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経済経営用語摘記

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2024年5月の記事一覧

資本金階層下位企業の営業外利益の爆発的増加について

 近年、企業の営業外損益(non-operating income and expenses)について関心が高まっている。直接投資と間接投資を合わせ、海外の投資先企業からの配当収益が企業の営業外利益(営業外収支)を押し上げているとの指摘が多い。もちろん、円安など為替差益が押し上げる側面もある。  なかなかこの問題を綺麗に捉えることがむつかしいのだが、法人企業統計年報を利用して、資本金階層別に(経常利益ー営業利益で求めた)営業外利益の経常利益に占める比率を算出したところ、資本金

GDPかGNIか。海外からの所得の純受取の増加を考慮してGNIに注目してよい。

 長らくGDP(国内総生産)が経済成長率の測定、さらには国民医療費、防衛費、株価時価総額などとの対比に使われてきた。GDPとは日本国内で生み出された付加価値の合計だ。しかしこの数値には、海外からの所得の純受取=日本の法人・個人が海外から受け取る所得から海外の法人・個人への支払いを控除した差額、が反映していない。GDPに、この純受取を加えたものが、国民総所得(GNI)である。  GDPとGNIー2つの数値の違いを、実際の数値で以下確認しよう。    なおこの表の範囲内の出来事

医療・福祉がもうすぐ最大の雇用業種に―毎月勤労統計調査からー

 毎月勤労統計調査(厚生労働省)第3表「常用雇用及び労働異動率」により、ここでは、どの業種で働く人が多いのか。どの業種で労働者が増え、どの業種で減っているか。また業種により、パートタイム労働者(非常勤労働者)の比率にどのような差があるのか。といったところを確認する。      上記の表を見られたい。総労働者に占める比率でみると、卸売業・小売業、医療・福祉、製造業が、労働者数の多い三大業種である。そのなかで、卸売業・小売業が最大の業種で全体の18%台を占めている。2016年1