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タイヤ交換の光と影

2005年5月にいまのクルマを購入。購入先はトヨタのショップだった。そこは比較的よく通る道に面していて気になっていたショップだった。偶然に担当をしてくれた販売員がよかった。彼のクルマに対する情熱は相当のものだった。とにかくよく知っている。なんでも教えてくれてアフターフォローも万全だった。わたしがそんな販売員に要求したのはひとつだけだった。

静かな空間を提供してくれるクルマがほしい。

そこで勧めてくれたのがクラウンだった。トヨタが提供する最高峰の部類に入る。これを一度乗ってしまうとなかなか他のクルマには乗れない。それはそのとおりでよくできている。乗れば乗るほど味わいのあるクルマともいえる。

ところがしばらくしてこんなことに気づいた。燃費がとてもよくない。当時、ハイオクガソリンをいれて定期的に燃費を計算していた。買ったときについていたのは横浜ゴムのタイヤだった。6キロくらいしか出なかった。ハイオクはリッター160円くらいしてこれでリッター6となるとちょっとガソリン代が高い。どうしたらいいか。そこで近くにあるタイヤ専門店に相談をしに行った。専門店はタイヤ館という。

静かでいいクルマなんですけど、ちょっと燃費がよくなくて相談しに来ました。なにかタイヤはないでしょうか。そこで勧めてくれたのがブリヂストンのレグノだった。レグノってなんだろう。ブリヂストン社の中で一番高いタイヤである。15年前の2009年のことだった。

販売員がいいと進めるので思い切って買った。4本で10万円だった。わたしはタイヤのことはあまり知らずにまあこれでだめなら燃費はあきらめるかくらいに考えていた。

しばらく乗ってみると驚いたことがあった。このレグノというタイヤは極めて優れたタイヤである。一度レグノを使用するとほかのタイヤには替えられない。

常磐道や関越道を走ってみた。するとどうだろう。静かだ。100キロまでほとんどぶれない。まるで100キロを出していないかのような静けさであった。となりに女房がいて、うしろには長男がなにやら話していた。そこで気づいたのは高速で100キロであっても車内が振動がなく静かであるということだった。これにはびっくりした。ゴーっという音がしない。

もともと静かなクルマがさらに静かになった。さて燃費はどうか。わたしはタイヤ館のひとに相談をした。3か月に一度、窒素ガスの点検に来てください。5千キロごとにローテーションをしましょう。そのとおりにした。

すると燃費の改善につながった。リッター10キロを達成した。このクラウン2.5で10キロというのは悪くない。長距離を乗れば11キロは出て、夏場で長距離乗ると12キロくらい出たときあった。クラウンでリッター12というのは驚異的な数字だった。

タイヤでこれほど変わるのか。あとで調べてみるとこのレグノというのはタイヤの中でもコンフォート・タイヤといって乗り心地がいいものとして知られている。ところが難点が一つだけあった。柔らかいため耐久性がなく、長持ちしないことだった。3年くらいするとサイド面にひび割れが生じることだった。

3年で交換というのはちょっと早すぎる。そこでタイヤ館のひとに相談した。ひび割れって大丈夫でしょうか。まあ、ひびが入っていても3万キロは乗れます。そのとおりであって距離をそれほど乗らないわたしにとってはありがたいアドバイスだった。そこで3万キロ乗ったところでまた同じところで新品交換して乗っていた。3万に達するまでには7年かかった。7年目で新品交換したのである。

静けさ、燃費ともに問題はなかった。また6~7年経過して3万キロ以上乗ったところで新品交換をしよう。そのつもりで同じショップでレグノを買おうとした。ところがレグノは4本で13万円するという。これが見積だった。さすがに高すぎる。もう少しぎりぎりまで待ってみよう。そのつもりでいた。

2年前の車検で整備工場からタイヤの状態について指摘があった。このままだと車検に通りません。どこかで交換してきてください。そして別のタイヤ館で見積もりをしてもらった。すると価格はさらにあがって4本で17万円にまでなってしまった。これは負担できない。しかし車検が通らないのなら交換するしかないではないか。

しかしタイヤのことはよくわからない。整備工場にまかせるしかないか。そこで工場の推薦するレグノに近い価格を抑えたタイヤを買うことにした。4本で9万円だった。燃費はレグノほどではないけれどもまあまあ静かなタイヤだった。横浜ゴムのレアアースという。

ところが後でわかったことがあった。ひび割れがあってもタイヤの溝があれば車検は通るとのことだった。ブリヂストンのコールセンターによるとタイヤの骨格部分で合格していれば車検にひっかかることはないという。残り溝は4本いずれも良好という点検結果があった。なので整備工場に一杯食わされた。

タイヤというのは難しい。初期投資は高くつくことがある。レグノ4本であれば17万円はする。しかし静けさと燃費は保証される。ところがそれに匹敵するタイヤというものはない。半額くらいであると燃費が悪くなるのである。

さて読者の皆さんはクルマに何を求めますか。クルマはタイヤ次第ということもいえましょう。静けさでしょうか。燃費でしょうか。高いというのはそれなりのパフォーマンスを出してくれます。わたしのタイヤとのお付き合いはこのような光と影の繰り返しでした。