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目で見て口で言へ(演劇篇)17本目「チョビ」

同世代で舞台頑張っている牧野耕治さんご出演のここ風チョビ」を見て来ました。

子供頃児童養護施設で一緒だった5人のメンバーが、久しぶりにチョビの家に集まった。チョビというあだ名は、胸の火傷の跡がちょび髭に見えるから、施設仲間のシンちゃんがつけた。チョビは東京の夫婦の元に養子に出た。弁護士、保育士、公務員ーー仲間たちは、それぞれ夢に描いた職業についており、30年近い歳月が経ってもすぐにあの頃のように軽口を叩き合った。チョビは今、里親の店を守っているのだが……。

5人がいた児童養護施設は大阪だったので、施設仲間は大阪弁で喋りまくります。みなさん非常に達者な役者さんばかりで、おそらく幼い頃のノリみたいなものも含めてテンポよく会話のラリーが続いて行くわけですがーーうーん、冒頭から、ほんのりとした違和感が感じられたのでした。そしてその違和感は、お芝居中うっすら続くのでした。

(ワタクシ関西の人間ではありませんし、なんなら自分の里の言葉もだいぶ下手になっているに違いないと思っていますが、「関西弁のこなれない感じ」というにはそんな地元の人間じゃないヤツにもわかってしまう恐ろしさがあります)

(だぶんそれは、テレビなどで関西弁が全国的に広まってある程度(正しく、かどうかは別として)定着しているせいではないか、と思ったりもしています)

トツゲキ倶楽部で拝見した高橋さんがご出演されていて、事前にまったく気付いていなかったので嬉しい驚きでした。相変わらずフットワークが軽くてでも的確なところを撃ち抜くようなお芝居をされるなーと舌を巻きつつ拝見しました。牧野さんの安定感は相変わらずで、同年代として大変刺激を受けたワタクシであります。

また、関西弁の違和感はあるものの、お話自体は大変練られていて細かいところまで考えられた(偉そうな言い方!)ものでした。そしてツヨツヨな俳優陣がブンブン腕を回しながら(そうはまったく見えないところがなお素敵なんすけど)お芝居をしているのですから、面白くないわけがありません。

ただ、見終わっていい心持ちで帰りながらふと思ったのはーーこの物語の「ために」幼い命が失われた(ああ、フィクションだということは大前提として)のだなあ、それってちょっと、うーん……何も全員殺さなくても……でも……あれ見てジーンとなってたしなあ、自分……最近本当に涙腺がもろくなって、会話の中で人が死んだという話を聞いてもブワってなりかけてるしな……うーん。

そしてチョビがいた児童養護施設には、あの4人しかいなかったのかしら、亡くなったのはあの4人だけだったのかしら、チョビには仲の良かった職員さんはいなかったのかしら(郵便屋さん?はいたみたいだけど)ーーと考えんでもいい余計なことに頭を使っているうちにあっという間に最寄駅に着いたのでした。

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