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目で見て口で言え「マクダバ・タリーク」

配信で劇団フェリーちゃん「マクダバ・タリーク」見ました。おそらくは中近東と思われる場所、大きく長い壁によって隔てられた二つの王国の物語。

カーラ・サータと呼ばれる大陸は、マクダバ(アラビア語で図書館)と呼ばれる巨大な壁によって、2つの王国に分断されていた。その片側、バナフサシュ・ハルク(すみれの野原)では、貧民街育ちのアルドゥという青年が、貝殻の精霊バルルの魔法の力で、奇跡的に王妃マリカと結婚し、王位を継承する運びとなっていた。
しかしその婚礼の儀に、壁の反対側サフサール・タル(やなぎの丘)の刺客が現れ、アルドゥの命を狙う。刺客もアルドゥと同じ、貝殻の精霊の力を用いるが、その力が完全ではないため一時的に撤退する。アルドゥは、現国王のラバーカから、刺客の討伐を命じられる。
刺客が持つ貝殻の精霊の情報を求めアルドゥは、マクダバの麓に暮らす、イルムという女性を訪ねる。マクダバには、それまでにその大陸で起きた出来事が全て刻み記されている。イルムはマクダバに、現在の出来事を刻み込む、記述者という役目を担っていた。精霊を呼び出すことが出来る貝殻も、マクダバの宝物庫で管理されており、アルドゥにバルルの貝殻を手渡したのはイルムであった。
イルムはアルドゥに、精霊はそれぞれの意味合いを持っており、それを否定しているものにだけ、本来この世にいないはずの精霊の姿を見て、使役することができるのだと伝える。イルムの持つ精霊マウジュの持つ意味合いは「波のいとなみ」。そしてアルドゥが持つバルルの意味合いは「海が産み出す摩訶不思議」。この世に奇跡なんて起きるわけがないと、アルドゥはそう考えていたのだ。

それはこの世にいないもの。だけど、貴方にみえてる、きこえてる。

貝殻の精霊というのは、その能力は「ジョジョ」のスタンドで、でも古くは「うしろの百太郎」の背後霊、「シャーマンキング」の持ち霊のようなものにより近いのではないかしらん。ふたつの王国の王族の人々の混み入った関係というか確執というか、そのあたりのことより、壁に刻まれ続ける歴史という設定には非常にそそられました。それと、見ながらふっと思ったのは、

たとえば「バナフサク・サルシュ」という異国風の響きでいい、同じ口で「すみれの野原」とその意味するところを日本語でいう、これってどういうことだろう、その言葉が普通に語られる場所ではバナフサク・サルシュだけで通じるのにあえてそれが他の言葉(それは誰が使っている言葉?)でこんな意味なのよ、と説明することは「日本語が使われていない世界」を日本語を使って描くフィクションでは普通の(というか、まあこういう方法しきゃないよね)手法なんでしょうけど、よく考えると不思議だし、あーでもないこーでもない、と考えを巡らせることは面白いなあ、

ということでした。わかりにくい話ですよね。実はワタクシにもホントのところあまりよくわかっておりません。でもこういうことを考えるのは好きです。

渦の精霊を演じた橋本我矛威さん、今まで拝見した役どころとは違って、人間のようなそうではないような、不思議な存在を熱演されてました。

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