見出し画像

【卓球】戦型を考える上でのマトリックス

今日は卓球についての記事を書いていきます。自分の戦型を考える上での考え方を、漫画『灼熱の卓球娘』の引用で書いていきたいと思います。かなり長文ですが、ふざけているようで真面目な内容なので興味のある方は『灼熱の卓球娘』と合わせて読んでみてください(笑)

今回この考え方を教えてくれたのは現在の高校総体優勝常連の某名門高出身の大学時代の同級生です。

彼には卓球について色々教えてもらいましたが、技術的な内容よりこういった卓球の考え方について教わり、僕も今までとてもプラスになりました。その一部を紹介させてもらえたらと思います。

卓球のマトリックス図

まず下の図を参考に説明させていただきたいと思います。縦軸は強さで上に行けばいくほど強い、横軸は上手さで右に行けばいくほど上手い、右上に行けばいくほど強さも上手さも兼ね備えた人、ということが言えます。

画像8

なので大きく分けて卓球選手のタイプは4タイプとなります。

①上手くて強い人(右上)

②上手さより強さに特化した人(左上)

③強さより上手さに特化した人(右下)

④強くも上手くもない人(左下)

④は初心者で卓球を始めたばかりの人なので、ある程度続けていけば誰しも①、②、③のいずれかの傾向に入ってくるんですよね。この3つのタイプ別にトップ選手と雀が原女子卓球部がどのタイプに当たるのか説明したいと思います。

※トップ選手の場合は基本的に我々一般人と比べたら全員強さも上手さも兼ね備えているのですが、あくまで説明の例として僕の主観でトップ選手同士ではどうか、という観点で説明させてもらえたらと思うのでその辺はご容赦下さい。

①上手くて強い人

こちらに関してはトップ選手で言えば水谷選手や丹羽選手ですね。これは誰も異論はないと思います。

画像2

水谷選手は多彩なサーブ、レシーブのテクニック(上手さ)、圧倒的な返球能力とフットワーク(強さ)を持っています。

丹羽選手はカットブロック等の誰にも真似できないテクニック(上手さ)、スピードのある連続攻撃、カウンター(強さ)を持っています。

強さ有、上手さ有、理想的な卓球ですね。

雀が原女子で言えばこのタイプは上矢あがりちゃんです。

画像3

あがりはオールラウンダーで特にこれといった弱点が無く攻守どっちでもいける印象があります。何でもできるという点においては上手さがあると言えます。

そして「北のドライブマン」の異名を持つほど得意なループドライブを持っており物語終盤ではこのループドライブを圧倒的な得点力のある武器として完成させます。県ベスト8の実力を持っており強くて上手い選手であると言えます。(ちなみに僕はあがり推しです笑)

しかしスポーツ全般に言えることですが、このタイプを目指すには才能や向き不向き、環境、始めた年齢といった自分ではどうにもならない要素も絡んでくるんですよね。

しかしこのタイプにはなれないからと言ってそれが悪い訳ではないと思います。このタイプ以外の選手に関しても説明させていただきます。

②上手さより強さに特化した人

このタイプですが僕の同級生の話によると、③のタイプよりはこちらの②のタイプの方が良いそうです。

理由は卓球は先に11点を三回取った方が勝ちのスポーツなんでどれだけすごいテクニックを持っていても得点に結びつかなければ意味がないからです。

こちらに関しては僕の主観ではトップ選手で言えば森薗選手と神選手です。二人とも上手いんですけどね(汗)

画像6

森薗選手は今回の水谷選手の全日本決勝解説動画で「弱点の多い選手」と話されていました。確かに他の選手と比べて、バックハンドは振らずに、緻密なテクニックといった印象も少なく、フィジカル的にも他の選手とは劣るのでトップ選手の中では「弱点の多い選手」と言えるのかもしれません。

しかし森薗選手はそういった弱点をカバーできる程得意なチキータ、前についてのプレー、フットワークを武器に気持ちの強さで勝ってしまう選手なんですよね。

画像8

神選手に関してもTT彩たまの坂本監督から「ジンタクは卓球が下手だ」と話されていました。神選手に関しても緻密なテクニックや華麗なプレーといったことは正直少ない印象があります。

しかし神選手に関しても圧倒的な回転量のあるサーブから得意のフォアハンド攻撃へ結びつけガッツで勝ってしまう選手です。

2人ともこのように弱点は多く多彩な技術といったイメージは少ないですが、世界ランクトップ50以内に入っており「上手さより強さに特化した選手」といえると思います。

雀が原女子で言えばこのタイプは旋風こよりちゃんですね。

画像6

こよりは主人公ですね。県ベスト4の実績を持っており、あがりと同じオールラウンダーではありますが、あがりの様に時には守ったり、コースを狙ったりといったことは少なくあくまで攻撃重視のイメージがあります。

そして試合を楽しむ気持ちで流れを自分の方に持ってきて勝ってしまう選手で「上手さより強さに特化した選手」の典型例かなと思います。

これらの人達の様に卓球って弱点があったとしても、得意な武器を作ってそれを活かす戦い方をしていけば試合で戦っていくことができるんですよね。

僕が所属しているクラブチームに以前、フォアに強弱がつけれない選手がいました。軽く返す様に弱く打とうとしたら入らなかったり、コントロールできなくなってしまうんですよね。

「上手さ」という視点でいえば上手いとは言えないですよね。

しかしその人は試合での強打となれば、狙ったコースにとはいかなくても強打がきちんと決まり相手もそれが返せずに試合で勝ち上がっていってしまうような選手でした。

「上手さより強さに特化した人」の典型例だったと思います。

このように卓球って先に11点を3回取った方が勝ちのスポーツなんで技術がどれだけ緻密で凄いかはその技術単体ではあまり意味がなく、「得点に結び付けられる」技術でないと意味がないと思います。

