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目で見て口で言へ(演劇篇)14本目「3々9扉」

チームスチームパンのオムニバス公演「3々9扉」を見て来ました。3本の三人芝居オムニバス。それぞれ作者は違いまして、演出は百鬼夜話でご一緒したことのある安達俊信さんです。

扉を開けば、3人の滑稽な人間模様。
「キョウゾウダンカイ」
おしゃれなカフェに集まる三人の女性の益体もない、けれどリズムよく進む会話の中で三人それぞれが抱える思いがうっすらと透けて見えてくる。

タイトルはラカン(!あのデコンストラクションの?)の「鏡像段階」でしょうか。途中で、冒頭の少し前あたりからもう一度シーンを繰り返すところ、割とテンポが速いのでセリフのやり取りがよくわかってよかったのですが、その狙いが今ひとつわかりませんでした。

「たかが缶詰ひとつの」
前の話と同じくカフェが舞台かと思わせつつ、実はスーパーの事務所らしいということがわかります。缶詰を万引きした女性とスーパーの店員、そしてなぜかそれを通報した女性がおずおずといった感じで会話を進めて行って……

3人の関係性も含めて、どこに向かってお話が進んで行くのか、そのあたりの予測不可能なところが楽しめるかどうかがキモなのかも、と思いました。

「トイ・ゲーム」
気が付くと手足を拘束されて監禁されていた男女。ふたりの前に現れた黒衣の女は、直前まで言葉を交わしていた占い師だった。女は刃物を手にしていた。

前の2作とはまったく違うテイストで、大きな謎で引っ張って行く展開。こうなるとどうオチをつけるのかが興味深かった。最初まったく関係がないと思われていた男女につながりが見えてきてーー結末は意外なものでした。が、あまりに飛躍しすぎていてついて行くのがなかなか難しかったかも。

役者さんの中では、特に印象に残ったのは「キョウゾウダンカイ」の脚本も書いた吉田彩花さんです。SNSに関するセリフは、タランティーノの映画の登場人物たちがマシンガンのように交わす無駄話のようで、楽しかったです。

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