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資本逃避 マクロード

By Darrl Mcleod, Capital Flight
Cited from Econlib.com

(Darryl McLeodは、ニューヨークにあるFordham Universityの経済学教授)
 資本逃避の広く受け入れられている定義は存在しない。この言葉の古典的な使い方は、通貨投機の広がりを描く時に使うというもので、とくに私的資本の国境を越えた動きが、その国の金融市場に影響するに十分な大きさであるときに使う。「逃避flight」と通常の資本流出outflowとの違いは、程度の差であって、銀行取付bank runと通常の(預金)引き出しとの違いとよく似ている。資本逃避のよくある原因は、本国通貨の予測される価値切り下げである。一晩で20%あるいは30%その価値が下がる資産を持ち続けたいと思う人はどこにもいないので、誰もが金あるいは外国通貨を買おうとする。こうした出来事は通常は短期的で、価値切り下げのあと、いわゆるhot moneyが戻ってくる。
 資本逃避は通常は金融恐慌の原因というより兆候symptomである。価値切り下げの予測は、自己完結的となる。中央銀行準備の枯渇とともに、中央銀行は価値切り下げを迫られる。このような場合、資本逃避は金融不安定の要因sourceになる。(それは)心配症の預金者による引き出しが、さもなければ健全な銀行を倒産させるのと似ている。
 資本逃避という出来事が、為替相場が不安定であるときに、もっとも頻繁であることは驚くべきことではない。1920年代と1930年代、金本位制の消滅はフランスフランとドイツマルクへの夥しい投機的攻撃をもたらした。ブレトンウッズの固定為替相場制が崩れ始めた1960年代、合衆国は、資本統制によりドルを守ろうとし、外国銀行によるドルを金に交換する要求を拒んだのである。(米国民はすでに(交換による)金保有を禁ぜられていた。)1973年に為替相場が自由化されると、合衆国のドルは金に代わり、選択された逃避手段flight vehicleになった。ほとんどの通貨と交換できるドルは、offshoreやEurodollarの勘定で利子を稼ぐのに適切だった。
 1980年代の第三世界の債務危機以来、資本逃避という言葉は、途上国の住民の資本流出により広く使われるようになった。(その)一つの理由は、債務国で国内投資家は、彼らの政府は、国内の債務支払いより外国への債務支払いを重視するだろうと考えるからである。この状況は、直接海外投資家の初期の経験として、国内保有の資産の方が外国所有の資産に比べて収奪からより安全だと考えられていたことと、対比的である。
 (以下略)


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