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私の東京案内

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#文京区

東京大学大講堂:安田講堂

 東京大学大講堂、通称、安田講堂である。東京大学本郷キャンパスを代表する建物といってよい。安田善次郎の寄付による。安田の寄付という点で、昭和4年1929年竣工の市政会館・日比谷公会堂と同じである。内田祥三が基本設計を行い、岸田日出刀が設計を完成させた。建設にあたったのは清水組(現清水建設)とされる。     大正10年1921年に着工。関東大震災をはさんで大正14年1925年7月6日に竣工した。平成8年1996年12月に国の有形登録文化財に登録。  アクセス 東京大学正門から

book cafe:KNETEN

なぜブックカフェの居心地が良いのか  どのようなカフェが理想かは人によって違うが、もちろん飲食物の味がよく、その選択できる範囲が広いに越したことはない。最近、重視される要素の一つは読み物がそれも大量にあるかどうかだ。図書館や本屋のなかの喫茶店が、その意味で注目される。沢山の蔵書をもつカフェもあちこちに登場している。これらを総称してブックカフェとよぶことにしよう。これは和製英語に思えるけど、英語として広がって欲しい言葉だ。    本が置かれている段階で、居心地を悪くして、回転を

旧磯野家住宅(銅御殿)

 旧磯野家住宅の見学会に参加してきた。湯立坂上にあるこの住宅の内部を見るには、公益財団法人大谷美術館主催の見学会に参加することが必要。  見学はまず表門(大正2年1913年竣工)から。そして大正元年1912年の竣工の主屋を解説付きでゆっくり見学した。主屋は屋根が銅板葺。外壁も銅板が張りめぐらせられているところから、銅(あかがね)御殿と呼ばれる。3階建。表門・主屋いずれも重要文化財。  木材で富豪となった人が明治の末から大正期初めにかけて建てた家であるが、表門・主屋ともに当時の

高取稲荷大明神

 文京区春日にパークコート文京小石川ザタワーという40階建てのタワーマンションができたのは、2021年3月のこと。そのマンションの後ろは緑地帯になっている。そこに鎮座するのが「高取稲荷大明神」。おそらく全国の神社のなかでも、小さな神社の一つに属する。賽銭箱はあるが社務所はない。しかし神社を残そうという設計者の苦心もあって、日照をたっぷり受けた社殿の雰囲気はなかなか良い。  この小さな創建の経緯もはっきりしない神社を、「日枝神社」や「神田明神」など格の高い神社と並べて紹介するこ

新緑の東京大学本郷キャンパス

 コロナ収束後の東京の街は、人であふれている。人であふれた街を好きな人もいるだろう。ただそうでない人に薦めたいのが、本郷キャンパスの散策だ。この時期は新緑が美しい。沢山の学生と研究者がいるはずだが、彼らは学習や研究に忙しい。だからこの緑を僕らは十分享受できる。  アクセス 地下鉄本郷三丁目から徒歩8分。地下鉄東大前からすぐ。

東京大学赤門

 東京見物に来た人を案内するのにどこがいいかはむつかしい。こちらであれこれプランを作るより、その人が見たいもの、経験したいことを聞いて、実現してあげる心のゆとりをもちたいものだ。さて東大の赤門はどの程度の人がぜひ自身見たいものに上げるだろうか。   そこに少し疑問があるが、赤門は知名度という点で東京を代表するものの一つだ。   赤門は、ここに加賀藩上屋敷があった名残である。11代将軍家斉(いえなり)の娘溶姫(ようひめ、やすひめ)を加賀藩当主前田斉泰(なりやす)が正室として迎え

本郷弓町のクスノキ

 営団地下鉄本郷三丁目からが近い。ただ本郷三丁目から行くと本郷台中学の裏通りのさらに裏の通り沿いになる(地番は本郷一丁目)。本郷三丁目から歩くなら春日通まで出て、春日方面に進み2本目の辻を左に入る。あるいは春日町交差点から真砂坂(東富坂)の右側(南側=本郷一丁目側)を上がり、2つ目の辻をはいるのでもよい。マンションの間に巨樹が見える。北側(真砂坂上側)から(下図)よりは、南側(壱岐坂側)から見ると形がいい(見出し上図)。  これは樹齢600年とされるクスノキ(楠)である。幹回

