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英語にちょっと自信が持てた経験

私は、中高時代は、学校のテニス部(硬式テニス)に入っていました。時は1960年代後半から1970年代前半です。今でこそ大阪なおみ選手や錦織圭選手など、日本からも世界水準のトッププレーヤーが育っていますが、当時はまだまだ。神和住純さんという方がプロになったとか、少し後ですが沢松和子さんがウインブルドンの女子ダブルスで優勝したりとか、ごくたまに大きな報道につながるニュースもあったのですが、一般的には、新聞でテニスが大きく取り上げられることはありませんでした。

当時の世界のテニス界は、オーストラリア全盛時代。ご存知の方も多いと思いますが、2回グランドスラムを達成したロッド・レーバー(Rod Laver)や1970年に年間グランドスラムを達成したマーガレット・コート(Margaret Court)のみならず、綺羅星のように名プレーヤーがたくさんいました。

そういう選手が、ウインブルドンやUSオープンでどのように活躍しているのかを知りたいという欲求が強かったのですが、入手できるのは2つの月刊誌(「テニス・マガジン」と「スマッシュ」)が来るのを、心待ちにしていました。それでも、そんなに大した量の記事はありません。ただ選手たちの綺麗な写真を見るのが楽しみでした。

そういうわけで、テニスの世界のトッププレーヤーたちの動向に関わる情報に飢えていた私が、ある日学校の図書館で、ものすごい情報源を見つけたのです。"The Japan Times"という英字新聞です。ある日ふと図書館で興味本位でそれをラックから取り出しました。おそらく中学校3年生ですから、大人が読む英字新聞を読めるとは思っていませんでした。最初のページからめくっていってあるページで目が止まりました。

そこには、半面くらいのテニスの記事が載っていたのです。日本の新聞で、こんな大きな紙面のテニスの報道を見たことはありませんでした。おそらくグランドスラムでしょうか、かなり大きな大会の記事だったのでしょう。それを読みましたが、思ったほど難しくないと感じたのです。

それも道理です。テニスの記事なんて、所詮誰が誰にどういうスコアで勝ったかという記事の羅列です。背景知識もあるのですから、スラスラと読めるのです。これで本当に自信がつきました。「俺って、結構英語読めるじゃん!」という感じでしょうか。(本当は、広島弁で、「わしもなかなか読めるのぉ」です)

面白いので、ほとんど毎日図書館に行って、The Japan Timesのテニスの記事を追っかけるようになりました。テニス記事が無い、あるいは少ない日には、スポーツ欄で他のスポーツに関する記事に対象が広がっていきました。記憶があるのは、案外相撲の記事が案外大きかったことです。後に国技館に相撲を見に行った時、外国人の観客が多かったことを思い出します。日本ならではのスポーツに、外国の人が引かれるのも、考えてみればもっともな話ですね。また、アメリカ軍の基地から流れているラジオ放送(今は名前が変わりましたが、当時は"Far East Network"(訳してFEN)と呼んでいました)には、ちゃんと相撲の中継番組がありましたから。現在でもNHKの相撲中継で、第2音声で英語のアナウンスがされています。

考えてみれば、The Japan Timesは日本に住んでいる英語圏から来た人々ですから、そういう人たちが関心を持つ記事が多いというわけです。イギリス人ならウィンブルドン、アメリカ人ならUSオープンは外せないでしょう。

このテニスの英語記事が読めると思ったことが、その後英語を好きになる大きなきっかけになったように思います。今でも、大学生や社会人に対して、「まず好きな分野を英語で学んでください」、そして「わかる、わかる」、「読める、読める」という小さな自信を積み上げてくださいと言っています。「これから英語に本格的に取組むぞ!」と思っている方、英語「を」学ぶのではなく、好きなものを英語「で」学んでください。

次回は、もう一つ、英語勉強法について大きなヒントを得た経験についてお伝えしようと思います。(続く)

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