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魯迅 阿Q正伝 1921

 魯迅の「阿Q正伝」を久しぶりに読んだ。このお話にはいくつかのポイントがある。一つは精神勝利法というもの。ボロボロに負けたって、考え方で勝利して意気揚々になるというもの。
    打完之後,便心平氣和起來,幾乎打的是自己,別打的是別一個自己,不久也仿佛是自己打了別個一般ー心滿意足的得勝的躺下了。

   この精神勝利法は阿Qをからかっているようであり、中国が遅れた状態から抜けだせなかった原因を探っているようでもある。
 もう一つは阿Qがどこまでも、救われないみじめな存在で、最後は被らなくていい罪を背負って銃殺されている。その救われない姿を描くことで、魯迅は一体何を言おうとしたのか。阿Qが魯迅でないことは確かだが、ではこれは誰なのか?ここで銃殺されたのは、いったい誰なのだろう。 
    他意思之間,幾乎覺得人生天地間,大約本來有時也未免要殺頭的。

 最後は、この話は直近の革命(辛亥革命)を評価しているのではないか、ということだ。また民衆から見た「革命」がどう見えたか、を描いているようにも見える。だって革命党が登場し、其れに便乗した盗賊が現れる。
 知道革命党虽然進了城,倒還而沒有什麽大異樣。

   末尾の日付は1921年12月。魯迅を読む人が減っているという。確かに明るくはないし、読むには少し魯迅を読もう、という気力も必要かもしれない。魯迅『中日文対照 阿Q正伝』中国文学出版社2000年。
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