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我和我的家鄉 2020film

 2020年公開映画。5つのお話のオムニバス。北から南まで、5つのお話で現代中国を伝えている。深刻なお話はなく、全編喜劇仕立て。娯楽映画だがイイ人ばかりが登場し上から下への教育啓蒙臭を感じないではない。第一話が「保険」の話しである*が、残りはいずれも農村の問題を改めて取り上げ農村の振興に目を向けようと訴えているように感じる。もっとも、農村によっては過疎化が進み年寄りばかりで大変だという話は日本にも聞こえてくるし、映画が描いているように豊かになった農村ばかりでないということも聞こえる(描かれる農村が観光農村だったりして若い人もたくさんいるのは違和感がある。これで農村の悩みを描いたことになるだろうか。農村と都市の格差も十分には描かれていない。娯楽映画だからといって、このように描いては農村が抱える問題はよく見えないのではないか。)。この画面から見える、昔は大変だったが、今はみんなの努力でうまくいっている,農村も結構良くなったという描き方は娯楽映画だからこれでいいのか。ちょっと疑問も感じながら、鑑賞した。
 *中国の医療保険制度は都市部は強制加入の職工保険。農村部は任意加入の住民保険となっている。この最初のお話は北京に住む叔父と農村に住む甥の話。大手術を要することになった甥が、手術費用を叔父に頼みにきたところから話は始まる。そして住民保険加入の必要性に話を回しているように思える。中国の保険制度

   なお5つのお話の私の評価を中国の人の批評と比べて、やはりそうかと思ったのだが、「最後一課」が1位。その次は「北京好人」。その次の「回鄉之路」「神筆馬亮」は評価がわかれ、「UFO」は駄作。UFOはストーリーが単純すぎて、作為が過ぎ心の底から楽しめない。多分、笑いというものには小さい子供を笑わせるものと、大人を笑わせるものとがあって、ドタバタ系の笑いはそういう子供向けのもの。子供の笑いの特徴は単純さだ。しかしそのように駄作と決め込んで、けなし乍ら見るのも一興だ。
    なおこの映画は2019年に公開された『我和我的祖国』の姉妹編とある。この2019年の映画は、1949年の新中国建国以来の歴史を7つのエピソードでたどったもの。2019年が建国70周年に当たることを祝って製作された映画とのこと。こちらは最初の4つのエピソードまで拝見した。建国大典での国旗掲揚の話(前夜)原爆開発をめぐる悲恋の話(相遇)女子バレーボールチームが世界優勝する話(奪冠)、そして香港の中国帰還をめぐる国旗掲揚の話(回歸)。見ていて、何を言いたいのか、正直よくわからなかった。バラバラのお話で何をどう感動すればいいのか。・・・この2019年の姉妹作に比べると2020年の『我和我的家鄉』は、各人の故郷を思い起こすという主題でとりあえずはまとめられているように感じた。
豆瓣電影
影評

北京好人
天上掉下個UFO
最後一課     讓世界充滿的愛
回鄉之路     我的祖國
神筆馬亮
走心

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