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エドワード・ヴァン・ヘイレンが逝ってしまった。

昨日の夕方、仕事を終えて車に乗り込む時になんとなくヴァンヘイレンが聴きたくなって「Best of Volume 1」をCDプレイヤーにセットした。

このアルバムはヴォーカルがデイヴィッド・リー・ロス時代の曲が半分、残りの半分がサミー・ヘイガー時代の曲、ヴァンヘイレンが発表したアルバムには収められていない3曲で構成されているベストアルバムで、ヴァンヘイレンのアルバムは全て聴き込んでいる僕にとっては、この3曲が聞きたいためだけに買ったアルバムだ。

ちょうどデイヴの「Panama」を聞き終えたぐらいで家に到着した。

いつものとおり晩酌をして食事をとって寝て、今朝会社に向かうために車を走らせていたら、入れっぱなしのCDからサミー加入後の1stシングルである「Why can't this be love?」が流れてきた。

そのタイミングで立て続けにLINEにメッセージが届いた。

一通目は妹からで二通目が高校時代の彼女、三通目はこれも高校時代から30年以上つながっている大切な友達からだった。

僕はこうしてエディの訃報を知ることになったのだ。

喉頭がんが全身に転移したらしい。以前から舌がんを患っていることは知っていたけれど、完治したんだと思っていた。まさかまだがんで闘病しているとは思っていなかった。

高校時代の僕はとにかくエディに夢中で、その頃のことをよく知っている3人から真っ先にメッセージをもらったのにはちょっと笑ってしまった。

自分ではよく覚えていないけれど、間違いなくこの3人にはエディの凄さや素晴らしさを語りまくっていたんだと思う。

僕にとって、会って話をしたこともない人にこんなに大きな影響を受けたのは、エディだけだ。

もし彼がいなかったら、僕は青春時代のほとんどをバンド活動に費やしていなかっただろう。

中学生の時に、お祖母ちゃんが亡くなった遺産で買ってもらった高価なグレコのストラトキャスターのピックガードを開けて、バンド仲間と彫刻刀でリアピックアップの部分を削って無理やりハムバッキングをボディ直付けで搭載するなんてこともしてなかったし、せっかくのミドルとフロントピックアップの配線を外したりもしてなかっただろう。

真空管のギターアンプを買って、ミドルトーンを厚めにして、フランジャーを効かせたサウンドメイクで、デカい音でギターを弾くこともなかったかもしれない。

彼がロックギター界に起こした革命やそのテクニックなどは語り尽くされている感じもするから、僕がここで書いてもそれ以上の文章にはならないけれど、彼の作り出すサウンドはいつもオンリーワンだった。

聴いた瞬間に「エディのギターだ」ってわかるギタリストだった。

ギターテクニックの部分が紹介されることがとても多いけれど、エディのギターソロは決して長くない。スーパーギタリストは往々にして長いギターソロを弾いたり、やもすると曲とギターソロが別のコードだったりすることもあるけれど、エディのソロはいつもキチンと曲に溶け込んでいるし、ソロも含めてひとつの作品になっている。

しかしエディの魅力はそのギターテクニックだけではない。無数に残されている彼の写真を見て欲しいのだけれど、そのほとんどは笑っているはずだ。ステージで、ものすごく難しいフレーズを弾いているときですらニコニコと笑っているのだ。

音楽という字のごとく、心から音を楽しんでいたミュージシャンだったんだと思う。

自分も楽しんでいるから僕たちもヴァンヘイレンの作品を聴くとハッピーになるんだ。

なんとなく気分が晴れなかったり、面倒なことが起こったりしたときには、いつも「Dance the night away」を聴くことにしている。暗い気分が一発でどうでもよくなる僕の精神的な特効薬でもある。

エディは間違いなく僕のたったひとりの憧れのスーパースターだった。

彼の残した作品はもう40年近く聴き続けているけれど、これから僕が死ぬまでまだまだ聴き続けるだろう。

昨日なんとなくヴァンヘイレンが聴きたくなったのは、僕みたいなファンのために、エディが最後にサインをくれたんじゃないかと思う。

そう信じて、この喪失感をごまかそう。

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