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モチベーションがあがらない人へ

コロナ過になって2年間。その間、人と何かをするには、オンラインでするようになった。年齢は問わず、性別は問わず、国籍も問わず。国籍というのは、言い過ぎであっても、アメリカ人やアメリカに住む日本人の方とも話す。その中で日本国籍であり、特に首都圏にいる比較的若い年齢層、Y世代(25~40歳)とZ世代(10~24歳)の後半のひとたちからこんなことを聞いた。それに対してだれも違和感を持っていない。

モチベーションがあがらない。

それをはじめて聞いたのは今から10年くらい前であった。しかも、それを発したひとは、かなりの高学歴で仕事や家庭を持ち、将来が有望視されているひとであった。わたしもそのひとと同じようなところで働き、同じような教育を受けてきた。そんなこともあり、それを聞いたときはちょっとびっくりした。なぜなのと聞くと、その人は肩を落としてこういった。

ロールモデルがいない。

確かに歴代の偉人のようなひとは近くにはいない。さがしてもどこか悪いことをしている。新聞で報道されている。せっかくりっぱな学歴を持ち、有名どころに長く勤務をして、財産を築いていたとしても、どこか信用できない。完全なひとなどいないとしても、あまりにも期待からはずれている。期待はずれが周りに多いこともあってか、どうもそういうひとになりたくはない。そういうひとには認められてもうれしくない。

どこかやる気が起きない。

ここでは、若い世代のひとたちがやる気が起きない理由について書きます。そしてわたしなりの経験や工夫をとおして、どうしたらやる気が起きるのか、起きないまでも落ちていくスピードを緩めることできるのかについて書きます。

理由は、3つあります。ひとつめは、がんばっても給料があがらない。安い給料ではモチベーションがあがらないというものです。

確かに給料は高いほうがよい。一流の大学を卒業して、そこでいい成績を残し、有名な企業に就職はできた。ところが期待していたほど給料をもらうことができない。職場ではがんばっているのに毎月25日に入ってくるのはほんのわずか。どうしたらいまの職場で多くの収入を得ることができるのだろう。どうも期待できない。こういったものです。そういう方が結構いるのではないか。

大学を卒業し、あるいは、大学院を卒業して、経営コンサルティングの仕事をするようになれば、30歳くらいで1千万以上はもらえます。中小企業であれば、4百万円くらいのところもありましょう。

ただ、わたしの経験でいえば、収入をモチベーションの土台にしてしまうほど間違った選択はありません。平均よりもかなり低いということあればいたしかたないにしても高い人がモチベーションが高いとはいえないのです。むしろその逆で、それを長く続けていると弊害も出てきます。

二つ目は、職位があがらないというものです。3,4年がんばっているのに何も変わらない。部下もいないし、助けてくれるアシスタントもいないということがありえます。30歳くらいでマネージャーになったにもかかわらず、実際はプレイング・マネージャーでなんでもひとりでやらなければならない。部下のいないマネージャー(課長)というのは仕事が多く、疲れるだけではないかというものです。

これも部下の数、後輩の数をモチベーションの指標にしています。この昇進をしないから部下が少ない、そういうことによってモチベーションがあがらないという人がいるのではないでしょうか。これも間違った指標を土台にしているが故にモチベーションがあがらないのです。それどころかこの指標をよりどころにしていると必ず弊害が出ます。

そして三つ目は、認められたい。チヤホヤされたい。さらには、モテたいといった願望に根差していることがあります。ひとは褒められることを好みます。間違ったことを指摘されたくない。中身はどうであれ、外見をなんとかすればひとは認めてくれるだろう。そうすることで認められれば、モチベーションがあがっていくだろう。

これも間違った指標を土台にしており、モチベーションはあがりません。むしろこれら3つはいますぐ捨てたほうが良い。

そしていま全くモチベーションが上がらない人に向けて日常にちょっとした工夫を加えるだけでひょっとしたら上向くかもしれない方法を提示します。それは、以下のようなことです。

一つ目は、動くことです。簡単に始められるのは歩くこと。ランニングシューズを買って、ウェアをそろえて皇居の周りを週末に走る。そういうことをいきなりはじめる必要はないでしょう。ただ、家の周りを歩いてみましょう。いつも歩くのとは違う方向に向かって歩き、どのように見えるかを観察してみましょう。

二つ目は、どんなに忙しくても最低1時間は書籍を読むということです。大学生であれば、どんなに疲れていても最低1時間は教科書を読む、図書館にいって勉強をする。社会人であれば、ビジネスの本を読む、オンラインの読書会に参加する。そして参加して質問をする。感想をこのnoteで発表をする。そんなことからはじめるといいでしょう。

三つめは、自分の得意なことを見つけて続ける。これは、好きなことではありません。好きなこととすれば、ほとんどが娯楽性、快楽性の高いほうに流れていきます。好きな映画ばかりを見て、俳優について考えるようになる。スポーツ選手のようなかっこいい人たちを真似る。あるいは、気軽に笑えるお笑い芸人の番組を見る。そんなことに明け暮れるようになります。

ひとはなにか得意なことが必ずひとつはあります。それはどういうことかというとほかの人は嫌で嫌でしょうがないのに、なぜか自分はなにも苦にすることがなくやれてしまう。そういうものです。休日に何時間でも絵を描くことを苦にしないひとがいます。山が好きでしかたなく、いくつも山登りをする。あるいは、日本全国のお城巡りをする。

これらは、ひとの根本的な欲求に根差した良質な活動です。それを長く続けていると、おそらく10年単位で、やってくる成果というものがあります。

それらは、小さな成功体験をもたらします。この小さな、自分にしか体験していない、良質なものを積み重ねていくとそれが自信になり、世俗的なものに固執しなくなり、モチベーションを比較的高く、長く持ち続けることができます。

わたしは企業勤務25年、大学で10年講義した中でいろいろなひとを見てきました。その中でモチベーションを高く、長く保ち、成功をしてきたひとたちを観察・ヒアリングをしたことがあります。その結果、必ずひとつの共通することが返ってきました。

それは、モチベーションを下げず、いつまでも高く、長く保つコツは、小さな成功体験(自分だけの)を積み重さねるいうことです。それを続ける限りモチベーションは落ちません。日常生活の中に体系的に継続学習を組み込む。身体、精神、経済、そして知識を少しづつ高める方法を習慣として持っている人はくずれない。

逆になぜあれほどの才能がありと努力をしている人がモチベーションが低いと不思議になります。

なにより間違った指標を頭に刻み込まない。必要以上にお金、地位、有名といったものに固執をする。それがどれほどの弊害をもたらすかについて何度も聞いています。これは決して宗教のようなものではありません。極めて現実的なものともいえます。

ふつふつとわきあがるやる気に満ちた日が送れますように。