善光寺坂のムクノキ

 文京区の善光寺坂にある、幹回り5m、樹高13m、推定年齢約400年の古木である。昭和20年1945年5月25日の空襲で樹木頭部を焼く前は、樹高23mを誇った。戦災で頭部を失ったほか、現在は、幹に空洞なども目立つが、樹勢が盛んであることは喜ばしい。なおかつてここは傳通院の境内であった。現在このムクノキ(椋木)は澤蔵司(たくぞうす)稲荷の御神木となり、小石川の町を見守っている。文京区の指定天然記念物である。  アクセス 地下鉄春日より傳通院を目指して徒歩5分ほどで善光寺坂。坂の

壱岐坂通りのイチョウ並木

 白山通り(都道301号線)の壱岐坂下から、本郷通り(国道17号線)の壱岐坂上を結ぶのが「壱岐坂通り」(特別区道890号線)。なお、壱岐坂を降りてドームの脇を走るのは都道434号線。後楽園駅から右折して千川通り(都道436号線)に入ることができる。  現在、壱岐坂通りは区道になっているが、とても美しいイチョウ並木になっている。美しく感じる理由は、おそらく並木の密度がそろっているから。坂の途中には東洋学園大学の校舎があり、良い目印になっている。ただ坂の途中に休めるような、これと

文京区後楽で見つけたクスノキ

 クスノキ(楠)は、場所によっては街路樹として多用されている。ただ文京区では用例は少なくここ後楽で見つけた。この場所を小石川運動場前通りと文京区の資料(『土木現況』)は書いているが、小石川運動場を知っている人は少ないので、住友不動産の飯田橋ファーストビル、飯田橋ファーストタワーの近くと言った方がまだしも認知しやすいかもしれない。  クスノキは大木になるが、高層ビルの傍なら、問題は起きないかもしれない。樹皮が特徴的なので分かりやすい。「土木現況」によれば、本数は22本。2000

春日通りのハナミズキ

 春日通り(国道254号線 第一次緊急輸送道路)は、春日交差点から茗荷谷方面へと続く区間ではハナミズキが多く植栽されている。ハナミズキは、花の時期には白い花で気が付くが、そうでないときも、樹形がいやに左右に広がっていることや、特徴のある葉で、見分けがつく。なお、樹高は10Mほどになるとされるのに比して、ここでは高さをいずれも抑えられている印象。小ぶりである。ハナミズキは、樹形が一本ずつ違う。ところでこのように1本ずつ個性的なものを並木と呼んでいいのかどうか。建物を背景にしたそ

外堀通りのトウカエデ並木

 外堀通り(都道405号線 第二次緊急輸送道路)のお茶の水坂から飯田橋にかけて。ここは両側にトウカエデが植栽されている。厳密には一部トウカエデとは異なる植栽のところがあるが、それでも有数のトウカエデ並木ではないだろうか。     トウカエデ並木の範囲については、「文京区みどりの基本計画」令和2年2020年3月中の「みどりの現状分析」図7-1による。     トウカエデは唐楓と書く。台湾から揚子江流域に分布していたもので日本には18世紀に渡来。江戸時代以来であるから、すでに日本

本郷通りのイチョウ並木

 本郷通り(国道17号線と重なる湯島聖堂から東大農学部正門前まで。第一次緊急輸送道路。)のイチョウ並木はすばらしい。ただし東京大学近くの鬱蒼と茂った緑は大学構内の緑と街路樹の緑が重なったことによる風景である。通り沿いのイチョウ自身はなお10数メートルの高さ。これに対して構内の緑は場所によってはその倍の威容である。そのため、本郷通りの東大側の緑は圧倒的で見ごたえがある。    イチョウ並木の範囲については、「文京区みどりの基本計画」令和2年2020年3月中の「みどりの現状分析」

清水橋下のマテバシイ並木道

 清水橋というのは文京区屈指のお屋敷町である旧西片町(現在の西片一丁目と二丁目)と旧森川町(現在の本郷六丁目)とを結ぶ橋である。江戸時代には橋の下は清水が流れていたというが、明治に入るころには水は道の端に残るだけとなっていたとのこと。最初に橋が設けられたのは、水が枯れた明治13年1883年のこと。清水橋は水が枯れた川にかかる橋なので「から橋」の別称がある。現在この谷は、菊坂下から弥生交差点に向かう坂道(区道892号線の一部)となっている。この坂道には、とくに名称がない(文京区