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春江水暖 2019film

 映画の宣伝にあるとおりであるが、杭州市富陽の情景が舞台である。多くの映画が撮影場所を変えてゆくものだが、この作品はあくまで富陽が撮影場所。2017年から2019年まで長期間の撮影である。富春江の四季が映像として切り取られ、舞台になっている。現代中国なのだが、不思議なほど政治がない。
 認知症の母親の介護問題や都市開発の問題、不動産の高騰などがでてくる。地元のヤクザや賭場が出てきて、製紙工場による環境問題まででてくる・・・しかし政治がない。つまり行政とか、政治の影がない。また杭州市富陽で始まりまたそこで終わる。これは何を意味するのだろう。
 たびたび左から右へとロングショットがあり、その長さに驚嘆する。それが絵巻物だと合点が行くのは、見終わって暫くしてからだ。監督周辺の人が演技しているのがほとんどだというのだが、それぞれの人物像には説得力がある。
 誕生会、結婚式、病院、市場、生活の情景がまた、切り取られているが、そこでの会話一つずつに現実性があり、言葉が生き生きしている。脚本を書いた監督が、その空間に生きていることがよく分かる。
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