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経済経営用語摘記

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2021年11月の記事一覧

株式市場 stock market

 株式市場について考えるべきことは何だろうか。取り扱っているものが株なのだが、その日々の株価については、将来の収益の現在価値present valueだというファイナンス理論の示唆する理論価格がある。この理論価格は企業買収の実務では、必ず算出されて使われている。しかし株式投資ではこの理論価格とは別に投資家が日常使う投資指標が知られている。  一つは配当利回りdividend yield(1株当たり配当/株価)である。そこから派生する指標としては配当のもとになる1株当たり利益。

企業金融 corporate finance

 企業金融については何を語るべきだろうか。最初に考えるべきことは、企業とは何か。どのような存在かということであろう。現代の企業は株式会社で、自己資本つまり経営リスクを担うリスクを資本の出し手である「株主」のために、経営が行われるべきだ、という建前(株主資本主義shareholder capitalism)が一方にあり、アメリカのファイナンス論やそれに同調する人たちも、同様の主張をしている。しかし日本では株主以外の様々ステークホルダー(利害関係者)にも配慮した経営(ステークホル

金融政策 monetary policy

 中央銀行の金融政策については何をいうべきだろうか。私たちの学生時代には、政府の財政政策が支出拡大的に動き勝ちであるのを、牽制するのが中央銀行だと教えられた。中央銀行は物価の番人でそのため独立性が守られる必要があると。しかしその議論を昔初めて読んだ時、これは中央銀行内部の人間が自分の位置を高める印象操作をしているという疑いを実は感じた。この疑いは、中央銀行が実際の金融政策で誤りを犯す可能性を感じたときに更に深まった。しかし現実に今の日本で起きていることは、財政は財政赤字が増え

共有財(コモンズ)の悲劇 ハーディン

Garrett Hardin, Tragedy of  the Commons Cited from Econlib  共有財(コモンズ 共有地)の悲劇は、私有財産の意味を解き明かす一つの糸口である。財産というものは適切に管理されてこそ、財産の意味がある。果たして私有財産を問題視することが正しいのか?という問題にこれはつながる。もちろん他方で、私有財産(アンチコモンズ)の悲劇も語られる必要がある。  漁業における乱獲の問題も、漁場という共有地を過剰に利用する行為がもたらしたと

債券市場 bond market

 債券について語るべきことは何だろうか。債券は一種の借用証で、借入には金利が支払われる。この金利の支払いの仕方は、まず固定利付といって、当初決めた金利の大きさを満期まで固定したままのものと、変動利付といって、満期までの間に見直すものとがある。そもそも金利は次のような要因で上下する。  1)   全体の資金需給。貯蓄と投資との需給によって上下する。  1)インフレ率。インフレ率が高いと高くなる。  1)   借り手のリスク。借り手の債務不履行リスクあるいはデフォルトリスクが高く

私的財産権 アルシアン

By Armen A.Alchian, Property Rights cited from econlib.org (著者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授を務めた。彼の科学的貢献の多くは、私有財産権の経済学に関するものである。1914年カリフォルニア州フレスノ生まれ、2013年ロサンゼルスで亡くなる)  資本主義経済体制にもっとも基本的に必要であり、また最も誤解されている概念は、財産権という強力な制度である。過去数十年間、合衆国と西欧の社会批評家たちは、”財産”権が

資本逃避 マクロード

By Darrl Mcleod, Capital Flight Cited from Econlib.com (Darryl McLeodは、ニューヨークにあるFordham Universityの経済学教授)  資本逃避の広く受け入れられている定義は存在しない。この言葉の古典的な使い方は、通貨投機の広がりを描く時に使うというもので、とくに私的資本の国境を越えた動きが、その国の金融市場に影響するに十分な大きさであるときに使う。「逃避flight」と通常の資本流出outflo

Monopoly by George Sigler from Econlib.com 独占 スティ―グラー

By George Stigler, Monopoly Cited from Econlib.com (著者は1911年ワシントン州シアトル生まれ。1991年シカゴで亡くなる。シカゴ大学経済学教授など。1982年にノーベル経済学賞受賞。)  企業が財貨あるいはサービスの唯一の売り手であることを独占という。政府の介入がなければ、独占企業は価格を自由に決めることができ、最大可能な利潤が得られるところに価格を設定する。独占企業は、競争に直面している企業に比べ儲かっているprofi

Antitrust by Fred McChesney from Econlib.com 反トラスト マクズネィ

By Fred McChesney, Antitrust Cited from Econlib.com (著者はNorth Western大学の法学教授)  1890年より前は、反トラスト法は慣習法common law(の領域)だった。申し立てられた制限的交易契約(つまり価格固定協定)はしばしば(成文)法の適用範囲ではなく、しかし当事者にいかなる法律上の免罪符sanctionsを与えるものでもなかった。経済学者たちは、一般的には独占やその他の交易制限は悪badである。なぜ

ブランド/製造物責任/知的財産権

 ブランド、製造物責任、知的財産権に共通する問題は、市場メカニズムをはたかせる上で重要な仕掛けだということではないだろうか。まずブランド(商標)は、ある企業がその製品を提供したことを示すもの、エムブレム(デザイン化したロゴ:言葉)で示されることが多い。  以下の記事は、ロシア革命のあとブランド名が廃止されたことで、消費者は誰が生産しているかという情報を失い(ブランド価値brand valueが評価されなくなり)、消費者によるpunish/rewardを働かせる機能が市場から失

労働組合 labor unions

By MorganO.Reynolds, Labor Unions Cited from Econlib.com  日本では企業別組合が一般的だが、ここで語られるのは多数の企業にまたがった(米国の)職業別組合のことである。経営者に比べて、弱い労働者が組合を作り、団結して自分たちの権利を守るというお話と、ここのお話しは少し違っている。組合はカルテルであり法律に守られた存在であると著者は説明している。また組合は嫌われているとして組合の組織力の低下を述べている。日本でも非正規労働者

Marc Bloch 1886-1944

By Jim Simkin Sept.1997 updated Jan.2020 cited from Spartacus Educational .com   Marc Blochはフランスのリヨンに1886年に生まれた。彼はパリ、ライプチヒ、そしてベルリンで歴史を勉強した。卒業後、彼はMontpellierとAmiensで教えた。第一次大戦で歩兵(infantry solider) を勤めた。4回の表彰(citations)とLegion d'Honneurを得た。  

Isaac Deutscher 1907-1967

by Jim Simkin Sept.1997 (updated Jan.2020) Spartacus Educational.com     Isaac Deutscherはポーランドのクラカウに1907年に生まれた。彼はジャーナリストとして1926年にポーランド共産党に入党したが、Joseph Stalinに批判的だったので1932年に追放された。  第二次大戦の勃発とともに彼は英国に移り、The Observer誌のために執筆を始めた。彼はまたThe Economi

Oskar Ryszard Lange 1904-1965

 ランゲは1930年代アメリカのミシガン大学にいた時、ロンドン大学にいたハイエクとの間で、社会主義の実行可能性(feasibility of socialism)について論争を交わした。ランゲは市場の機能をよく理解していたので、市場の機能を否定することには、懐疑的だったのではないか。計画経済の行き過ぎを批判する彼の文章はそのことを示唆している。    確かに市場を復活させないでは難しいが、ソ連でもまた中国でも利潤の機能をめぐる議論が起きた。より効率的に社会主義を進めるには、利