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旧広島陸軍被服支廠倉庫における「安全対策」は最優先です

 私達は、旧広島陸軍被服支廠倉庫(以下、被服支廠)について、全棟保存を訴えています。しかし、全棟保存を考えることは、耐震工事を含めた安全対策を疎かにすることではありません。私達は、(無理難題に聞こえるかもしれませんが)「安全対策」を急ぎ、かつ被服支廠が残り続ける道があると信じています。本件に関わるみなさんと、この難題を解決したい。みなさんと一緒に取り組みたい。今後より一層、一緒に知恵を出し合い対話を重ねていきましょう。

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 2019年12月2日、広島県は被服支廠について、耐震強度が不十分であり維持管理のための財源が確保できないという理由から、全4棟の内、県の管理する3棟について1棟のみを残して残りの2棟を解体する方針をまとめました。また、国が管理する1棟も解体を視野に入れた検討がされていると報じられました。突然に解体の方針が提示されたことを受け、広島県民や被爆者からは保存を求める声が上がっています。地域メディアだけでなく全国紙やBBC、CNN、AFP通信等でも報道され、国内外の人々の関心の高さが示される形となりました。広島県は2020年1月16日までパブリックコメントを募集し、結果として異例の数である2232通(速報として1月17日の総務委員会に提出された資料より)以上が集まりました。広島県は集まった意見を参考に議論を進めていくと表明しています。

 2020年1月27日、来年度の解体事業の着手を見送る方針が主要メディアより報道されました。広島県と国には、この度生まれた限られた時間の中で、市民や有権者の意見を取り入れた議論を展開することを期待しています。歴史ある建物を残すことは、広島県民のみならず国内外の人が多くを学びうる未来を残すということです。改めて、解体・保全・活用について考えを深め、方向性を見定め、実りある議論の場をつくっていきたいものです。

 しかし一方で、被服支廠は老朽化が激しく、震度6強以上の地震で倒壊又は崩壊する危険性が高いとされています。解体事業を見送ることで「安全対策」についても先延ばしになるのではと危惧する声も上がっています。地震はいつ発生するか分かりません。この度の議論の加速に繋がった、大阪府北部地震におけるブロック塀倒壊の事故のような悲劇を再び生んではいけません。地域住民の安全確保は最優先されて然るべきです。

 広島県と国には全棟保存を視野に入れた上で「安全対策」を検討していただくことを望みます。解体を含めた議論は結論を出すまでに時間がかかります。その間、私達は「安全対策」が滞ることのないようにと主張し、保存・活用に向けた議論もできるだけ多くの方々と一緒に進めていきたいと考えています。

本件に関わるすべてのみなさんに心からの敬意を表して

2020年2月2日
旧広島陸軍被服支廠倉庫の保存・活用キャンペーン一同

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