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ギターを輸入してオーストラリアに移住できた話 ~その1~

こんにちは!”ヒロスノウノヲト”です。

この宮沢賢治の世界に出て来そうな、素敵に変な(笑)クリエイター名は、「ヒロユキの音」をもじったものです。詳しくはこちらをご覧下さい。

さて前回、海外移住したい方に向けて「永住ビザ」の話をしました。
(ご興味のある方はこちら👇)

その中で、私自身はギターを日本に輸入することで永住ビザの取得~移住を叶えたということに触れましたが、今回はその体験談をシェアさせていただきますね^^

さて僕が移住申請をした時に取得したビザは、今は要件が変わって無くなってしまったようなのですが、州スポンサー付きのビジネスオーナービザというものでした。

まずは4年間の暫定ビザをもらい、その4年の間に申請した州で会社を設立して、オーストラリアに貢献するビジネスで年間20万豪ドル(1ドル85円で換算すると、1700万円ほど)の売上を立てることが出来れば、永住ビザをゲットできるというものでした。

前回の記事でも書きましたが、永住ビザというのは若いほど取得しやすく、年齢を重ねるほど取得できるビザの種類も減り、ハードルが高くなります。

40歳過ぎて移住を考え始めた僕には、このビザが唯一の可能性でした。
当時、起業して8年目の小さな会社でしたが、経営者だったことが功を奏しました。しかもこのビザ、英語力免除でした!

この英語力免除で一気にテンション上がりました!
だって僕、学生時代も音楽漬け、それ以降も、英語の勉強なんて一切していませんから、ビザ申請当時は、中学生レベル以下の英語力しかありませんでした。

「そんなで良く移住したいと思ったな!」って話なんですが、その時は凄く行きたくなっちゃったんですから、仕方ないですよね…笑。

ということで、英語も出来やしないのに、オーストラリアで会社を設立することを決断しちゃったわけなんですが・・・

「いったい何を売るのよ」って話なんですね、当然ながら。。

当時、起業8年目の僕の会社は、農家直送の有機栽培米や特別栽培米などの玄米をお米屋さんに産直卸する事業をしていました。
(過去形になってますが、今もこの事業続いています^^)

また、その前は酒販店の店主をしていた経験もありましたので、お米屋さんや酒屋さんに販売してもらえるものをオーストラリアに探しに行こうと思い立って、ビザを申請する前から、観光ビザで何度か商品探しの旅に出かけました。

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暫定ビザが出たら待ったなしに4年間で成果を出さなければならないので、ビザが出てから商品探しでは遅いと思ったんですね。

まず最初に考えた商品は、当然のことながらお米。オーストラリアでもお米を栽培していて、しかも季節が逆ですから、日本とは収穫が半年ズレます。

「3月頃に新米が出るっていいじゃない?!」

当時、オーストラリアのスーパーでは確か500gのお米を1ドルちょっと(100円前後)で売っていたように記憶しています。

「安いし、日本でお米がまずくなり始める頃に新米を輸入できるし、いいじゃん!」ということでいろいろ調べてみました。

しかし、やはり日本の食卓に出すには「味」がイマイチでした。

そうしたらオーストラリアに住む日本人は日本のお米が恋しいに違いないと日本のお米をオーストラリアに輸出することも考えてみました。

しかしお米の輸出入は当時厳しい関税もあってハードルが高い上に、オーストラリアは自給率300%の国ですから、海外からオーストラリアに農産物を輸入するのはビザ取得のためには移民局への訴求力がないとのこと。。

そんなわけで、やはりオーストラリアの産品を日本に輸入するということに焦点を絞って、商品探しを続けました。

移民弁護士は曰く、「日本食レストラン経営などであれば、すでに営業しているお店をビジネスごと買っちゃえば、すでにお客様がついているから、オススメだよ」というのですが、投資額は大きいですし、飲食業をやったことのない僕には成功のイメージがどうも湧きませんでした。。

そして次に考えたのは、文房具、ワイン、コーヒー豆、マカダミアナッツ。

なぜ唐突に文房具だったかと言いますと、商品探しの旅でオーストラリアの空港に着いた時に「Smiggle」というとても可愛くてユニークなファンシー文房具の店を見つけて、この商品を日本向けに仕入れられないかと考えたからなんですが。。
(Smiggleの魅力をわかりやすく書いたサイトがありました→こちら

そしてさっそくオーストラリアに住む日本人の通訳者を探して、Smiggleの本社に問い合わせてもらいました。

そうしたら、Smiggle本社と契約して、Smiggleの指導の元でオーストラリアの店舗と同じコンセプトの店を日本に展開するつもりなら相談にのるけど、商品だけを卸すことはできない・・・とのこと。

