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またしても50mmレンズの魔物に魅入られてしまった話、あるいはMNGについて

こんにちは、あなたのココロのスキマ♡ライカと写真でお埋めします、hirotographerです。
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予兆はあった。

もちろん、ライカ M10-Pと合わせて買ったSummicron 50mm F2で満足しているはずだった。

やがてライカの輪が広がり、Twitterでも一人、また一人とライカユーザーの相互が増えていくと、タイムラインに怪しげな映りをする写真が1枚、また1枚と流れてくることに気づいた。

ピント面のキリっとしていながらもくどさのないシャープさ、なだらかなボケ、そしてガラス面に潜む怪しい光、暖色と寒色のほどよいコントラスト。

見ないようにしよう、なかったことにしよう、明日にはこの気持ちの高ぶりはきっと抑えられるはずだと、自分に言い聞かせることは濁流を手漕ぎボートで進むが如く、私はこのTwitterガンジスに少しずつ少しずつ押し流されていっていたのだ。

そして、そのガンジスを流れ、私を押し流す写真たちのキャプションにはいつも「Summilux 50mm F1.4」という文字が躍っていた。

始めに意識した日からどれほどの時間が過ぎただろうか、気付くと、身をその流れに投げ出し、沐浴に興じる自分がいた。

そして、ある日、勝鬨の号砲は突然に放たれた。


「これ以上50mm単焦点を生やさないために」と人は自分にとってベストであろう50mm単焦点を買うことで抗う。
だが、これは「すべての戦争を終わらせるための戦争(The War to End All Wars)」と呼ばれた第二次大戦とて同じこと。

終わらせるために撃ち込んだ銃弾(レンズ)は新たな50mmの引き金となる。

売っていいのは下取りする撃たれる覚悟があるやつだけだ。


そうやってまた一つ、ツミルックスを重ねてしまった。

なお、ライカの7つの大罪は以下のように定義されているので、みなさんにおかれても注意されたい。

ライカ7つの大罪
「傲慢」
:無金利分割払いシミュレーションをして気が大きくなり「これなら買える!」とライカ・ライカレンズを買う罪
「嫉妬(ねたみ)」:他の人の作例がうらやましくて、ライカレンズを買う罪
「憤怒」:1mまでしか寄れないことにキレて70cmまで寄れる現代ライカレンズを買う罪
「怠惰」:複数レンズを持ち歩くのが面倒になり、Leica Qシリーズを買う罪
「強欲(貪欲)」:持っていない焦点距離が欲しくなりライカレンズを買う罪
「暴食(貪食)」:同じ焦点距離のライカレンズを買い重ねる罪
「色欲」:発色の良さ、色収差、などが気になってレンズを買ってしまう罪

民明書房「ライカと原罪」

さて、このごじゅうまんえんのレンズの何がいいのか?さっぱりわからない方も多いだろう。このレンズは欲しくなる、というよりは「魅入られる」という表現のほうが適切だ。そうでもしなければ人がレンズにごじゅうまんえんも出すなんてことはありえない。この、たった335gの質量の中に閉じ込められているのはごじゅうまんえんだけではないのだ。そう、別の何かがいる。

ズミルックスの中には縞麗な娘がぴつたり入つてゐた。 何ともあどけない顔なので、つい微笑んでしまつた。 それを見るとズミルックスの娘もにつこり笑つて、 「ほう。」 と云つた。 ああ、生きてゐる。 何だか酷くライカが羨ましくなつてしまつた。 

京極夏彦「魍魎の匣」より

ここからは作例をお見せすることで罪を償って新たな犠牲者を出していこうと思う。


光沢編

光沢と立体感はSummiluxから放たれる妖気そのものである。
ただの葉っぱすら蠱惑的に輝き、他の画面構成物を置き去りにする。まるで別の生き物のような生命力とともに触れてしまったら切れそうなシャープネスを感じる。

反射している部分の光沢はもちろんSummiluxのそれであるが、一方で透明な水面にも確実にそれは存在する。

唇のグロス感、さらにサテン?シルク?生地の光沢感と飽和しないギリギリの赤。人肌の色もきれいに描写しつつも衣服に目が行くような絶妙なバランスこそがSummilux。ポートレートを撮りたくなるレンズ。

シャープネス編

シャープネスとは所謂レンズの「押し」と「引き」の「押し」の部分である。

吹き抜けの天井の光が建物内に映り込んでいるのだが、暫く眺めているとその明瞭さに天井に映った建物のような感覚になってゲシュタルト崩壊を起こす。

光沢とビルの窓枠のような組み合わせは大して現像に力をいれなくてもつよつよである。たとえそれが曇りの日であっても。

野焼き直後の阿蘇の木々の枝先もみっしりとシャープ。
シャープだが線は繊細で、パワーのある前景とのギャップが楽しい。ズミクロンだとこういった枝部分が少し太く映るイメージだ。

灯台はそのシャープネスで浮かび上がるように描写された。この画面から放たれる立体感こそがSummiluxのキーワードではないかと感じる。

ボケみの柔らかさ編

F5.6~F8で撮ればよいのだ、とボケみ云々は卒業したはずだった。
だがしかし、珍しく開放で撮った写真にその考えはいとも簡単に覆される。
前ボケから淡くふんわりと広がるこの感じ・・・

「印象派のワンシーンのように」というキャプションをつけそうになったこの指をなんとかとどめることができたのは脳裏に浮かんだごじゅうまんえんのおかげである。タンポポの綿毛の柔らかさ、まだ黄色い花弁のものは鮮やかに、だがしっとりと。桜色も決して押しつけがましくない。

花より団子派の方向けに、と言いたいところだけれど、なぜこの団子の写真を撮ったのかいまだにわからない。けれど、この白の抜けの美しさ、シャープなピント面からのなだらかなボケ(定型句)の綺麗さにそんなこともゆるせそうである。

今年も円安の影響でのライカ製品の価格上昇があった。
しかし、このSummilux 50mm F1.4はそれを免れた一本である。
「あくまで今年は」ということを忘れてはならない。来年の更なる値上げの対象にならない補償は一切ないのだ。

今日も為替レートが1ドル139円を記録した。今日より若い日はなく、また、今日より安い日はない。

つまり・・・

みなさんの沼落ち報告を沼の中から待っております!!(にっこり


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