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Eメール:これから社会に出る人の課題

東京工科大学が2020年に発表した新入生の「コミュニケーションツール」利用実態調査によると、いろいろ面白いことが分かります。一番印象的なことは、大学生(データは新入生に限られていますが、私が授業で学生にきいたところでは、他の学年でも同じような傾向です)のほとんどが家族や友人との連絡に使っているコミュニケーション手段がLINEであるということです。

東京工科大学「新入生の「コミュニケーションツール」利用実態調査」2020年

2014年ごろにはかなり使われていた携帯電話のキャリアメールの使用度合いが極端に低下していることもお分かりいただけると思います。授業で学生に、「Eメールは使う?」ときくと、「先生に連絡する時」「インターン先へのコンタクトに」「就活関係で」などですが、その頻度はかなり低いようです。これが、一般的な学生のコミュニケーション環境だと思われます。

そんな学生諸君が一旦社会に出ると、そこでのコミュニケーションの中心はEメールになります。さまざまなコミュニケーション手段がある中で、最もプロトコルが標準化されており、特定のアカウントを持つ必要もないEメールは、今後もコミュニケーションのど真ん中に当分は居続けるのではないかと思われます(この点についての見方は、年代によって、就業環境によってかなり異なるようではありますが…)。社内外のSNSやオンライン会議など、多くの他の手段もその種類を増やしてはいますが、Eメール優位は変わらないと見る見方が多いようです。

このことは何を意味するかといえば、学生諸君にとっては、学校にいる間にそれなりのEメールのトレーニングを受けたり、例外的に使う機会が多くなければ、その手段としての特性に合わせてどういうふうに書くべきかを知らないまま社会に出ることになります。さらに悪いことに、社会に出てからの企業内訓練においても、Eメールに特化したものを実施する企業は、非常に限られている状況があります。日本ビジネスメール協会の調査によれば、ビジネスメールの社員研修があるのは9.48%です。

この日本ビジネスメール協会の代表理事の平野友朗さんは、「メールと言えば平野」と言っても過言ではないメール教育の第一人者。もしあなたが学生で、ここに書いたようなことに心当たりがあれば、あるいはお知り合いにそんな学生さんがいれば、あるいはあなた自身がメールをどう書いたらよいかに確信を持てないままでいれば、平野さんの著書は福音になるでしょう。極めて実用的です。著書も本当に多く、さらにどんどん新たな著書が、毎回質を上げながら発表されていきます。最新版はこの本です。

日本ビジネスメール協会の主催する英語セミナーの担当は私がしております。こちらもよろしく!


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