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取引所改革ー金融審市場構造専門G報告書 2019/12/27

  2019年12月金融庁が金融審議会報告書として東証市場改革案を示した。
 金融審議会市場ワーキング・グループ
     市場構造専門グループ報告書2019/12/27

   現在の5市場(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダードとJASDAQグロース)を3市場(プライム、スタンダード、グロース いずれも仮称)に再編するというのが報告書の骨子。
 現在は時価総額250億円以上を基準に1部としているが、これを市場で(持ち合い分を除外して)売買可能な「流通時価総額」を基準にする。つまり基準自体を変えるという提案をしている。
 報告書の冒頭はつぎにように3点に分けて、現行の市場区分や基準の時価総額などの数値の問題を指摘している。
 現在の5つの市場区分はあいまい。とくにマザーズ、ジャスダック、2部はとりわけ区別が分かりにくい、としている。また内部市場からのステップアップ基準、降格基準、上場廃止基準が本則に比べて甘くて、企業価値向上の動機付けに失敗している、としている。最後にこの市場区分を使った東証1部全銘柄を対象とするTOPIXが投資対象として機能的でない、としている。
 なお報道では、次のような指摘があった。
 1部市場が約2100。全体の6割で(2019年10月末で2155社 東証全体の58%)一部の企業数が上場企業の中で多い。その中には、(一部であるのに)業績や流動性の観点から機関投資家が投資しにくい企業が多い。現在のTOPIXは東証一部全銘柄。(ところが)上場資格が緩く退出基準も甘いため、ゾンビ企業や流動性が十分でないものが一部に混じっている。
 ではどうするべきか。報告書はまずプライムにする銘柄の流動性について、ガバナンスの視点を入れて安定株主が3分の2を超えないという数値基準を示している。安定株主の現在の基準(上位10位までの大口株主)を実態に合わせて見直すべき(安定株以外が浮動株であるので、浮動株の基準を見直すべき)としている。またプライムに属する企業は、それにふさわしいガバナンスが求められるとしている。他方で、プライムの収益基準の議論のところで、直前の赤字企業を上場対象から機械的にのぞかず、上場を認めることを提案している。
 なおスタンダードには、①現在の2部とJASDAQスタンダード、そして②現在の一部(でプライムにゆかなかったもの)。という二つの想定を示している。最後にグロースについては、現在のマザースとJASDAQグロースの2つを振り分けることを示している。
   2020年2月21日、東証は市場区分切り替えのスケジュールを発表している。 2020年内に東証が上場基準の詳細を発表。上場企業は2021年末までにどの市場に移行するかを自ら選択し、2022年4月から市場区分を切り替える。プライム市場は流通時価総額100億円を上回ることや、上場株式数に対し流通株式数比率を35%以上とすることのほか、年内にも定められる高い企業統治基準を満たすことが求められる。直近で流通時価総額100億円に満たない企業は433社、流通株式比率35%未満は51社あり、これらがプライム市場への移行を望む場合は改善計画の提出を求める、とした。

#金融審議会     #東証市場改革 #市場構造 #取引所改革

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