見出し画像

目で見て口で言え「ジャバウォック」「、恋をする」

今日は芝居のハシゴ。まずは肋骨蜜柑同好会「ジャバウォック」@小劇場楽園。

肋骨蜜柑同好会「ジャバウォック」チラシ画像

「ちょっと目を離した隙に、飛んでいってしまったんです」
 ある日の夕火刻、前触れもなくそいつは現れた。体高およそ六尺、翼開長は三間を優に超えようとも噂されるその“鳥”は、眼光燃えるばかりに炯々とし、漆黒の翼は油を流したように粘滑であったという。喰らいつく顎、引き掴む鉤爪。一体それは、ナニモノなのか。
 早春の田瓶市を、巨大怪獣が襲う!田瓶市役所農林整備課有害鳥獣対策室の面々は、未知の害獣に頭を抱えていた!
“いつまで”も続く今から、“いつまで”も来ない明日へ、
 劇団肋骨蜜柑同好会の、飛ぶ鳥を落とす総天然色完全新作長編演劇。天に弓引き、一矢報いよ。

由緒正しき怪獣映画とエンゲキの血を掛け合わせたハイブリッド種。怪獣映画に必要な、怪獣以外のほぼすべてを揃えているところが見ていて一番心騒ぐところ。怪獣映画から怪獣エンゲキに移行させる際にあえて唯一欠落させた「怪獣(の実在)」以外の要素、対策を練る公権力の末端の人々、科学者(正統派も異端も)、戦う民間人、怪獣に関する疑似科学的論理(飛躍すればするほどいい)、結果編み出される最終的対策のためのいくつかの伏線とその(回収ではなく)収束。見ていて連想したのは、平成ガメラ三部作の最後の「邪神(イリス)覚醒」であります。怪獣の第一発見者が、あの少女に重なって見えましたですね、はい(本筋はまったく違うんですけど、彼女の存在一点だけで連想しました)。あと、田瓶市モノ好きとしては「フジタさん、ついに平田やったな……!」と思いました。「待ってました!ブラボー!」と。出演者皆様素敵でしたが、特に安東さんの演じた進化生物学の学者さんの舞台上での自在度がエグかったですね。なんでしょうあの佇まい。同じ人間とは思えない素晴らしさ(ほめ殺し)。

続いて荻窪へ移動して、肉汁サイドストーリー「、恋をする」@荻窪小劇場。

肉汁サイドストーリー「、恋をする」チラシ画像

愛してる
愛してるよ
ふりむいてぼくをわらっておくれ
それでいいから
それだけでいいから
それだけで生きていけるから
お願いだよ、

舞台上に並んだ三つのアクティングエリアで展開する三組の二人芝居……かと思いきや、それぞれが何だか繋がっているようないないような展開のチラ見せがあって、まさかのメタっぽいラスト(キャットウォークまで使って)へ。唸ったなあ。市川くんのジェルソミーナ味のある人物は、本当に実在感のない「いくらゲキでもいないでしょそんな人」なキャラクターなのに、毎回(そんな役どころではないけど)納得してしまうのはなぜかしら。三組の人たちの、好きだとかなんだとか、そういった感じのお話は、エロスもパトスも手放してしまった、情緒カラッカラの老人にとっては眩しさすらわからないくらいの世界なので、何にもいえません。

どちらも明日6日が千秋楽。ご興味があれば、まだ間に合うかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?