プルトニウム譲渡~ホントに平和利用~
廃炉作業中の新型転換炉ふげんの使用済み核燃料をフランスに譲渡するという。譲渡に際して、輸送と再処理費用として約350億円を支払うという。
新型原子炉ふげん
ふげんは、日本で開発された原子炉の方式である「新型原子炉」。運転中の原子炉の燃料交換できることが特徴。これにより、定期検査から定期検査までの運転サイクルを長くできる。そのため、原子炉の稼働率向上が期待された。しかし、原型炉であり商業炉の実験段階である。
とはいえ、高速増殖炉もんじゅとは違い、1978年の運転開始から2003年の運転終了まで、200億kWh以上の発電量を達成している。
核燃料サイクル
資源小国の日本は核燃料サイクルをとっていた。以前は、高速増殖炉が組み込まれていた。
しかし、今、「核燃料サイクル」といえば、高速増殖炉を除いたものである。
高速増殖炉で使う予定のプルトニウムをMOX工場でウランに混ぜて加工し、既存の原子炉で使おうというもの。いわゆるMOX燃料である。
核燃料サイクルの問題点
核燃料サイクルの課題は多い。再処理ができない核燃料廃棄物の最終処分場が決まっていない。青森県むつ市にある中間貯蔵施設、六ケ所村にある再処理工場も順調ではない。
そのため、使用済み核燃料は原子力発電所敷地内の燃料プールに保管されている。使用済み核燃料でも核分裂は続き、熱を発していることは東日本大震災に伴う福島第一発電所事故で多くの人が知ることになった。
さらに問題なのが、使用済み燃料をフランスに委託しMOX燃料に加工したものが日本に戻ってきていること。そして、プルトニウムを一定量以上持つと、日本が世界から核保有国とみなされることである。
日本は資源小国でエネルギーを輸入に頼っている。原子力は核燃料サイクルで長く使えるので準国産燃料というポジションにあった。しかし、安全審査で再稼働のハードルは高い。さらに電力ひっ迫、自然エネルギー増に伴う電力系統の不安定化。二酸化炭素問題と課題は山積。
一つひとつ片付けるとすれば、使用済み核燃料を民生用に使うという条件で、ふげんのように諸外国に売るという方法もあるか。民生用に使われるということが確認できない点が、大きな問題ではあるが……。
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