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目で見て口で言え「チロンヌプカムイ イオマンテ」

地元のミニシアターあつぎの映画館kikiで「チロンヌプカムイ イオマンテ」を見た。

ドキュメンタリー映画監督北村皆雄により1986年に撮影された、二風谷でのチセノミ(新築祝い)と屈斜路湖畔美幌峠のコタンでのキタキツネの霊送りの儀式の様子。どちらも不出世のアイヌ神事の伝承者といわれた日川善次郎エカシが取り仕切っている。特に霊送りの儀式(撮影の時点では、このような儀式は野蛮な風習として北海道知事からの通達で禁止されていたそうだけど)は75年ぶり。

子供の頃から可愛がっていたキタキツネのツネ吉を、ウポポとリムセで楽しませ、沢山のお土産物を捧げて神の国へ送る。日川エカシは若い頃から道内を放浪しており、神事に関する知識においては、右に出る者がいなかったらしい。

それにしても前回の霊送りの儀式は彼が生まれるか生まれないか、というころなので、実際に司った経験はないと思われ、先達から聞いたことを頼りにやった(やるしかなかった)のかなあ。日川エカシの妻によると30代から50くらいまではお酒を呑んでばかりいた(奥さんが娘を連れて死のうとするほど生活が苦しかったらしい)そうで、儀式の際はさすがの厳粛な感じだけれど、時折見せる俗っぽい表情は、いろいろその人生を聞いて裏を取った上でまとめたくなる人だなあ、と思った。

あと、エカシの孫男子ふたりが儀式で踊るんだけれど、ふたりがこの映画の企画者・堤大司郎(この人も何だか面白そうなんだなあ)から「この踊りを受け継ぐのはどう?」としつこく聞かれて答えにくそうに答えているところが何とも胸に迫る印象(中学生の子ははっきり答えず、小学生の子はやりたくない、という)。

しかしずっと不思議だったのは、いったいどういうタイミングでこの儀式を行うのだろう?ということで、何か季節とか吉日とか育てている動物の年齢とか儀式を希求するコタンでの出来事なんかがあるのだろうか。調べてみたくなるし、北村監督の他のドキュメンタリーも何とか見れないものかなー(沖縄のやつとか)。

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