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新国立競技場/三井ガーデンH神宮外苑

 オリンピックも終わり、1569億円かかったとされる新国立競技場については、無観客であれば建設そのものがそもそも「無駄」ではなかったかという声が残る。運営費をねん出するために、コンサート会場などに貸し出すとのことだが、コロナ問題も依然くすぶるなか、収容定員(収容定員は68000人。アリーナ部分に20000人の席を設けることが可能。アリーナとはスタンド=階段状観客席に囲まれた競技場部分のこと。)を前提にした採算はそもそも成り立たないのではないか。コロナや感染症を考えると、ここに7万~8万の人流を日常的に起こすことは、社会としてそもそも正しいことなのか?という疑問があるからだ。だとするとこの巨大競技場は収容定員の規模では今後も活用できないのではないか?すでに競技場周辺は雑草が茂り始めており、この競技場の将来に不安を感じさせる。
 関係しているのが、屋根を開閉式にしなかった問題。開閉式にした場合の建設費、維持費の高さが嫌われたが、開閉式にすることで施設の運用効率はあがり、より柔軟な施設運用が可能になるはずだったという議論が依然くすぶる。問題はいずれにせよ、施設の規模から維持コストがそもそも高く、この規模を前提したイベントは開催の数自体が限られ、採算が最初から困難だったことにあるのだろう。それを考えると、収容定員を増やすための補修工事は、そもそも欺瞞的かもしれない。
 設計は隈研吾(都区内の隈研吾設計には、サントリー美術館や根津美術館などが知られる)。隈の設計は尖ったところがなく周囲との調和が優先されている。他者との競合を避ける日本を象徴した設計にも思える。他面、千駄ヶ谷からみると、建築場所が完全な平地ではなく丘陵地であり、屋根を含め実は大変巨大で複雑な構造物であることも理解したい。
 私自身は、競技場前の「三井ガーデンホテル神宮外苑」のしゃれた建築の方に目がいった。こちらは2020年度グッドデザイン賞受賞。杉をふんだんにつかった、曲線の設計がセンスを感じさせる。 
 この競技場を訪れるには都営地下鉄の駅が目の前だが、JRの千駄ヶ谷、信濃町からもそれほど離れているわけではない。アクセスとしては千駄ヶ谷からを推奨したい。

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