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資金外逃 中国経済用語

 英語でcapital flight 日本語で資本逃避、中国語で資金外逃(ツーチン・ワイタオ)など。典型的な手法は、租税回避地(避税天堂ピーシュイテエンタン)へのオフォショアカンパニー(離岸公司リーアンコンス)の設立である。
 事業や貿易を通じて、オフォショアカンパニーに利益を集めることで、租税回避を図ることができる。
  ところで中国に関しては不法な資金移動の8割以上は、輸出入における虚偽報告のルートを利用しているとされている。たとえば輸出契約額2000万米ドルの商品を政府には輸出額1500万米ドルとして届け出る。相手からは1500万ドルを受け取り、残額500万ドルは海外の指定口座に送金させる。輸入契約額1500万ドルの商品について、政府には1600万ドルとして届け出る。そして実際に1600万ドルを送金し、差額の100万ドルは海外の指定口座に送金させる(劉民濤《中國官民暴富》財大出版社2013年p.206)。相手方との共謀さえあれば、これらの国外資金逃避を合法的にできることが理解できる。
 なお現金の移動については、ハワラhawara(哈瓦拉) 取引と呼ばれる、地下銀行的な送金システムの存在も知られている。銀行を介さず、暗証を用いることと間に入る人々の信用でかなり大きなお金が国際的に移動されている。またそもそも税関に気づかれることなくチャーター機で送金するサービスも存在するとのこと(同前pp.205-206)。
   このような資本逃避の理由はなにか。冒頭述べたように租税回避は一つの理由である。
 また資本というものが、利益の高い所に移動するものだということからは、より利益のたかいところに移動している、とくに民間資本の場合は、より公平な競争条件のところに移動している面もある。また将来の政治的な変化からの課税強化、没収などのリスクを避けようとする意図もあるだろう(同前pp.208-210)。

#資本逃避 #capital flight 


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