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フジ子・ヘミングとヨーヨー・マ

ショパンの別れの曲、様々なピアニストが奏でる曲の中でフジ子・ヘミングの演奏が好きだ。長崎で一度コンサートを聴いたことがある。そのコンサートでは最後の曲が確かラ・カンパネラだった。力強い指弾に圧倒された、そんな記憶がある。一度読んだ本の印象は何か女性らしい感情表現が豊かで直感的な気がした。

演奏家としてはチェリストのヨーヨー・マが1番大好きである。知ったきっかけは何だったろう。テレビのC Mだろうか。音楽好きな友人の紹介だろうか。忘れてしまった。大阪でのコンサートを聴くために長崎から出てきたことがある。アンコールで弾いたバッハの無伴奏チェロ組曲のサラバンドは生きていて良かった、聴けて最高と感じた。

このお二人は共に自分が好きな演奏家ではあるが何か対極にある気がする。奏でる音楽でその人となりが現れる。それはそれで不思議な感じがするのだが同時に当然にも思える。ヨーヨー・マはその音色から落ち着いた知性を感じる。一方、フジ子・ヘミングはパッションというかほとばしる感情、あるいは抑えようとして抑え切れない感情というのであろうか、そんなものを感じる。演奏する本人の意思か突き動かす想いがそんな印象の違いを生み出しているのだろうか。その人となりが奏でる音から感じるというのは不思議でもあり当たり前の様でもあり何よりも怖い気がする。

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