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証券化 Securitization, CFI

Securitization written by CFI Team, updated July 19, 2021  閲覧2022年10月2日

証券化 個別資産の債務不履行に関連して、個々の経済主体が直面するリスクを減少させるために用いられるリスクマネジメントツール。

証券化とは何か
 証券化とは、個別資産の債務不履行に関連して、個々の経済主体が直面するリスクを減少させるために用いられるリスクマネジメントツールである。銀行その他の金融機関は、そのリスク保有(risk exposure)を減らし、バランスシート全体のサイズを小さくするために、証券化を使っている。

証券化の過程
 
証券化は2段階でもっとも良く描くことができる。
第一段階:包装packaging
    銀行(あるいは金融機関)は、多数の資産を単一の「複合資産compound asset」にまとめる。複合資産がもたらす報酬は、「複合資産」を構成する個別資産がもたらす報酬のある種の加重平均となる。
第二段階:売却(訳注:証券の形で売却される)
 銀行(あるいは金融機関)は、複合資産を世界の資本市場投資家に売却する。

証券化はいかに機能するか
 
証券化は、複数several資産の債務不履行の確率は、単一資産の債務不履行の確率より低いとの仮定に基づいている。証券化の実践practiceの背後にある論理は、例を用いることで、最も良く描くことが出来る。
    3人の投資家が1000ドルずつ、資産A、資産B、資産Cという3つの別々の資産に投資していたとする。
 資産   報酬率 債務不履行確率
 A       40%                0.2     
   B        48%                0.3
   C        64%                0.35     

    彼らはその資産を銀行に売る。(銀行の)投資期待収益は(40%*1000*0.8)+(48%*1000*0.7)+(64%*1000*0.65)=320+336+416=1072
 期待収益率は 1072/3000 =  35.73%   である。しかしながら(債務不履行が生じた場合の投資収益の)分散varianceはとても大きい。

債務不履行時の収益低下リスク(訳者挿入)
                                         期待収益($)
 Aが不履行となった場合  480+640-1000=120
   Bが不履行となった場合   400+640-1000=40
   Cが不履行となった場合  400+480-1000=-120
   ABが不履行となった場合   640-2000=-1360
   BCが不履行となった場合   400-2000=-1600
   CAが不履行となった場合   480-2000=-1520
   ABCが不履行となった場合                   -3000  

(CFIの記述に戻る)
 それゆえ銀行は、資産をバランスシートから除こうとする。銀行は単一資産A,B,Cを併せて複合資産Xを作り出す。100ドルの価値の(複合資産)Xを購入する投資家を考える。投資家は、(加算平均で)50.66%の報酬を受けようとしている。しかし投資家はただ単一資産A,B,Cの一つだけを保有する個々のindividual投資家に比べて、かなり少ないリスクに面している。 

証券化の歴史     
 合衆国の銀行は1970年代にまず住宅モーゲージの証券化を始めた。当初、モーゲージ担保証券は比較的安全だとみなされ、銀行が、将来の住宅保有者へより多くのモーゲージ貸付を出すことを可能にした。その実践は、合衆国に住宅ブームを生み出し、住宅価格の大幅増加をもたらした。
 1980年代にウオールストリートの投資銀行は、モーゲージ担保証券のアイデアを他の資産タイプに拡大した。彼らは、証券化が、いかなる現実の経済変数を引き上げることなしに、市場が入手できる証券の数を、劇的にふやすことに気付いた。入手できる証券の数(の増加)は、銀行が行える潜在的な取引の数を引き上げた(多くの銀行は、自身が加わっている取引数に応じて支払われた)。 
 市場にある資産担保証券用原資産の質の急速な悪化と、政府規制の広汎な欠如とは、2008年の景気後退の重要な要因だった。 


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