返答が簡潔明瞭で良いですね!
ビザを取得するためのビジネスとしては、ちょっとリスクが大きすぎますので、通訳者さんに丁重にお断りいただきました。

次に行ったのはワイナリー。オーストラリアはワインの新興国ですし、私の酒販店店主の経験から、その知識と人脈が販売に役立つと思ってました。

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そしてもうひとつ目をつけたのはコーヒー豆。

実はオーストラリアにもコーヒー農園があります。
日本には一切輸入されていませんが、それもそのはず、オーストラリア国内でも、コーヒー豆は輸入品がほとんどで、国内産のコーヒー豆のシェアは、ほんの数パーセントとのこと。

オーストラリアのコーヒー豆って、ちょっとイメージが良い気がしますし、商社が手を出すほど大きな産出量もないので面白いかなと思いました。

・・・で、Cairnsから内陸に1時間ほどのコーヒー農園をインターネットで探し、日本人通訳さんにアポイントまでお願いして行ってきました。

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本当は生豆で日本に輸入して、日本で焙煎が出来ればと目論んでいたのですが、検疫の関係で難しいとのことでした。

袋詰めの製品にしたものであれば卸してくれるとのことで、ビジネス企画書には盛り込むことにしました。

ちなみに僕が申請したビジネスオーナービザは、オーストラリアで設立した会社でどのようなビジネスを行うのかを企画書にして提出することが求められます。

ワインとコーヒー豆が僕のオーストラリアの会社の取扱商品として出揃ったところで、どうにも20万豪ドルの売り上げを立てられる成功のイメージが出来ませんでした。

何かワクワク感がないというか、ワイン、コーヒー豆、どちらも単価が低いモノですし、1700万円売ろうと思ったらどれだけの数を売らないといけないのかと計算してみると・・・

単価2000円のワインなら8500本。
単価1000円のコーヒー豆なら17000個。

どちらもそんなにバカ売れするイメージができませんでした。。

そしてマカダミアナッツ。
オーストラリアは世界でも大きなシェアを持つ一大産地のようですが、これについても、同様に単価が低いモノですから、産地には出かけず、もっと単価の高いものに思考を巡らせ始めました。

そこで、ふとポワンと頭に浮かんできたのが「ギター」でした!

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こう考えたんです。

オーストラリアからの輸出産品に絞って考えるとなると、今までの商売とはまったく違う商売をせざるを得ない。
↓↓↓↓↓↓
自分の好きなものであれば、目利きが出来るし楽しく出来るから成功の可能性も高くなる。

ということで、学生時代から大好きだったギターを扱えば楽しくビジネスを展開することが出来ると考えたんです。

そう思った途端に、何か気分が高揚してくるのがわかりました^^
・・・で、そこからまた怒涛のインターネットリサーチが始まります。

そして見つかったのが、メイトンとコールクラークというオーストラリアの2大アコースティックギターメーカー。

「なんだ!オーストラリアにも立派なギターメーカーがあるじゃん~!💛」

一気に気分が高揚!
そしてこれらのメーカーを調べてみると・・・

すでに日本に輸入されていました・・・一気にガッカリ(笑)。

そしてさらにインターネットリサーチを続けました。
ある日の晩、夜中12時を回ったころだったと思います。

見つけちゃったんです!
ワクワクするサイトを。。

「Melbourne Guitar Makers Festival」と題されたそのサイトには、たくさんの個人製作家が作ったギター画像がいっぱい。
そして個々の製作家のホームページへのリンクもご丁寧に張ってあります。

僕は食い入るようにサイトの隅から隅までを眺め尽くし・・・
(英語がダメなので読み尽くしではない…笑)

「これだっ!!」と直感しました。

「このMelbourne Guitar Makers Festivalに行ってみよう!」と即思い立ったわけですが・・・

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「いやちょっと待てよ。。いきなりこうした展示会に行っても、英語もしゃべれない日本人が、現地のお客さんがごった返す中で、ゆっくり話を聞いたり、ましてや交渉なんて出来ないんじゃないか・・??」

そこで考えました。
「展示会が開催される前に、めぼしいギターメーカー数件だけでも先に尋ねてみてはどうだろうか・・・?」

展示会の時にすでに顔見知りであれば、ごったがえす中でも話しやすいし、事前にわざわざ日本から訪ねてくれたと印象を強く残せるかもしれない。。

展示会には競合となる日本人がいるかもしれないし、アドバンテージを上げるにはこれしかないかな・・・と。
実際には日本人はまったくいなかったんですが・・・(^^;)

そしてまたまた現地日本人通訳さんにアポイントをお願いしてみました。
会いたいと思っていた3人のギター職人さん快諾してくれました^^

「Melbourne Guitar Makers Festival」は2010年5月22日~23日の開催。

その2か月前の2010年3月15日、まだ見知らぬ3人のギター職人さんに会いに行くことが決定!

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僕の気持ちは一気に高揚、ワクワクが止まりませんでした。。

(第2話に続きます)

2020年12月12日
オーストラリアの小さな音楽工房にて
ヒロスノウノヲト

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