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胡耀邦「中国にとり未来の銀のスプーンは何か」1986年6月11日

认识中国未来动向的银匙(1986年6月11日)载《胡耀邦文选》人民出版社2015年11月pp.646-651 英国の王室国際問題研究所での講演記録。

p.646  今日は皆さまのこの国際的な名誉と権威を享有されている国際問題研究機構を訪れることができ、傑出した国際問題の専門家そして学者の皆様と会見できますことを大変光栄に又嬉しく存じます。
 (中略)私は皆さまに、本世紀から次の世紀までの中国の基本国策を二つの言葉にまとめることが出来ると、お伝えしたく思います。一つは改革開放政策を用いて中国経済の持続安定発展を促進することです。二つは独立自主の平和外交政策を用いて、建設に専心し中断しないことです。これらの路線を堅持すること、これは中国の未来動向の銀のスプーンの認識をしっかりつかむことです。それでは、銀のスプーンを用いて中国認識の大扉を開くために、四つの問題をお話ししたいと思います。
p.647   第一の問題は、中国の改革と開放に関するものです。我々は曲がった道を一旦歩んだ後に気が付いたのです。新たな社会制度が確立したあと、我々の最も根本的任務は社会生産力を発展させ、人民の物質文化生活を少しずつ改善することだと。国民経済が安定的発展を持続するためには、対外開放せねばならず、過度に集中的で行政方法で経済を管理するミイラ化した体制は改革せねばならず、公有制を基礎として計画がある社会主義商品経済を発展させねばならないと。(中略)この数年間、国民経済は全面的に迅速、安定的に成長し、人民の物質文化生活は明らかに改善しました。これらのことは改革開放がすでに初歩的成果を得たことを示しています。人民はこのことに満足しています。
 国外にはかつて我々の開放改革に賛成しない人がいて、我々の方針は「異端邪説」であるとか「誤った道を歩む(离经叛道)」危険があると疑いました。近年はこの種の疑いは減り、別の見方が現れました。一部の人は我々の改革開放が西欧社会のモデルに接近すること、最終的に西欧社会に倣うことを期待(希望)しました。(中略)
 現在人々はますますはっきりわかってきました(看到),開放が中国をして「邪道」を歩ませるものではなく、
p.648     改革はただ中国の社会主義制度を不断に完成するだけだということを。ゆらぐことなく改革と対外開放を実行し、工作の失敗を減らす努力をし、何世代か倦まずに奮闘を堅持し、中国に高度文明、高度民主的で現代化された社会主義国家を建設することは、我々の動揺することなき基本国策なのです。
 第二の問題は、中国の対外政策に関するものです。友人の間で、中国が順守する(奉行的)独立自主の平和外交政策の基本点はなにか?この政策は長期にわたり堅持できるものか?
 中国の外交政策の主要内容は、少し前に開かれた六届人大四次会議での政府工作報告の中ですでに十項目にまとめられています。簡略に言うなら、この十項の内容は三つの基本点にまとめられます。一つは世界平和と安定の助けになることを中国はすべて支持し、覇権主義の行為は、いかなる理由、いかなる形式にせよ、すべてに反対するということです。二つは、中国はどの超大国にも頼らないし、いずれとも同盟しないし、和平共存五原則に基づいて世界各国と友好関係を発展させることを望むということです。三つは、中国は断固、第三世界の国家の側に立って、公平(公道)と正義を広げるということです。
 (中略)
p.649   第三の問題は、国防と建設の関係についてです。経済建設をするには大量の投資が必要です。軍事実力を拡充するにはさらに経費を増加することが必要です。この両者は矛盾しています。二つともを重視することはできません。率直に皆さんにお話しします。我々は現代化経済の建設を進めていますが、もともと資金が不足しています。大量の資金を出して軍を拡充することは事実上不可能です。我々はただ経済建設に力量を注げるだけで、人民生活を少しずつ改善し、この基礎の上で少しずつ自己の防御力量を増強できます。これが我々が長年深く熟考して出しえた結論です。我々は軍備競争に参加しないことを決めていますし、軍備競争に反対します。とくに核軍備競争に反対しますし、とくに核兵器(武器)、化学及び生物兵器(武器)、宇宙兵器(太空武器)の全面禁止、徹底廃棄、併せて通常軍備の大量削減を主張します。
  (中略)
p.650  第四の問題は、中国の基本国策は改変されうるかどうか。私が皆さんに我々の基本国策を紹介しましたが、次のように聞く人もいるでしょう。誰があなたたちの基本国策今後数十年長期にわたり堅持されると保証できるでしょうかと。たしかにこれは中国の未来の発展方向に関係する重大問題ですし、我々がこの数年間ずっと解決に努めてきた問題です。私は自信を持って皆さんにお話ししますが、中国の基本国策には深く又太い根があり、強大な生命力があります。主要な原因は四つあります。
 ―現行の方針政策はすでに広大な人民群衆に巨大な利益とメリット(好処)をもたらしており、そのため全国いたるところで絶対多数の人民の擁護と支持を受けています。すでに根の束が群衆の中にあって群衆がしっかりそれを握っているところです。だれであれ、民意に簡単に背反すること、これらの政策を根本放棄することは不可能です。(中略)
 ー現在中国で実行されている一組の重大政策は、実践経験の真剣な総括によるものであり、広範に各方面の意見を求めたものです。各民主党派を含め、無党派そして各界の人々が相談して、共同して作り出したものです。確かに年老いた指導者が
p.651    かじ取りをしています(訳注 鄧小平を示唆する発言)。しかし我々の政策はだれか個人が決定しているのではありません。集団の知恵の結晶なのです。
 -我々は社会主義民主を継続発展をさらに決心し、それを制度化、法律化し、人民群衆の主人公意識(精神)を発揚し、彼らが、政治、経済、文化、そして社会の各方面の生活の中で民主権利と有効な監督を確保しようとしています。このようにすることで我々の一組の正確な方針政策は、社会主義民主と法制の軌道上に存在することになり、持続安定的に貫徹実施されるのです。
 -数年来、中央から地方まで、各クラスの指導者の若返り工作はすでに喜ばしい成果を上げています。批判精神にあふれた、実務的才能と創業精神あふれた若い人が指導職位についています。これは我々の事業が生気にあふれていることと政策の継続性にとって、十分に重要な意義があります。
 以上の四つは道理もあり疑うところもなく、我々の基本国策は指導者が変わっても変わらないとする理由です。中国は今日進んでいる正確な方向に沿って、21世紀も歩むことでしょう。
 (以下略)


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