社会人大学院のお話ーその①ー

29歳,30歳になってしまう!

 過去の話をするのはあまり好きではない。いい思い出より悪い思い出の方が多いから。でもちょっとだけ振り返ろうと思うのは、2020年に漸く紆余曲折の中、博士号を取得して、社会人になってからの大学院への進学が人生の転機にもなっているのも事実である。自分の体験が社会人大学院へ進む人にもヒントになるだろうし、僕自身のキャリアの棚卸にはならないか。すべて美しい「過去」ではないし、当時描いた「現在」でもない。人生に正解がないから、面白い。とするなら、その「面白さ」は、自分にしかない「人生」であり、他人の人生ではない。参考になることやならないこと、自分の「基準」で生きたまでであって、その「基準」は僕自身の「評価」。その都度都度、考え悩み進んできたこと。この振り返りもまた大切な営みかもしれない。コロナという未曽有の出来事が「時間」を僕に与えた。綴れる範囲でペンを進めるとしよう。

社会人大学院へ行ってみよう!

 社会人が大学院へというのはブームだったと記憶する。遡ると、2005年。だいぶ昔の話になる。会計事務所に入ってから、数年経過していた。少しずつ会計や税務の知識もついてきて、一皮向けたいと思う時期だった。ただ親が税理士で、実家の稼業でもあったが、税理士という仕事には魅力は感じてなく(これは今もそうだが)、何か新しいことをやりたい、否、やりたいというより違う分野の進出というのも視野に、「大学院」にいくことで、違う自分になれる。変身だ。変身?仮面ライダーじゃあるまいし・・・。でも、「何か」あるんじゃないかと思い、暗中模索。インターネットで、本屋で、調べることになる。まずは本屋だったと思うけど、社会人大学院のガイドブックを買った。本好きなので、本屋はよく行っていた。今のように、アマゾンや楽天などインターネットで本を買うことはあまりしていなかった。情報の宝庫だ。立ち読みもしたけど、やっぱり手元にあった方がいい。昔から本は迷ったら購入と言われてことがあるが、ほんとそうだと思う。背表紙を見るだけで内容が蘇ることもある。そのまま読まずにおいてある本もある。本好きな人はそういう経験したことないだろうか。

調べて見るか、新天地

 広島在住、引っ越すわけにはいかない。そんな前提の中で探すことになった。まずは社会人大学院のガイドブック。当時は法科大学院や会計大学院、あるいはMBAなど、社会人が大学へ行く。大学院に行くと言えども、片足は学生生活、片足は社会人ながら、大学のキャンパスに戻るわけだ。様々な期待感も持ち合わせ、心が躍る。当時、忘れもしない。その本には予備校講師の米谷達也氏が法科大学院へ進んだことが書かれてあった。「チャンピオンベルトの理論」。本人の本位と少し異なるようだが、言葉があまりにも衝撃的だった。「僕はこれまで『東大卒』というチャンピオンベルトを締めてきたけど、そろそろ耐用年数が過ぎ、擦り切れてきた。だから今度は『司法』という新しいベルトを手に入れたかったんです」というもの。人が新しいステージに立とうとするとき、分岐点があるということをまざまざと知る。大学院一つでそうそう変わるのか。将来を約束するのか。その約束手形に人生を賭けるのか。錯綜する自分の頭によぎる。でも、大学院には一皮むけるチャンスがあるかもしれない。29歳と30歳という数字の呪縛は大きいものであった。

どこへ進むのか、俺の船

 正直、広島の大学院には魅力を感じなかった。働きながらという条件から千田町で開講している広島大学(いろいろあって後にここも通い、修了はしたが・・・)くらいのもので、夜間と週末開講の中で卒業と考えると、選択肢はなかった。普通なら、そのまま広島大学大学院を考えるであろうが、僕は福岡から大阪までなら通えるのではないかと考える。真っ先に思い浮かんだ大学は、神戸大学のMBAである。MBAの世界では、東の一橋、慶應、西の神戸と言われていた(いる?)が、定評のある社会人大学院であった。中身の魅力的で何とか通えるのではないかとも思っていた。六甲の夜景を見る。こういう生活も悪くないと思ってもいたが、さすがにレベルが違う。当時は経営系の学力はほぼないに等しいくらい。文学部出の僕には、こうした素養はないに等しかった。多少の実務経験はあるにせよ、東京から神戸へ通うような強者がいるような大学なんてさすがに進めなかった。
次に選択肢に上がったのは、TAC会計大学院。東京と大阪に開講予定に大学院大学で、資格の学校が大学院を作る。当時、斎藤博明社長が説明会で講演されたが、意気込みが素晴らしい。大学院のことは書いていないが、読んでみるといい。「ビジネスの論理」という本。閑話休題。よし、ここに行こう。本格化したスタートだ!新天地はここ、大阪だ。こう決めたのが秋だったと思う。 ・・・・・その②に続く(次回はいつになるのやら・・・、長い目で見てくださいね!)


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