軌道や打者の反応、コントロールがいまいちなことはよくある

なのでここからは本題のTips集である

ボールの上から圧力をかける

カットボールは横変化の「変化球」ではあるが
回転方向はどちらかというと「ストレート的」であることを思い出そう
良い縦回転を与えるためには、ボールの上から圧をかけることが不可欠である

実際にカットボールを投げるときにはボールの斜め上から圧をかけているわけだが
上からの意識が忘れられがちなので思い出せるようにしておこう

効果:球速が上がる、すっぽ抜けが減る


腕を振る軌道を上から下に

ボールの上に圧をかけるには
イメージを持つだけでも良いとは思うが
腕の振りそのものが変われば自動的に達成できる場合もある

投球動作の腕の振りはざっくりホームベースに方向に少し長い楕円軌道になるが
その楕円を少し下向きにする(=上から加速し始めてやや下に向かって腕を振る)と、上からボールに圧をかけやすくなる感覚がある

効果:すっぽ抜けが減る
※経験上あまり球速は上がらない、、

第一関節を縫い目にかける

回転数を上げるためには
指の上をボールが転がる距離を長くして、ボールに回転を与えている時間を長くとることが重要

なんとなく、関節より先の指の腹で圧をかけたくなるのだが
結局あまり力がかからないし回転数も少なくなるし、力みやすくなって肩肘にダメージを与えがちなので
あえて深く握るのが正解

効果:変化量が少し大きくなる、すっぽ抜けが減る、肩ひじの負担が小さくなる

手首を撓屈させる

これはいわゆる「手首が寝ないようにする」対策なのだが
腕を振る瞬間にその逆(撓屈)をやろうとしても、細かい制御なんてできやしない

一番実用的なのは、ピッチングフォームに入る前に時折手首を撓屈させてみたり(実際にダルビッシュがキャッチボールで良くやる仕草である)
撓屈動作の拮抗筋をマッサージして柔らかくしておくことである

そうすると、投げるときの手首の向きが無意識に撓屈方向へ改善される

効果:すっぽ抜けが減る、発射角度がストレートっぽくなる

指のマッサージ

さっきは手首について言及したが
指の関節の状態でボールの横を撫でてしまっていることもよくある

なので指の感覚が鈍いなと思ったら
人差し指と中指の第三関節を引っ張ったりねじったりして、動きやすくすると改善する場合がある

このテクは、カットボール以外にも使えるテクなので覚えておくとよい
特に、真っすぐがカット気味になってしまう場合など

効果:すっぽ抜けが減る、発射角度がストレートっぽくなる、全球種の質向上

右のインコースを投げたら引っかかってしまった、という感覚

スライダー方向の球は、右のインコースに投げようと思ったら引っかかった
シュート方向の球は、外に投げようと思ったら内に入った

というイメージで投げると変化量も多くなり、空振りしてくれることも増える
おそらく膨らむ軌道になることが防げるからだろう

ちなみに、このイメージを持つと力みも生じにくいので覚えておくとよい (To 自分)

効果:すっぽ抜けが減る、発射角度がストレートっぽくなる、変化量が増える

投げ出しの軌道に真っすぐ乗せるだけ


そもそも、自然とカットになる握り方や投げ方をしているんだから
投げ出したい軌道にまっすぐ乗せることができれば、あとはほんのちょっと曲がってミットに収まるんだから気にする必要ないよね

というマインドを持つと、時折うまくいく

軌道に乗せるイメージは、経験上力み解消に役立つ
その代わりといっちゃなんだが、変化量がより小さくなることはある

効果:発射角度がストレートっぽくなる、コントロールが良くなる

握るのは外側じゃなくて内側

スライダー系のボールは多少なりともボールの右側を切るので
どうしてもボールの右(=右投げで言うと外側)を握っておきたくなる

ただ、握りがボールの重心から外れれば外れるほど
ストレートのようなリリースができず球速が落ちる

なので実はボールの左側(=内側)を握ると、よりストレートっぽいリリースができる

スライダーが良いことで有名な前田健太はそのように握り方をイメージしているらしい

回転数も増えるだろう

効果:球速が上がる、変化量が増える

親指の力を抜く

スライダー系のボールは、抜けるのが怖くて親指を伸ばして腹でボールを支えたくなる
でも親指が突っ張っていると、肩肘の動きが悪くなってうまく投げられないことがよくある

重要なのは、親指を畳んでも投げられるような握り方をすること
親指で強く支えなきゃいけないのは、大抵はボールの中心をとらえた握り方ができてないからである

カットはカーブなどと違い、ボールの中心に圧をかけて投げることが重要な球種であるから

握り方を調整しつつ
勇気をもって親指の力を抜いてみよう (to自分)

※ただこれは筆者もなかなか実践できないTipsである

効果:楽に投げられコントロールが良くなる、肩肘のダメージが減る

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