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遇羅克的出身論 1967

遇羅克的出身論   原載《中學文革報》第1期1967年1月18日  轉載《共產黨宣言》2014年3月8日

陳挂德《遇羅克:紅色中國爭人權先驅-紀念遇羅克殉難46周年》載《縱覽中國》2016年3月5日

 遇罗克(ユラク 1942-1970)は学徒工員だとされ「出身論」を公にして、つまり出身階級で人々を分けて、悪い階級出身の人々を差別するという社会主義中国が始まって以来の悪しき差別問題に公然と異論を唱えた。出身がどうだというのは、その人の成分つまり、階級意識とは無関係ではないか、と。これには社会主義中国で上位の階級の地位を得た、たとえば共産党で地位を得た人やその家族などが反発することになった。社会主義中国で不公平感を感じているのは、旧社会で地位を得ていた資産階級出身者やその家族、知識人などであったが、ちょっとした言動で反革命分子に分類されると、悪い階級に家族を含めて分類されるので、この問題は社会的な広がりをもっていた。文革では、共産党の幹部子弟が紅衛兵の先頭にたち、文化的遺産の破壊や殺人を行ったがこれにはもちろん反発や陰に隠れた批判があった。「出身論」に対する支持は、その意味で文革批判(あるいは社会主義社会という新たな「階級社会」批判 福光追記2020/02/05)の側面をもっていた。
 遇罗克は1968年1月に逮捕され、1970年3月に公開裁判の上で政治犯として処刑された。
 ところで遇罗克に対して、その出身論は、出身階層が悪い者たちを煽っていると批判した人物が、戚本禹(チベンユ 1931-2016)である。ただ戚本禹は1967年7月に起きた武漢720事件の責任を問われて、1968年1月につまり遇罗克の逮捕と前後して、自身も隔離審査、事実上、遇罗克同様に逮捕されている。武漢720事件は文革中に起きた最大の武力衝突事件とされている。武漢では造反派は少数で、武漢軍区が事態を掌握していた。これに対して造反派が攻撃をしかけ、中央から王力(ワンリー 1921-1996)、关锋(グアンフェン 1919-2005)それに戚本禹が、造反派を煽ったとされる。この件は中央が乗り出して、軍区トップの陈再道に責任を取らせて収束するが、軍を混乱させたことに毛沢東は立腹したとされる。1967年8月に王力、关锋がまず隔離審査、続いて1968年1月戚本禹も隔離審査となった。なお戚本禹は、文革の混乱の中で文化文物の保護を指示したことが知られている(文革派の人々を一人ずつ分けてその違いを丁寧に分析することが、本当は必要である。福光追記2020/02/05)。
    以下「出身論」冒頭の訳出を試みる。出身論が暴き出したのは、紅衛兵の中心に共産党幹部の子弟が多くいたこと、彼らが自分の出身を盾に自分たちが上位だと運動のなかでいばりちらす、紅衛兵運動の実態である。つまり社会主義が、共産党幹部が新たな特権階層として優遇される社会であって、特権階級が非特権階級を支配搾取する社会構造を結局は繰り返しているのではないか。という疑いではないだろうか。

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 編者の言葉:今、北京市の中学運動にはひろく弱弱しく今にも死にそうな情況がある。造反派は十分努力しているのだが、人々は一向に立ちあがらない。資産階級反動路線は依然荒れ狂っているのに。この現象のなかで多くの同志が疑問を抱き始めている。資産(階級の)極端な反動路線批判をいままでこのように阻害しているのは一体何か?

 我々は考えます、(それは)ほかの何物でもなく、広く市場にある反動的な唯(ただ)出身論だと。

 過去各中学はあの資産階級反動路線をあまねく執行しています。根っこのところで(それと)別物でないのは、まさにこの反動的な、ただ出身論です。

 反動的な、ただ出身論者は資産階級形而上学の哲学のクズの上に理論上の根拠を求めて、三六九などと学生を分けて、社会主義制度のもとで、再び新たな偽装的特権階層を大量に形成しました。反動的なこの種の制度で、人と人の間を新たに圧迫するのは、反動的な、ただ出身論です。それは一部の青年の背に「もともと赤い(自來紅)」大風呂敷(大包袱)を与え、生まれながらの革命者にしましたが、その結果、修正主義の苗が生まれたのです。すなわち反動的な、ただ出身論は、一部の青年学生に強烈な自己卑下感を生み、彼らをしてただブラブラさせ(甘居中游)、国家の前途を放棄させ、世界の前途に負うべき責任を放棄させ、多くの資産階級反動路線の蒙昧にある同志になおそれを堅持するに至らせています。それが罪悪であるのは、いま多くの同志が資産反動路線の前面で恐怖に置かれているからです。

 同志諸君、このような悪いものを打ち倒さないで、どうして資産階級反動路線を批判できるでしょうか?打ち倒さないで、どこで千百万(たくさんの 比喩表現)無産階級の相続人を養成できるでしょうか?打ち倒さなければ、中国の有様(顔色  容貌)は直ぐにも変わってしまうでしょう。

    全市の革命造反の皆さん、皆さんは資産階級反動路線が荒れ狂い復活すること(新反撲)を打ち負かさねばならないのではないのですか?皆さんは一億の民衆と共同の戦闘を起こさねばならないのではないですか?ならば、皆さんは荒れ狂う大きな波として立ち上がり(掀起)、反動的な、ただ出身論の堤を徹底して押し倒しましょう(衝垮)。そうすれば、千百万の民衆は彼らの束縛のすべてを破ることが出来、誰もが抵抗できない力になります。ただそうなりさえすれば、資産階級の反動路線をすべて徹底して墳墓に埋葬でき、中国の有様は永遠に深紅になるでしょう。
 (以下略)


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