上手くなくても、弱点が多くても先に11点を3回取れるような「上手さより強さに特化した人」であれば「試合で勝つこと」においてはそれは全く問題ではないということが言えます。

③強さより上手さに特化した人

僕の同級生の話によると少し難しいのがこのタイプで、僕もこのタイプだったそうです。

僕の主観ではトップ選手でこのタイプは松平健太選手と岸川選手です。二人とも強いので恐縮なのですがあくまで例としてです。

画像9

松平選手に関しては正直、技術だけなら日本一といっても過言ではない程の技術を持っています。多彩なレシーブ、ブロック、カウンタープレー、バックハンドと全ての技術が緻密で質が高いです。

しかしそんな国内随一の技術を松平選手が持っているからと言って、松平選手が日本一かと言えばやはり水谷選手や丹羽選手には実績的に少し劣っているのかなと思います。(日本一に近い時期もありましたが)

岸川選手に関しても同様のことが言えるのかなと思います。やはり二人とも弱点は無く技術は国内でも有数の技術を持っていますが、決定力や得点力と言う観点では水谷選手や丹羽選手に少し劣っていたのかなと思いました。

雀が原女子ではこのタイプは出雲ほくとちゃんです。

画像10

ほくとの技術は部内随一で女子なのにYGサーブも使えてサーブが多彩です。サーブからの展開をコントロールして作戦や技術で戦っていくタイプです。

しかし長いラリーは得意では無く、サーブも多いのですが回転量が弱いという欠点もあり決定力という面においては劣っているところがあり「強さより技術に特化した選手」といえるのかなと思います。

卓球は先に11点を3回取った方が勝ちのスポーツなので、決定力等の「強さ」に劣るこのタイプはやはりこと「試合で勝つこと」に関しては少し難しいところがあります。

なので、もし自分がこのタイプであるならそこから得点できる武器「強さ」を身につけていくか、より「上手さ」を磨いていくしかないのかなと思います。

松平選手に関しては一時期不振でしたが、TT彩たまに移籍して攻撃を増やして「強さ」の部分を強化して今季においてはTリーグでも好成績を残しました。

ほくとに関してはサーブの回転量が少ないという欠点を補うために投げ上げサーブを取り入れ回転量を上げることで得点力を上げました。「上手さ」を磨いて「強さ」を強化したのかなと思います。

もし自分がこのタイプならこういった部分を強化すれば技術はもともとあるタイプなので、伸びる時は一気に伸びて勝てようになるタイプだと思います。

僕の場合と最後に

僕は学生時代に部の誰よりも練習して努力していたと自負していたのですが、例の名門出身の同級生を初め部のレギュラー陣の背中が一向に見えてこないのでその同級生に俺は頑張っているのになんで勝てないのか?どうすれば勝てるようになるのか?と相談しました。

何の練習をすればいいとか、こうゆう打ち方をした方がいいといったアドバイスを求めていたのですが返ってきたのは意外な返答でした。

同級生「そんなこと言ってるから勝てないんだ。努力さえしていれば勝てるほど卓球は甘くないぞ」

僕「???」

子供のころからよく聞いてきたのが、努力すれば報われるとかいったことで、僕もそれを信じて生きてきていたのでその価値観が崩れた瞬間でした。

これは僕の主観ですが努力すれば報われるレベルは学校の部活レベルまでだと思います。全国で勝つ為に戦ってきた人達には努力することは当たり前のことなんですよね。

僕「ではどうすればいいのか?」同級生に聞きました。

同級生「さあ?自分で考えたら?」

なんて薄情なやつだと思いましたが、後から思えば違ったんですよね。彼は本質を教えてくれていました。必要なのは「自分で考えること」だったんですよね。

「自分と向き合うこと」とも言えると思います。

同級生「お前は上手いとは思うんだよ。できないことはないし、色んな回転をかけることができる、思ったより返してくるし。でも、弱いんだよな。それじゃダメなんだよ。」

何も教えてくれてないようで全て教えてくれていました。さっきのタイプ別で③のタイプであった僕に必要なのは「上手さ」こと技術を増やすことと磨くことであり、何球でも返せるように「粘り強さ」を磨くことだったんですよね。

そしてその為に必要な練習は自分で考えていかなければいかなかったんですよね。

何の練習をすればいいとか、より良い打ち方を教えて欲しかったのですが、部活レベルまではそれでいいかもしれませんが、彼らのように名門レベルの人たちの中からレギュラーを取るためにはそれでは駄目だったんですよね。

何をすればよいかは人によって違うんですよね、100人いれば100通りの正解があると思います。骨格も筋肉も性格も感覚も違うので正解は自分にしか分からずそれは自分で見つけていくしかないんですよね。

努力だけではなく必要だったのは「自分と向き合うこと」であり、何も教えてくれていないようで彼はずっとその為のヒントをくれていました。

結果スタメンとはいきませんでしたが何度かレギュラーにも入れましたし、今でも社会人でそこそこやっていけています。彼に教わったことは仕事を含めて今でも活きてるなと思います。

自分は強くもないし、上手くもないと思っている人がいれば絶対にそんなことはないです。誰しも大なり小なり「強さ」か「上手さ」の要素を持っています。

大事なのはそれを見つけて伸ばしていくことでありその為に必要なのが「自分と向き合うこと」なんだと思います。

卓球に正解はありません。100人いれば100通りの正解があります。このブログが誰かの正解を見つけるヒントになれば幸いです。

かなり長文になりましたが最後まで読んでいただいてありがとうございました(^^)

P・S灼熱の卓球娘の続編を期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?