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『市民案内課へようこそ!』


作品の紹介

月間20万PVを誇る読書ブロガーによる小説になります。

作品を仕上げるために気をつけたのは以下の点。

・確実に面白いこと
・ドラマがある
・考えさせられるテーマがある
・読んで良かったと思える作品にする(読後感が良い)


特に読後感には自信があります。読んだのを後悔させるようなことだけはさせません。
世の中には色んな娯楽がありますが、小説だからこそ味わえる楽しみを提供できるように腐心しました。

この社会はたくさんの人の仕事で成り立っています。それはたくさんの人の苦しみや喜びに支えられているとも言えます。当たり前の話ですが、人の数だけドラマがあるのです。

そんな一人ひとりを幸せな気持ちにできるような物語を作りたいと思いました。何よりも私自身が読みたい物語を。


日々の仕事に疲れている人も充実している人も。
悩んでいる人も幸せな人も。

この作品があなたの人生に少しでも彩りを加えられることを願っています。



○ 宮本小次郎 1 ○

 面接室から声が掛かるのを待っていた。
廊下に置かれた安っぽい椅子に腰掛けている。緊張はピークに達し、足は自然と震えてくる。かたかたと心細くさせる音が誰もいない廊下に響いていた。
 「失礼しました」唐突に快活な声が聞こえた。
 扉が開き、僕のひとつ前の男が出てくる。自信に満ち溢れた表情。胸を張り堂々と歩く姿には優秀さが滲み出ていた。
 まずいなぁ。僕が面接官だったら確実に、僕なんかよりもこいつを採用するだろうな。
 ぎゅっと手を握ると指先が冷えている。ああ、早くこのプレッシャーから開放されたい。
 「次の方」部屋の中から声が掛かる。
 来た。股間がひゅっとすくみ上がる。やばい、この緊張感は受験の比じゃないぞ。早鐘を打つ心臓をなだめながら、ゆっくりと深く呼吸をする。その呼吸さえも震えている。落ち着け、落ち着け。こんなんじゃまともに面接なんか出来ないぞ。気合を入れるんだ。一向に収まる様子のない鼓動をできるだけ意識しないようにし、下っ腹に力を入れる。緊張を押さえつけるイメージ。その勢いのまま扉をノックする。行くぞ。
 ガンガン。やばっ、気合を入れすぎた。廊下に暴力的な音が響く。なにやってんだよ、もう。
 「失礼します」扉を少し開けた所で、入室マニュアルが頭をよぎる。
《入室時のマナーその2。どうぞと言われてから扉を開ける》
 あれ? 今、どうぞって言われたっけ? 自分の考えにびっくりして、思わずドアノブから手を離してしまった。
 ガチャン。静かな廊下に扉の閉まる音が響く。
 …。
 えーっと、間違えて扉を開けちゃった場合はどうするんだっけ? いや、この場合は閉めちゃった場合か? 必死に頭の中のマニュアルを捲るが、どのページも白紙。なんだこのマニュアル、不良品か? いや不良品は僕の頭か。ってそんなこと考えてる場合か。
 混乱気味の頭は上手く動いてくれず、身体が扉の前で固まってしまった。冷えた廊下に無音の時間が流れていく。世界ってこんなに静かになるんだ。場違いな考えが頭をよぎる。
 「次の方?」
 戸惑ったような声が中から聞こえてきた。
 そうだそうだ、間違えた場合は中から再度声を掛けられるのだったか。きっとそうだ。
 コンコン。今度は丁度いい強さで叩けたぞ。よしよし。どきどき。
 「どうぞ」
 「失礼します」面接室の中は冷え切った廊下とは違い、暖房がよく効いていて暖かかった。緊張が少しだけほぐれるのを感じた。
 面接官はおっさん二人。僕は用意されている椅子の横に立つ。
 「宮本小次郎です。宜しくお願いします」
 深々と頭を下げる。
 「どうぞお座り下さい」今日何度も口にしたセリフなのだろう。若干嫌気が差したような言い方だった。
 「では、まず志望動機からお願いします」
 「はい。私は…」

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『市民案内課へようこそ!』

ひろたつ

300円

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月間20万PVぐらいのブログを運営する、読書中毒ブロガー。 小説を書いてみたら意外と面白いのが完成したので、喜んでいる。 ブログはこちら⇒https://www.orehero.net/
コメント (1)
こういった表現がいいのかわかりませんが、伊坂幸太郎のような愉快なキャラクター、奥田秀明のようなストーリー展開。『市民案内課へようこそ』が処女作のようですが、さすが『おれだってヒーローになりてえよ』の人です。気が付いたら読まされていて、素直に面白い作品でした。次回作もあるとのこと、また楽しみに待ちたいと思います。
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